8月4日にヌーラボ福岡で「Bot Meet Up in Fukuoka〜チャットボットのトレンド、テクノロジー、サービス事例〜」を開催。ライトニングトークには株式会社ウフルテクニカルロックスターズ代表部谷修平氏、株式会社BotEgg代表 藤田直哉氏、ウェブリオ株式会社板倉由知氏、弊社代表の橋本(@hsmt)が登壇しました。
同イベントは、シード期のスタートアップに特化したベンチャーキャピタルF Ventures LLPとチャットボットの企画・開発・Webメディアの運営を行うBotEgg株式会社が共同主催しました。4人のゲストによって、チャットボットに関するライトニングトークが展開され、ボットの変遷から企業の導入事例、ボット作成のデモなどが行われました。
ボットの開発環境を提供するLINEとFacebookの動き
最初に登壇したのは、本イベントの主催者でもあるBotEgg代表 藤田直哉氏。コンサルティングから開発まで、チャットボットに関するすべてのサービスを提供する藤田氏は、昨今のボット事情を企業の導入事例とともに紹介し、今後の見通しについて解説しました。
「人工無脳」と呼ばれているボットは、人工知能から派生して作られました。数年前と比較して、会話の精度が上がり多彩なバリエーションを持てるようになったこと、またビジネスメッセンジャーアプリの普及により、その汎用性の高さに注目が集まっています。例えば、Facebook、LINEなどは、企業向けにボットを開発できる環境を提供しており、企業はカスタマサーサポートや情報配信に活用しています。大手のECサイトや物流、飲食チェーンなどは顧客からの問い合わせに自動対応したり、キャンペーン情報の発信に活用。メディアはボットを使って情報配信をしています。
藤田氏は、チャットボットの今後について「技術や手段が進歩していくとともに、ビジネス(サービス)と人との窓口として、どんどん普及していき、特にコンテンツ消費・カスタマーサービス・販売状況と取引履歴確認などの分野で導入する企業が増えていく」と述べました。
そして、スタートアップビジネスとして考えるのであれば「FacebookMessengerを中心とした、ボットの開発・運用サポート・分析ツールなどのツルハシビジネス。または、ボットを主体とした独自アプリの開発やSlack向けのビジネスボットサービスが有望である」と自身の見解について語りました。
次に登壇したのは、ウフルテクニカルロックスターズ代表部谷修平氏。同社では、IoTデバイス・スマートフォン・PC間で簡単にリアルタイムなデータのやり取りが出来る「Milkcocoa」とあらゆるデバイスとクラウドサービスをつなぐ、IoTのためのデータ連携プラットフォーム「enebular」 を開発・運用しています。
部谷氏は、自身のプロジェクトとして、LINEで家電操作するボット、Slackでの新人向けチュートリアルボットやFacebookでのお問い合わせ対応ボットなどを開発しています。今回のイベントでは、「プログラミングをしない」というテーマのもと、Messenger・Twitterなど多彩なプラットフォームに対応するボット開発環境の提供サービス「Meya」を使って、お問い合わせ対応ボット開発の実践がされました。
ヌーラボの社内外タスクを陰で支える○○なボットとは
続いて登壇したのは、弊社代表の橋本。「僕とボット」というテーマで、1998年に初めて触ったチャットボットとの出会いから、自社チャットツールのTypetalkに存在するチャットボットについて紹介しました。
ヌーラボでは、対話型ではなく単発型のチャットボットを導入しています。ボットの環境は、自社で開発したChronosというチャット用スクリプトやHerokuを使っています。通知先であるTypetalkでは現在 種類のチャットボットが存在します。社内の事務関係だと、HelloとGoodbyeと入力するだけの勤怠管理「Hello Goodbye」と経費精算の通知をする「Keffee」。セミナールームなどの予約情報を通知する「Booking Reminder」もあります。
社内タスクの進捗通知にも活用されており、Backlogでの更新をTypetalkに通知したり、Jenkinsのビルドやデプロイ通知にも活用されています。
個人的に注目したいのが、「書籍購入ボット」です。弊社では書籍購入時に確認のためにBacklogに課題をあげる必要があるのですが、このボットを使えば「@buy_book+書籍URL」をTypetalk上で呟くだけで、Amazonの書籍ページのURLがBacklogの課題に自動登録され、書籍注文が簡単に完了できます。
他には、社外関連だと、ユーザーサポートなどにも活用しています。例えば、Twitter上でのヌーラボ関連のつぶやきに反応してTypetalkで発言するチャットボットや、ユーザーボイスの投票数の自動投稿が挙げられます。
イベントの最後は、オンライン辞書サービス「Weblio」を展開するウェブリオ社エンジニア板倉由知氏が務めました。同氏は、人工知能を使った自社のチャットボットサービス「ナンナ」を紹介。同サービスは、オンライン英会話などネイティブとの対話に障壁を感じているユーザーに対して、音声対話型英会話ボットのナンナを提供することで気軽に会話を楽しめるというもの。
ナンナは、ユーザーの言葉を音声データとして音声認識エンジンで認識します。そして、テキストに落とし込み、三つの対話文生成システムと話題変更システムを掛け合わせて、対話文を生成。生成されたテキストデータを音声再生エンジンを通して音声データに変換し、ユーザーと会話をするという構造になっているそうです。
ボットの概況から導入事例、実際の作成手順まで余すことなく語られた本イベント。今後チャットボットは、カスタマーサポートから企業広報まで対応範囲はますます拡大していくことが予測されます。イベント内でも紹介されていた弊社のチャットツールTypetalkは、ボットを使うことで、簡単に自分流のカスタマイズをすることができます。試しにボットを動かしてみたい方は、よろしければこの機会にぜひお試しください。