Backlogのカスタマーサクセス kunyです。本記事はカスタマーサクセス Advent Calendar 2018 13日目の記事です。
この記事では私の実体験にもとづく顧客ヒアリング(ユーザー・インタビュー)の4つのコツを紹介します。「これが正解」というわけではありませんが、皆様のヒアリングライフの参考になればと思います。
なぜヒアリングをしたのか?
カスタマーサクセスチームは普段、Backlogの問い合わせ対応や初心者セミナーなどでお客様とお話しする機会があります。
その際に改善要望もお伺いしますが、要望の背景やお客様の真のゴールまで深堀りできていませんでした。
お客様と同じ目線に立つことができず、開発チームへのフィードバックが単発になったり、どのようなサポートが必要か明確にできなかったり、という課題がありました。
こうした課題を解決するために「顧客ヒアリング」をしてお客様ときちんと対話することにしました。
ヒアリングにご協力いただいた企業様、ありがとうございました!いただいたお声を踏まえてBacklogの改善を進めます。
それでは、ヒアリングのコツを4つご紹介します。
1.何人に会えばいいか?
ヒアリング結果をアウトプットするには、最低10社以上に会う必要があります。
インタビュー手法をまとめた「リーン顧客開発」という本に以下のような事が書かれています。
- インタビューを2回終えたら、必要なことが聞けているか確認し、質問内容を調整する
- 10回終えると回答のパターンが見えてくる(見えてこない場合は顧客のセグメントを絞る)
- ヒアリングが何回必要かは、サービス内容やインタビュアーの経験値などによる
私たちのヒアリングでも、徐々にフォーマットが固まり回数を重ねるごとに以下のような回答パターンが見えてきました。
- ユーザー数が多い企業様からは、〇〇の要望がある。
- 最近Backlogを利用し始めた方は、□□が不満点である。
- セグメントを問わず要望が多いのは、△△に関連したことである。
顧客ヒアリングを計画する際、「最低10社に会う」と目標を立ててみてはいかがでしょうか。
2.効率的にフィードバックを集めるには?
NPS®アンケートで推奨度として7,8をつけた方(中立者)はフィードバックが多い傾向にありました。
NPS®とは、顧客ロイヤリティを計測する指標です。くわしくはNPS®のWikipediaや「ネット・プロモーター経営」をご覧ください。
推奨者(推奨度が9,10)は不満が少ないためフィードバックも少なく、また批判者(推奨度が6以下)とはそもそもアポが取りづらかったです。ちなみに今回はメールでアポを依頼しました。
中立者は「ある程度サービスが好き」かつ「明確に改善要望がある」という属性があり、これがフィードバックの多さにつながっている、と考えられます。また、中立者と推奨者で要望が違うのか?というと、そんなことはありませんでした。
NPS®を取っている場合は、中立者を中心にヒアリングしてはいかがでしょうか。
3.ヒアリングの進め方
私たちの場合は、業務フローの確認→Backlogの活用法→改善要望、という順に話を進めました。ポイントは話が各論になっても業務フローに立ち戻ることです。
お客様からすると業務フローは当たり前のことです。また、要望を伝えたい(協力したい)という気持ちが強いお客様もいらっしゃいます。そうすると、お客様に悪気はなくても、業務フローの細かい説明は省かれて要望の話題に進んでしまいます。
しかし、業務フローを把握しないまま要望を伺っても、本質的な解決策にはたどり着けません。誰が・いつ・どのようにBacklogを使っているかを知ることで、お客様の真のゴール・それを阻んでいる障害がわかるのです。
- AさんとBさんから全く異なる具体的な要望をいただいたが、業務フローを確認したところ、目的は同じなので解決策は同じだった。
- Cさんからの機能改善要望は、利用シーンを踏まえると、UIを直すだけで対応できそうだ。
要望の背景を把握するために、業務フローをきちんと確認しましょう。
4.ヒアリングのテクニック
お客様のなかには、相手に悪い印象を与えたくない、と思う方もいます。
多少の不便さを感じていても、無意識的に「こんなふうに便利だ」と話そうとされます。そういう方から正確なフィードバックを得るには言葉の端々や表情の変化に注意する必要があります。
私「〇〇の機能はどのようにお使いですか?」
お客様「(一瞬間が空いて)こんなふうに使ってます。まあ便利ですね。」
ここで、一瞬の間や「まあ」という発言を感知したら、次のようなオープン・クエスチョンを投げかけると、お客様の本音を引き出せます。
私「この機能に関してさらに私たちにできることは何でしょう?」
お客様「本当は△△だとありがたいんですけどね」
いつもこの例のように上手くはいきませんが、思わぬ発見ができたケースもありました。ポジティブなフィードバックを真に受けない天邪鬼精神があると、よいヒアリングができるはずです。
おわりに -ヒアリングの成果-
ヒアリングをしてみて当初の目的通り、お客様と同じ目線に立てた、と感じています。
また要望をパターン化できたので今後頂く要望も整理しやすいはずです。しかし、お客様の成果につながらないとヒアリングした意味がありません。
現状、ヒアリング結果の社内共有を進めている段階です。「お客様の声」を意思決定につながる情報としてまとめ、開発チームと議論をし、継続的にサービス改善を進めたい、と考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。これから顧客ヒアリングを行う方の参考になれば幸いです。