最新のテクノロジーを活用し、ソリューションや大規模なシステム開発、デジタルコンテンツの制作などを手がけるチームラボ。クライアントとのプロジェクトを推進する上で、Backlogが活用されています。
今回は、成田国際空港公式WebサイトのリニューアルプロジェクトにおけるBacklogの活用方法と感じられた効果について、カタリストの雪下氏、大塚氏にお話しを伺いました。クライアントだけでなく、外部ベンダー複数社とともに連携を取りながら進行する中で、Backlogはどのような役割を果たしたのでしょうか。
■導入目的
・複数社から多くのメンバーが関わるプロジェクトでのワークマネジメント
■課題
・エクセルでのタスク管理による情報共有の遅延や進行のスムーズさに課題があった
■効果
・Backlogの導入により、タスクの可視化とスピーディな情報共有が実現
・プロジェクトの円滑な進行とチーム全体のワークマネジメントが可能になった
目次
クライアントや協力会社とワンチームで、価値あるデジタルサービスを開発・提供
—— まずは、チームラボの事業とお二人の担当業務についてお聞かせください。
チームラボは2001年の創業以来、アート事業とソリューション事業の2本柱で事業を展開しています。私たちが所属するソリューション事業では、お客様と協力してテクノロジーによるソリューションを一から構築しています。
支援範囲は幅広く、サービスの戦略立案からUI/UX設計、実装、そしてリリース後の運用やプロダクト改善までと、「設計・開発して終わり」ではありません。お客様とその先にいるユーザーの課題を解決できるようなソリューションの提供を心がけています。
—— 各プロジェクトはどのように進められているのでしょうか?
ソリューション事業が手がける各プロジェクトでは、エンジニア、デザイナー、そしてカタリストと呼ばれる3つの役割を担うメンバーが参加します。さらに、クライアントや外部の協力会社と協業しながらワンチームでプロジェクトを進めます。
カタリストとはチームラボ独自のポジションで、プロジェクトのハブとなり、お客様とエンジニア、デザイナーの間を取り持ちながらプロジェクトを推進する役割を指します。具体的な担当業務は、要件の整理、タスクの割り当て、チーム管理、そしてリリースに向けたスケジュール管理など、一連の進行管理です。
複数社45名で進行するプロジェクトにBacklogを活用。“チームワークマネジメント*”が可能に
—— お二人が携わった、成田国際空港公式Webサイトリニューアルプロジェクトの概要を教えてください。
空港を利用される一般ユーザーの方々向けに、フライト情報、レストラン・ショップ情報、交通アクセスなどの情報を提供するサイトの改善を行いました。
プロジェクトの最終的なゴールは、サイト利用者の空港体験をより良くすることです。そのため、コンテンツの再整備、サイト内の動線設計、メニュー構成の変更、画面遷移の構造変更などを実施しました。プロジェクト期間は約1年半で、合わせて45名ほどのメンバーが参加しています。
—— このプロジェクトでは、Backlogをどのように活用されましたか?
プロジェクトチームは、クライアントである成田国際空港株式会社(NAA)様をはじめ、数社のステークホルダーが参加しています。チームラボ以外にも多くのメンバーが関わるため、Backlogのプロジェクトを3つに分け、各社とやり取りする形を取りました。
実は、プロジェクト開始からしばらくはエクセルでタスクや進捗の管理を行っていたのですが、運用に限界を感じてBacklogに切り替えた経緯がありました。さまざまな会社と協働しながら大量のタスクを同時並行で抱えるプロジェクトにおいては、やり取りのスピードと状況の可視化が欠かせません。Backlog導入によって、チームラボ、クライアント、外部の協力会社など複数の組織で進めるプロジェクトでも、タスクや進捗の管理がスムーズになり、効率的にゴールを目指すことが可能になりました。
*ヌーラボでは、所属や組織が異なるチームやメンバーとの協働を前提としたタスクやプロジェクトを効率的に管理し、効果的に目標を達成するためのプロセスや手法を「チームワークマネジメント」と名づけ、その思想や活動をコミュニティやブログ等で紹介しています。
Wiki機能と課題テンプレートの活用で、関係者もスムーズに使いこなせるように
—— エクセルでの進捗管理では、どのような課題を感じていたのでしょうか?
当初はエクセルで課題管理表を作成し、1枚のシート上でタスクの状況や担当者を管理していました。しかし、シートを確認しないと各タスクの状況や担当者が分からない状態になっていたために、進行がスムーズにいかない場面も発生していたのです。
各社との週次定例会議の間に、タスクが中途半端な状態で1週間経過してしまうこともありました。これらの課題を解決するため、またサービスサイトの運用保守とコーポレートサイトのリニューアルの効率化を目的に、Backlogへの切り替えを決定しました。
—— チームラボ以外の方も多数関わるプロジェクトにおいて、Backlogの活用はすんなり浸透していきましたか?
