AWS認定 全冠の軌跡

※このブログは ヌーラボブログリレー2023 for Tech Advent Calendar の21日目の記事です。

サービス開発部 Typetalk 課の伊藤です。

先日、AWS 認定を全て取得(いわゆる”全冠”)しました。2022年5月から学習を開始し2023年12月に完了したので、約1年半かかりました。ちょうどブログリレーの時期がきたので、記念に全冠までの軌跡を記事に残そうと思います。この記事を読み、「AWS認定にチャレンジしてみようかな!」と思ってくれる人が増えたり、現在認定取得に向けて学習している方々が「自分も頑張ろう!」と思うきっかけになれば幸いです。

なお、本記事は AWS 認定プログラムアグリーメント を遵守し、公開可能な範囲のみに留めた内容としています。

2.3 守秘義務 参加者は、認定試験を含む試験関連資料はすべて AWS 秘密情報であることに同意する。AWS は、あらゆる技 術および知的財産権を含む、自己の秘密情報に対する権利、権原および権益を有する。参加者は、その形態を 問わず、AWS 秘密情報を使用、開示、複製、複写、送信、流布または二次的著作物を作成することはできない。

AWS認定とは

そもそもAWS認定とは何かについて説明します。

AWS認定とは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドコンピューティングサービスに関するスキルや知識を証明するためのプログラムです。具体的には、レベル別・専門分野別で用意された12個の認定のことを指します(2023年12月21日時点、ベータ試験を除く)。

レベル別

レベル 名称 略称 難易度 想定されるAWS実務経験
Foundational Cloud Practitioner CLF 初級 6ヶ月程度
Associate Developer DVA 中級 1年以上
Solutions Architect SAA
SysOps Administrator SOA
Professional DevOps Engineer DOP 上級 2年以上
Solutions Architect SAP

専門分野別

専門分野 名称 略称 難易度 想定されるAWS実務経験
ネットワーク Advanced Networking ANS 上級 2年以上(当該分野で 5 年以上)
データ分析 Data Analytics DAS
データベース Database DBS
機械学習 Machine Learning MLS
セキュリティ Security SCS
SAP SAP on AWS PAS

AWS認定への挑戦をはじめたきっかけ

私がAWS認定を受け始めたきっかけをお話しします。

私は2022年4月にヌーラボへ入社しました。弊社はシステムの大部分が AWS 上で構築されているのですが、それまでの私は AWS はおろかクラウド上でシステムを構築したことがありませんでした。

チームのオンボーディングで、”インフラ構成を脳にぶち込む会” と称しインフラをメインで担当するメンバーから説明してもらう場があったのですが、私は構成図を見ても全くピンとこず(S3 のアイコンを見て、このバケツはなんだ?と思ってました)、説明されている内容もさっぱり頭に入らず、何がわかっていないのかわからないので質問もできない始末。その日の退勤後は「これはマズいなぁ。」と机につっぷしてました。

数日後、新入社員のケアの一環で先輩社員と 1 on 1 をする機会がありました。私の相手は、先日インフラ構成を説明してくれた方でした。「なにか困ったことありますか?」と聞かれたので、「システム構成の説明をしてもらったのですが、全くついていけず何とかしたいけど何からやればいいのやら・・・。」というと、その方から「認定にトライするのも良いと思いますよ!」とアドバイスをもらいました。そこで、AWS 認定の存在と、会社に資格費用補助の制度があることを知り、一念発起しトライしてみることにしました。この日から私のAWS認定挑戦の日々が始まりました。

ちなみに、私にアドバイスをくれた方は、その後 2023 Japan AWS Top Engineers と 2023 Japan AWS All Certifications Engineers を同時に受賞するという偉業を成し遂げました。(すごい!)

Associate Level への挑戦

まずは、SAA にチャレンジすることにしました。

学習を始めたはいいものの、想像していたよりも扱うサービスの範囲が広く大変でした。3ヶ月の学習を経て受験し、なんとか合格。SAA の範囲には業務でよく耳にするサービスが多くあり、一定の知識がついたことで今まで右から左に素通りしていた AWS 関連の話をある程度イメージできるようになりました。

次に、DVA を受験することにしました。

私のロールはソフトウェア開発なので、自分の担当領域を深めるのに良いと感じたからです。1ヶ月の学習後に受験し、合格。勢いをつけた私は、「このまま Associate Level を走り切ってみよう」と思い、残りの SOA を受験したのですがあえなく撃沈(不合格)しました。

敗因は、AWS認定の実技試験「試験ラボ」の出来の悪さでした。

試験ラボとは、通常の選択式と異なり、指示された要件に従いマネジメントコンソールから構築作業を行って回答する形式の試験になります。私は普段そこまで頻繁にコンソール画面を触ることがなかったので、より実務に近い形の試験に苦戦しました。不合格を経験し、1ヶ月間放心状態となりました。

しばらく AWS 認定から遠ざかっていたところ、ある日3歳の長男が「お父さん、えーだぶゅーえすは?」と聞いてきました。最近、参考書を持ち歩いていない父を不思議に思ったようです。1歳の次男にまで「えーだぶえすー?」と煽られ、このままだとさすがに悔しいなと思いリベンジを決意しました。

