Backlog Gitチームの流儀 —— ワーキングアグリーメントの運用

こんにちは。Backlog 課の伊藤です。
皆さんのチームには「流儀」と呼べるものはありますか?

私が所属する Backlog Git チームでは、仕事を進めるうえで大切にしているスタンスやマインドを「流儀」と呼び、ワーキングアグリーメントとしてまとめています。今回は、私たちが大切にしている流儀と、その運用方法についてご紹介します。

※この記事はヌーラボブログリレー2025夏の14日目の記事として投稿しています。

チームの状態は常に変化する

チームはいつも一定ではなく、日々さまざまな影響を受けています。

  • プロジェクトの締め切りが近づいている
  • メンバーの入れ替えがあった
  • アラートが続けて発生した
  • プライベートで落ち込む出来事があった
  • 天候不良が続いている

一見小さなことでも、積み重なるとチーム活動に影響することがあります。

そのため「いまのチームの状態」を意識的に観察することが大切ですが、常に正しく把握するのは難しいのも事実です。そこで私たちは、小さな違和感でも気軽に共有できる仕組みとして、ワーキングアグリーメントを活用しています。

ワーキングアグリーメントとは?

ワーキングアグリーメントは、チーム全員で合意して決める「働き方の約束事」です。

一般的には、次のような目的で取り入れられます。

  • 安心して意見を言える環境をつくる
  • 期待や価値観を共有し、認識のズレを防ぐ
  • 迷わず自律的に動けるようにする
  • 意見が衝突したときの解決方法をあらかじめ定めておく

強調したいのは、これは「縛るためのルール」ではないという点です。目的はあくまで、チームの活動をスムーズにし、より働きやすい状態をつくることです。

私たちが大切にしている流儀

実際に私たちがまとめている流儀の一部をご紹介します。

  • タスクの属人化を減らす
  • ペアプログラミングやペアオペレーションを積極的に行う
  • モブ作業ではリモートツールを活用する
  • 手作業はできる限り自動化
  • アラートが出たら必ずネクストアクションを設定する
  • ビッグバンリリースを避ける
  • セマンティックコミットメッセージを使う
  • 必要なスキルを見える化する
  • わからないことは記録する
  • 作業の割り振りは難易度だけでなく「やる気」も考慮する

フォーマットや書き方は統一されていませんが、あえてほぼそのままの形で掲載しました。形式にこだわらない理由は、変更しやすさを重視しているからです。きっちりした文章でまとめると体裁はよいのですが、形にとらわれてしまい変更する際に足枷となります。前提として、流儀は変わるものと考えていることから、運用は Cacoo の付箋機能でライトに行っています。

新陳代謝を促す

私たちが運用で意識しているのは、流儀の新陳代謝です。

週1で見直す

1週間ごとのスプリント振り返りのあとに、流儀を更新する時間を設けています。その中で、「追加するか?」「続けるか?」「やめるか?」を議論しています。

ステータスを設ける

IDEA / TRY / STOCK / TRASH という4つのステータスを設けています。それぞれのステータスの意味合いは以下になります。

  • IDEA: まだ試行していないが、流儀になりえるもの。
  • TRY: 現在、試行している流儀。しばらく意識的にやってみて良さそうであればSTOCKへ。
  • STOCK: いまのチームが大切にしている流儀。
  • TRASH: かつて大切にしていたが、現在は捨てた流儀。

段階を設けることで、「思いつく」「試す」「やめる」など一つ一つのアクションをとるハードルが下がると考えています。また、チームの状況をふまえて、TRYにいれていたけど試す機会が少ないからいったんIDEAに戻そうという形で柔軟性も生まれます。

捨てることを恐れない

試してみて合わなければ、ためらわずに手放します。逆に、一度TRASHに入れたものを再び試すこともあります。大切なのは、いまのチームに合っているかどうかです。チームの状況は日々変わるので、自分たちの仕事のスタンスも微調整する必要があります。そのため、チーム全体として流儀を変更する/捨てることに抵抗がない空気づくりを心がけています。

流儀を手放すことが大事

以前は「モブ作業を90分+10分休憩で進める」という流儀を試しました。
しかし実際にやってみると、

  • 90分同じ役割は負担が大きい
  • 集中しすぎて視野が狭くなる
  • 計画に組み込みにくい

といった課題がありました。

その後「30分作業+小休憩」に切り替えたところ、集中力が続き、良いリズムで作業を進められるようになりました。また、副次的効果ですが、「この30分でどこまでやれるか?」を常に意識するので、計画時の見積もりの精度も高まったように思います。この方法は私たちの肌に合っていたので「チーム・ポモドーロ」としてしばらく活用していましたが、現在はメンバーが2人になり、モブ作業を行わなくなったため自然に使わなくなりました。

今はシンプルに、

  • 画面共有しながら個別作業を進め、必要に応じてペアに移行する
  • 50分ごとに休憩を取る

というスタイルに落ち着いています。

Backlog Gitチームでは流儀を試してすぐに手放すことがよくあります。時には、長く掲げている流儀をあっさりと手放すことも。その際、「なぜうまくいかなかったのか」をチームでしっかり掘り下げるようにしています。話し合った結果として、新たな流儀の誕生するということもよくあり、この時間がチームがドライブしている感じがして私は好きです。

まとめ

今回の記事をまとめると、次のようになります。

  • チームの状態は常に変化しており、些細な要因でも影響を受ける
  • ワーキングアグリーメントは「縛るためのルール」ではなく、働きやすさをつくるための約束事
  • Backlog Gitチームでは「流儀」として具体的な実践内容を共有・更新している
  • 運用のコツは「新陳代謝」――定期的な見直し、ステータス管理、不要になれば手放す
  • うまくいかなかった流儀からも学びを得て、新しい流儀が生まれることがある

ワーキングアグリーメントを長く運用していると、その時々のチームの状態を映し出す「心電図」のように感じるようになりました。チームは 常に同じリズムで安定しているわけではなく、時には高ぶり、時には落ち込むこともあります。直面している現実に対し、チームで話し合い試行錯誤を続ける。その結果、ワーキングアグリーメントにはチーム活動の「いま」が記録され続けます。

大切なのは、決めたことを絶対に守り続けることではなく、チームの変化に合わせて柔軟に更新し続けることです。試してみて合わなければ手放す、状況が変われば復活させる――その新陳代謝こそが、チームを躍動させ一体感に繋がっていくと考えています。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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