Backlogの浸透は比較的順調で、3か月後には、クライアントの方から適切に課題を起票し、担当者を割り振っていただけるまでになりました。
浸透させるための工夫として、まずWiki機能を利用して各社の担当者や運用ポリシーを明確にしました。次に、課題のテンプレートを用意し、期間や開始日など起票時に記載すべき情報を明確にしました。Backlogのヘルプページにあるタスクのテンプレートは非常に参考になり、ほぼそのまま使わせていただいたほどです。
また、操作に不慣れな方には、オンライン上で画面を共有し、検索や課題の起票方法などをサポートしました。これらの取り組みにより、クライアントや協力会社の方々にもBacklogの活用が浸透していきました。
Backlog導入で、タスクの可視化や関係者とのスピーディなやり取りが実現
—— 各社との連携や情報共有をどのように行ったか、詳しく知りたいです。
日々タスクを進めながら、各メンバーが進捗を課題のコメントで細やかにやり取りしていました。各社との定例会議では、ガントチャートを一緒に確認しながら、各タスクの担当者から詳細が共有され、必要に応じて議論を行います。
要件定義および開発の段階では、課題を「フロントエンド」「バックエンド」「UI/UX」などとカテゴリー分けし、各領域の作業を明確にしました。その上で、カテゴリーごとの定例会とプロジェクト全体の定例会という2種類の会議体を設け、関係する会社様に参加いただいて進捗のすり合わせを行いました。
—— Backlogを導入して感じられたメリットについて教えてください。
プロジェクトメンバー全員とのやり取りや進捗共有が手間なく行え、全体的なタスクの可視化とプロジェクトの円滑な進行が実現しました。
エクセルでもやろうと思えばできますが、それなりに手を加えないといけません。Backlogでは、タスクの起票時に期日を設定していれば、期限切れのタスクはアラートとして「炎」のアイコンが表示されるため、スケジュールの遅れに気づきやすいんです。
すぐに状況を察知して「期日を延ばすのか、それとも速やかに完了させるのか」といった意思決定もスムーズになりました。こういった日々の活動がチームワークの向上にも繋がっています。
—— よく利用される機能はありますか?
進行管理において、とくに重宝しているのがガントチャート機能です。パッと見で全体像が分かりやすく、タスクの遅れや担当者ごとの業務負荷が一目で分かるようになりました。また、ガントチャート上では担当者ベースで絞り込みが簡単にできるので、誰がどういうタスクを抱えることになるのか、少し先のスケジュールも見えやすくなったと感じます。
サイト公開後、追加リリースや保守をする際には、マイルストーン機能を使ってリリース日程を管理することで、チームラボのエンジニアメンバーやクライアントや協力会社の方々とのスケジュールの認識齟齬もなくなりました。
大きなプロジェクトであればあるほど、そして関わる人数が多ければ多いほど、発生するタスクは膨大な量となります。その中で、タスク一つひとつを漏れなく管理でき、各プロジェクト内での進捗管理が効率化された結果、リニューアルプロジェクト全体の管理も容易になりました。
—— 重要視されていた、スピードの観点ではいかがでしょうか?
プロジェクトメンバーとのやり取りや、クライアントからの返信速度が大幅に向上しました。
エクセルを利用していた時期は、情報が更新されているか自分から見に行かなければ確認できませんでした。一方で、Backlogには通知機能があるので、タイムリーに見に行けるようになります。クライアントへの質問などは、1週間ごとの定例会議にまとめて回答をいただくことも多かったのですが、Backlog導入後は2~3日に短縮されました。
1日のはじまりは「朝Backlog」から!個人の業務効率も高めてくれたBacklog
—— 他にも、プロジェクトのタスク管理をBacklogに切り替えて良かった点はありますか?
今回のプロジェクトは規模が大きかったこともあり、全体の工期が劇的に短くなったわけではないのですが、自分たちが作業をする時間に大幅な余裕が生まれました。
とくに、毎朝業務を始める際に課題のチェックや通知の返信をルーティン化することで、仕事が捗るようになったんです。
—— 「朝Backlog」ですね!
はい、「朝Backlog」の習慣は1日のスタートダッシュを切るのにうってつけなので、ぜひおすすめしたいです!
加えて、チームラボ内外のメンバーとタイムリーに状況や認識の擦り合わせができるようになった結果、毎回2時間ほどかかっていた定例会議が早ければ30分で終わるようになりました。
それから細かいポイントではありますが、検索機能が使いやすく、探したい情報を見つけやすくなったのも業務効率の向上に繋がっています。
複数のプロジェクトに関わり、Backlog上で何千件もの課題を管理している中で、シンプルな検索や「高度な検索」、またはプロジェクトをまたいだ検索など、多様な方法で検索をかけられるのが便利です。
Backlogは「全員で一つのゴールに向かえる」ツール
—— 今後の展望についてお聞かせください。
引き続きBacklogを活用して、リリースに間に合うようにチームのタスクを進行させ、サービス品質を向上させていきたいと考えています。
Backlogは画像や外部リンクも含めて、関係者とのあらゆる情報のスムーズな共有が可能です。長期プロジェクトでメンバーの入れ替わりがあっても、誰もが状況を把握しやすく、全員で一つのゴールに向かえる感覚があります。
今後も、クライアントや協力会社の皆さんとのチームワークを大切にしながら「最高に気持ち良いサービスをリリースする」という目標に向かってプロジェクトを進めていきたいと思います。
—— 貴重なお話しをありがとうございました!