「コラボレーションラボ」とは、コラボレーションツールを提供するヌーラボが考える「2名以上のメンバーが集まって1つの成果物を生み出す過程(=コラボレーションワーク)」について発信していきます。ここでは、「こうするべきだ」と正解は提示しません。日々トライ&エラーを続ける当事者として、ヌーラボの取り組みを報告していくものです。
今回は、ヌーラボが2013年に英語で発信したコラボレーションに関する文章を和訳したものをお届けします。
この文章は、ヌーラボが2013年に、独自に調査し結論づけた「コラボレーションを成功に導く4つの要素」についての記事を翻訳したものです。当時のヌーラボはまだ少数のチームで、受託開発の事業を閉じ、やっと自社サービスが主事業となった時でした。
当時から、事業の軸を「コラボレーション」に置いていたヌーラボ。あれから会社も変化し、事業規模も拡大しました。当時のヌーラボはどんなことを考えていたのでしょうか。ここには、今回のCollaboration Labの立ち上げに当たって、私たちの「コア」となるであろうことが書いてありました。
ヌーラボのソフトウェアであるBacklog、Cacoo、そしてTypetalkは、「コラボレーション」という概念をコアとしています。2010年には、ヌーラボの国内拠点である東京、京都、福岡にて、カンファレンスを開き、わたしたちの仕事の中にあるヌーラボならではのラボレーションのプロセスについて考えました。私たちの開催したカンファレンスは、ワールドカフェという、より良い意見や協調的な会話を引き出す手法を用いて行いました。ワールドカフェを実施することで、新しいアイデアを見つけ出したかのように、参加者を信じられないほどインタラクティブにさせることができました。
カンファレンスの準備にあたり、私たちのチーム、ヌーラボは人材開発に強みがある友人の会社の助けを借りながら、コラボレーションの技術に関して、改めて研究しました。私たちはチームにおけるコラボレーションの度合いを分析のメカニズムを開発しました。その開発プロセスは、4つのステップで構成されていました。
- インタビューを通じて、100名のプロジェクトマネージャーからコラボレーションを成功させるための重要な要素を収集します。
- 1のプロセスで得た重要な要素を含んだアンケートを作成し、数百のグループに回答してもらいます。
- アンケートの分析結果から上位4つの要素を選びます。
- 前回の結果から収集した上位4つの要素に基づいて24の項目がある新しいアンケートを作成し、新たにインタビューを行います。
研究を終えて、私たちはチームのコラボレーションを成功させるために最も重要である4つの要素にたどり着きました。
共通のミッション / Common Mission
全てのチームメンバーは、メンバーのスキルやパッションに関係なく、チーム全体の目標や決定を共有すべきです。これを「Common Mission (共通の目標をもつ)」と呼びます。チームが共通の目標を持った時、チームのコラボレーションは、より生産性の高い結果に繋がることでしょう。
オープンマインド / Open Mind
チームメンバーは、たとえ完璧でないアイデアでも、個々のアイデアを共有し、自分の意見とは異なったり、自分の期待通りでない意見も傾聴し、受け入れることができるようにならなければなりません。
ブレインストーミングやグループディスカッションをオープンマインドの精神で行うと、互いのアイデアを刺激しあえたり、新しい視点の発見に繋がることがあります。そして、最終的には効果的なコラボレーションが行われます。
強みの相互補完 / Complementary Strengths
優れたコラボレーションができるチームは、様々な強みを持ったメンバーで構成されている必要があります。これらの強さは、どんなに異なっていても、ジグソーパズルのピースのように、互いに補完し合う必要があります。相互補完的な強みを持つメンバーは、チームメイト同士のスキルと才能を活用し、そして仲間の弱みを、強みで補うことができます。この理論だと、コラボレーションは個人の成長を促すだけではなく、チームの成長を促します。
全体性 / Wholeness
「全体性」とは、グループ独自の取り組みをさします。これは、4つの中でも私の一番のお気に入りです。全ての問題や課題は、全ての人に関わってもらい、チームとして解決する必要があります。個人プレーで課題に取り組むべきではありません。
あなたも、自分のチームのコラボレーションの成功度合いを、上記4つの要素を下記のように確認してみてください。
- あなたのチームは、共通の目標を共有していますか?
- あなたや、あなたの同僚はオープンマインドを持って仕事をしていますか?
- あなたや、あなたの同僚は、互いを補完できる強みを持っていますか?
- あなたのチームは、「全体性」を維持できていますか?
あなたのチームは、コラボレーションできていますか?よかったら、あなたのチームがコラボレーションができたと感じる経験を、私たちに教えてくださいね。
この、ヌーラボが、2013年に出したこの文章。
「1. 共通のミッション」「2. オープンマインド」は一般的にも言われることが多いため、みなさん当たり前のように受け入れられる項目ではないでしょうか。
「3. 強みの相互補完」については、現在のヌーラボでは、「弱みの相互補完」と言い換えて捉える傾向があります。下記は、代表の橋本のブログからの抜粋です。
「強み」を持つというのは、実は難しいことなのではないでしょうか。誰しも「やりたいこと」と「やれること(強み)」がずれていると感じた経験は一度や二度、あるのではないでしょうか。強みの相互補完の前提にある、「誰にでも強みがある」という概念は、「努力すれば報われる」という概念と同じように、期待値を上げてしまうのかもしれません。それであれば、弱みを補完しあう優しく強固な「助け合い」の世界を目指した方が良いのではないか、というのが現在のヌーラボの考え方です。
詳細が気になる方は、ぜひこちらをご覧ください。
ねぇ、弱みをさらけだして相互に助け合う「弱みの相互補完」をやっていこうよ
最後の「4. 全体性」という言葉は、個人的には頭に入ってきづらい、あまり耳慣れない言葉でした。噛み砕いていくと「当事者意識」の話につながる印象を持ちました。全体で課題に関与し、メンバーみんなに当事者意識を持ってもらうというイメージでしょうか?
みなさんのチームでも、どんな時にプロジェクトが成功と言えたか、コラボレーションができていると感じたか、振り返ってみてはいかがでしょうか?