北米〜南米〜中東 … 世界中のテック業界を繋ぐ男- Part 2

(前回からのつづき)

1-2アドリアン・アヴェンダノさん。ニューヨーク市内マンハッタンのソーホーにあるカフェにてインタビューを行った

世界中のテックコミュニティ−の動向について、まずは南米の事情から教えてください。

南米ではどの国も、ここ数年ですごく大きな変化が起こっています。例えば5年くらい前はテックコミュニティーというのはほとんど存在していませんでした。唯一、機能していたのはStartup Chile ぐらいです。しかし、ここ5年でたくさんのアクセラレータや資金が生み出され、数々のスタートアップが誕生しました。例えば、主に以下のようなスタートアップです。

StartupMexico, Parallel18, StartupCuba, StartupPeru, StartupChile, StartupBrasil, NXTPLabs, Rutan, Socialatom Ventures, Orion Startups, 21212, Wayra, SEED Startup, Angel Ventures Mexico.

投資が活発に行われているのは、主にメキシコ、ブラジル、チリ、アルゼンチン、コロンビアです。

中東や北アフリカのテックコミュニティーはいかがでしょうか?

中東や北アフリカの地域で主にスタートアップが活発なのは、レバノン、エジプト、ヨルダン、トルコ、U.A.E.です。これらの国にはアクセラレータが拠点を置き、まだほんの初期段階ですが潤沢な資金も集まりつつあります。特にカイロ、レバノン、ドバイでは、テック系のカンファレンスも頻繁に開かれています。

1-3これまで世界50カ国を旅してきたアドリアンさんは、CouchSurfingを利用してテック系の人々と交流してきた。(左)イランのシラーズにあるハーフェズ廟にて。 (右)アドリアンさんが持っているのは頭のないヤギ。「キルギスタンでは、みんなこれでポロをするんだよ!」

全米のほかの都市と比べて、ニューヨークのテックコミュニティーの特徴は

ニューヨークのテックエコシステムはもっともダイバーシティ化されていると思います。この街の人々は、テック業界を何か特別のものとは思っておらず、例えばファッションやメディア、金融系などと同じように捉えています。サンフランシスコのテックコミュニティーでは、多くの場合テクノロジーだけにフォーカスされているように感じます。一方ニューヨークという街は、どのような業界でもバックグラウンドでも繋がり合っているような雰囲気がありますね。このような傾向は全米のほかの街ではまず見られないです。

個人的に気になるスタートアップはありますか?

GlobalVoices というネットメディアはすばらしいですよ。アメリカに住んでいてニュースとしてほとんど耳に入ってこない国々、例えばカザフスタンやナイジェリアなど、普段あまり報じられない国々で起こっているニュースを重要な情報としてキャッチし報道することに尽力しているメディアです。また、一部の国で実施されている厳しいネット検閲の問題についても報じており、インターネットに多くの人々が自由にアクセスできるように推進しています。

1-4昨年12月ニューヨークのダウンタウンでアドリアンさんが開催した、MENA(中東&北アフリカのテック業界)ミートアップの様子

今後、特にどういうことに取り組んでいきたいですか?

自分の人生のゴールは、人間らしさの解放です。具体的には、今自分が関わっているこれらのテックコミュニティーを通して、今まで出会えなかったような人々を繋いでいくこと。そして、これまで実現可能と思いもしなかったようなアイデアを実現化できるように、お手伝いができたらいいなと思います。

2008年、私は自分の会社を初めて作りました。それ以降、人々を有意義に繋いでいくこのテクノロジーの世界にのめり込みました。インターネットを使えば、世界中の情報にアクセスでき、世界中どこにいようと人々と繋がることが可能になります。もちろん誰でも繋がればいいわけではなく、素晴らしい知識を共有できうる“正しい人々”と繋がることが大切ですね。

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今この世界で起こっている重要な繋がりの多くは、生身の人間と人間の間で起こっています。おそらく今後は人間らしさというものがもっと問われ、いい方向に発展していくでしょう。その進歩を押し進めていくことこそ、自分のライフワークなのです。

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