情報統括部の誕生と10年目の社内転職を振り返る

この記事ではヌーラボにおける謎の組織「情報統括部」の紹介と、その発足に至る経緯を振り返りながら、私の「10年目の社内転職」の経験と学んだことを共有します。


私はヌーラボに入社して12年(2024年現在)の比較的古株で、現在は情報統括部を統括する平山と申します。
たいへん久しぶりに記事を書きますので、ヌーラボと古いお付き合いのある一部の方にはご無沙汰しております、とともに「情報統括部?」と疑問符が付くかたもいらっしゃるかもしれません。

情報統括部とは

ヌーラボの情報システムと品質保証(QA、Quality Assurance)を横断して担当する部門として2022年4月に発足したのが情報統括部です。社内の認証基盤や情報インフラの整備、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)や内部統制の運用、情報セキュリティ教育、情報インシデントの取扱いを主戦場としたチームです。主戦場の割にはいささか広いですが。
なお、私たちは愛をこめて「情カツ」と自称していますので、以後「情カツ」と表記します。唱えているとなんだかお腹が空いてきそうですね。

情カツは比較的新しく発足した部門ですが、契機となったのはIPOも見据えた品質向上や脆弱性対策などを目的とした体制の構築でした。ヌーラボは2022年6月にIPOしましたが、その数年前から社内インフラやネットワークの整備、情報インシデントへの対策といった様々なことがIPOに向けて要求されることになり、特に社内情報システムや情報セキュリティなどの側面で対応したメンバーが集ったのが情カツの前身の姿です。間近に迫ったIPOに向けて、されにはそれ以後も継続して運用し改善していく、さらにはより多くのお客様に安心してヌーラボのサービスをご利用いただくといったことも念頭に、一つの独立した部門として産声を上げました。

そういった経緯の中、QA・セキュリティという役割として白羽の矢が立ったのが私でした。

10年目に訪れた未経験職種への「社内転職」

私は2012年4月にヌーラボに入社してからの10年間はほぼ一貫してCacooの開発や運用に携わってきました。ヌーラボ以前を含めても、主にWebアプリケーションの開発や運用、プロジェクトマネジメントといったキャリアを歩んできていました。一番得意とする技術は、今やロストテクノロジーになってしまったFlashでした。

ヌーラボのイベントのLTで詠んだFlashへの想い。私のLTではPCもプロジェクターも不要です。

ウェブアプリケーション開発などの流れの中でISMSの活動、開発に携わる部分での品質テストやセキュリティ対策などに触れたことはありますが、専門的にQAやセキュリティに取り組んだ経験はなく、そういった分野が専門領域になるとは全く想像していませんでした。

そもそも想像もしていなかったので、QAやセキュリティをやっていくことは自分から手を挙げたわけではありませんでした。ですが、白羽の矢が立ったときには少しも悩むことなく承諾させてもらいました。おそらく、白羽の矢を放つ側も賭けだったと思います。IPOに向け、またその先の成長に向けて必要な仕事で誰かがやらなければいけないことだと理解していたので、自身の11年目から先のキャリア(次の10年間?)を同じく賭けてみたいと思い、社内転職ともいえそうなキャリアチェンジに臨みました。

右も左も分からない

さて、意気込んでやると決めたものの、ほぼ未経験の業務なので正直最初は右も左も分かりませんでした。未経験の人間に白羽の矢が立つくらいですから、社内にセンパイがいて教えていただくといったこともありませんでした。あらゆることで何が必要なのか、何を要求されているのかをしっかり聞いて自分でかみ砕いて解釈する、その対応として何ができるかを考え遂行していく。ということを自分なりに繰り返したように思います。

これまでの社会人経験を振り返ってみても、先達について業務をこなしたり、導いてもらうという経験が薄かったのが幸いしたのか、あるいは周囲の関係者の皆さんが生暖かく見てくれていたのか…字面ほどは苦労には感じていなかったようにも思います。

得られた学び

そういった手探りの日々を通してたくさんの学びを得ました。

  • 原理原則に立ち返ること。ルールなど何かを決めるときに、その背景にある「理由」や「必然性」からスタートしないと、決めたことが無駄になったり上手く働かないこと。
  • 最初から100%を求めないこと。完全でなくても、有効性を発揮できるレベルと期限内に実行できる内容のバランスをとれるラインを見定めて走らせないと何も始められないこと。
  • 相手の理解できる言葉を選びとること。説得や説明を理解してもらうには、言葉に選択の余地があるのであれば相手に馴染んだ言葉を選び、相手に馴染みのない言葉が避けられない場合は丁寧に説明することで、十分な意思疎通に導くこと。

もちろん、ISMSや内部統制といった専門知識も多く学んだのですが、以上のような汎用的な態度というのも大切な学びだと思います。

まとめと展望

今回ブログリレーという機会があったので、自身のキャリアやマネジメントしているチームのことを振り返ってみました。
これまでに経験のない新しいものにチャレンジすることは、ある程度の勇気や思い切りが必要かもしれません。一方で、学びや成長につながるチャンスでもあると思います。個人的には、人生の中でそういった機会が訪れるのは稀だと思うので、そのときには思い切って飛び込んでみるのがいいのかなと考えています。

最後に今後の情カツの展望についても触れておきたいと思います。

これまでの情カツの活動は、発足の経緯から、どちらかというと「守り」に比重を置いている面があるのかなと思います。これはもちろん、お客様に安心してヌーラボのサービスをご利用いただいたり、ヌーラボという会社自体を信頼していただくという面においては非常に大事なことです。ですが「守り」の姿勢ばかりが過ぎると、新しい価値の創造を阻害したり企業活動にブレーキをかけたりすることにもつながりかねません。

情カツは直接的にはプロダクト開発などに携わっていないのでヌーラボの中では後方支援部隊という位置づけになるのですが、今後は「守り」は大切にしつつ、いかに「攻め」を促進するか?ということを念頭に構想を練りたいと考えています。例えば過剰なルールを妥当性のあるものにスリム化したり(一方で不十分なところは見直していく)、社内システム活用の効率を改善したりといったことです。

究極的にはお客様に今よりサービスに満足していただき、世界にヌーラボという会社をもっと信頼していただくことが大切ですので、そのためにはまだまだたくさん出来ることがありそうだとワクワクしています。

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