試験ラボ対策として、ハンズオンをやり始めました。はじめは見よう見まねでマネジメントコンソールを操作していましたが、しばらくやっていくと断片的な知識が繋がっていく感覚がありました。やっているうちにだんだん楽しくなってきて、つくったものを魔改造して遊んでいるうちに思わぬ落とし穴にはまったりしてました。そこでのトライ&エラーが一番勉強になった気がします。今思えば、このときに実機を触って動作確認する習慣がついたのはとても良かったです。1ヶ月後、再受験し、SOA に合格しました。

Professional Level への挑戦

Associate Level を全て取得したものの、日々の業務では「まだまだ知識が浅いなぁ。」と感じる場面が多々ありました。

例えば、アーキテクチャを設計する際にどちらのサービスを使ってもできるがどちらで実現すべきか?という部分の理由づけが弱かったり、AWS社 の Solution Architect の方との打ち合わせの場で頂いた提案の内容をうまく汲み取れず時間がかかってしまったり、などです。「プロフェッショナルレベルをとったらもう少しできるようになるかなぁ・・・。」と淡い期待を抱きつつ、挑戦することにしました。

学習をはじめたものの、Professional Level は想像以上に難しく大変でした。各サービスの特性を押さえてかつ設問内で重視される要件を正しく読み取っていないと正解を選べない問題ばかりで、それまでのなんとなくの知識では太刀打ちできなかったです。各サービスや機能が想定しているユースケースを徹底的に頭に叩き込み、正答率が上がってくると同時に、私の感じていた知識の浅い部分を補完できている実感もありました。

苦戦しつつも、SAP と DOP になんとか合格することができました。

専門分野への挑戦 〜 全冠達成

当初、専門分野の試験に挑戦するつもりはなかったのですが、Professional Level を走りきった段階で、SCS と DBS にはトライしてみようと思うようになりました。

理由としては、受験後に発行されるスコアレポートでセキュリティ周りの設問が正答率が低く苦手を克服したいと思ったのと、データベース周りは業務でも意識することが多い分野だったので理解を深めたいと思ったからです。SCS と DBS を取得したことで、AWS で自分の業務に関わる分野については一定の知識レベルを持てた実感がありました。

ここでやめてもよかったのですが、近年のAI関連の盛り上がりをみてデータ活用の分野にも足を伸ばしても楽しそうだなと思い、MLS と DASもやってみることにしました。学習の過程でAWSのサービスに紐づけてその分野の前提知識や構築の観点を学ぶことができてとても有意義でした。

気づけば、12個中9個の認定を保有していました。ここまできたら途中でやめるのも気持ち悪いという想いもありつつ、”全冠” 自体には意味を見出せてなかったのでどうしようか迷ってました。そんな私に、”藤井聡太さん、八大タイトル全冠” のニュースが飛び込んできました。「彼も頑張ったんだから、自分も頑張ろう。」という謎のモチベーションにかられ、最後まで走り切ることにしました。

そこから、PAS と ANS を取得し、最後に CLF を取得し晴れて全冠達成しました。

これからAWS認定に挑戦される人へ

学習方法については自分でも効率の良い方法をとっていたとは思えないので言うことはないのですが、モチベーションを維持するためのアドバイスをいくつかしたいと思います。

AWS認定は理解度を測るためのツールくらいに考える

認定や資格については人それぞれ考えがあると思いますが、私は AWS 認定試験は AWS の特定分野の理解度を測るツールで学ぶための手段の一つでしかないと考えてました。そのくらいに考えておくほうが、合格であれ不合格であれ次のアクションに繋げられるので長期的にトライしやすいと思います。もちろん、学びを得るには実務で触って構築を経験することが一番ですがそういった機会がうまく転がってくるわけではないので、私のように知識ゼロベースで何から始めたらいいかわからない人は AWS 認定の試験をロードマップがわりに活用し一定の知識を入れていくのもアリかなと思います。

応援してくれる人をもつ

もし AWS 認定を全て取得しようとするなら、個人差はあれど時間がかかります。受験時間だけでも32時間必要なので、学習時間も入れるとその何十倍何百倍とかかります。学習時間の確保もですが、どちらかというとモチベーションを維持することが難しくなります。私は応援してくれる人がいたので続けられました。主に、家族やチームメンバー、上司、社内コーチングのメンターです。私が合格報告をする度に、自分のことのように喜んでくれるのでそれが大きなモチベーションに繋がりました。あらためて感謝を伝えるとともに、私も誰かの頑張りを後押しできるようになりたいと思います。

終わりに

全冠を達成したあと、私が AWS 認定受験をはじめるきっかけとなった”インフラ構成を脳にぶち込む会”の録画をあらためて視聴しました。

1年半前はわからなかった説明を完全に理解できるようになっており自分の成長を実感するとともに、インフラ担当のメンバーはものすごくわかりやすい説明をしてくれていたことに気づきました。このときは本当に知識がゼロだったんです…ごめんなさい…そして、ありがとう。今後ともよろしくお願いします。

AWS 認定を全冠した今でも、わからないことだらけなのは正直変わらないです。それでも、自分なりの仮説をもとにある程度の問題なら調べつつ対処していけるかな(?)くらいの自信はつきました。そんなものかと思われるかもしれませんが、知識ゼロからはじめた自分からしたら大きな変化です。認定を保有しているだけでは意味がないので得た知識を活用して業務にアウトプットしていきつつ、今後 AWS 認定に挑戦される方を全力応援していきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

明日は、Gaku Wada さんの記事です。

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