
こんにちは! 株式会社ヌーラボのCRE(Customer Reliability Engineer)ユニットに所属している itohara です。
(この記事はヌーラボブログリレー2025 冬Bizの18日目として投稿しています。)
私は2025年4月に入社し、CREユニットに配属されました。
実はこの「2025年4月」というのは、ヌーラボのCREにとって非常に重要なターニングポイントでした。
今回は、発足から9ヶ月が経った今だからこそ伝えたい、「そもそもヌーラボのCREとは何か?」というお話と、先日開催した「CREギャザリング」の様子をセットでお届けします。
これを読めば「ヌーラボのCRE」のすべてがわかるのではないかと思います。
目次
そもそも「CRE」とは何か?
近年、「CRE(Customer Reliability Engineer:顧客信頼性エンジニア)」という言葉をよく耳にするようになりましたが、元々は2016年にGoogleによって提唱された職種になります。
SRE(Site Reliability Engineer)が「システムの信頼性」を守るのに対し、CREは「顧客体験の信頼性」を守ることを目的としています。
ヌーラボが考えるCREの信頼性とは
「サービスの仕様・技術を深く理解し、顧客の課題を技術的手段と専門知識で解決することで、サービスの信頼性や安定性を高める」としています。
ヌーラボにおけるCREのミッション
私たちは、お問い合わせの最前線でお客さまに寄り添う「カスタマーサポート」と連携し、より深い技術的な調査やコードレベルでの修正が必要な課題に対して、エンジニアの知見と経験を活かしてバックアップをしています。
カスタマーサポート、そして開発チームと密に連携しながら、サービス全体の信頼性を高め、最高の体験をお客さまに届ける。
さらに、お客さまの声を最も近くで聞くカスタマーサポートチームが、より効率的に業務を行えるよう技術的なツール開発などのサポートも行います。
これが、私たちのミッションになります。
2025年4月 プロダクト専任から「ユニット」へ
2025年3月以前、ヌーラボには「CREユニット」という独立した組織はありませんでした。
当時は、Backlogのテクニカルサポート、Cacooのテクニカルサポート、Nulab Passのテクニカルサポート…といったように、各プロダクトごとに専任の担当者が配置されていました。
それが2025年4月に組織改編により統合し、「CREユニット」として、すべてのプロダクトの顧客信頼性向上を横断的に担うチームへと生まれ変わりました。
現在のメンバーは5名と少数精鋭ではありますが、Backlog, Cacoo, Nulab Pass というヌーラボの全サービスをカバーし、プロダクトの垣根を超えてナレッジを共有できる体制になりました。
そして開催された「CREギャザリング」
さて、ここからは私たちCREの活動の一部を紹介します。
4月に組織が統合され1つの「ユニット」になって早9ヶ月が経過しました。
日々の業務においては分散していた各プロダクトのサポートの流れを一本化し、CREとしての基盤をスピーディに整備することで、混乱もなく安定した業務運営を実現することができております。
ただし、まだユニットとしては立ち上がったばかりなため、新たな課題の共有やユニットとしての結束を高めるためにもオフラインの「CREギャザリング」を開催することにしました。
既に「CREギャザリング」は2回開催されていますが、今回は第3回目の12月2日〜3日に開催された際のレポートをお届けしたいと思います。
場所は福岡本社オフィスです。 普段はリモートで業務を行い連携しているメンバーが、膝を突き合わせて「これからのCRE」について語り尽くす2日間となりました。
私は東京オフィス所属ですが、ギャザリングのために福岡まで足を運びました。
Day 1:失敗を共有し、強くなる
初日のテーマは、あえて「ネガティブ」に向き合うことでした。
まずは「インシデントの共有」です。
4月から現在までに発生した様々な課題やインシデントについて詳細を報告し、サービスの安定性をより強固なものにするためのディスカッションを行いました。
単なる事実報告ではなく、「なぜ起きたのか?」「再発防止策は機能しているか?」をディスカッションします。
そして、さらに踏み込んだのが「個人の失敗談共有」です。
対応したお問い合わせの履歴から自身の「ヒヤリハット」や「失敗」をピックアップし、ワークを行いました。
「あの時のログ調査、もっと早くできたはず」「手順の認識齟齬があった」「伝え方の表現を変えるべきだった」…。
とメンバー全員が失敗を隠さずに出すことで失敗の共有と失敗を活かす方法を議論しました。
結果、今後同じ過ちを起こさないためにはどうしたら良いのかを学習しました。
以前はプロダクトごとに閉じていた「失敗のナレッジ」も、1つのユニットとして統合されたことで全員の共有財産になります。
「失敗を責めずに、チームの糧にする」。 高い信頼性(Reliability)を担う私たちだからこそ、まずは自分たちの足元を見つめ直し、ユニットの心理的安全性を高める大切な時間にできたのではないかと思いました。
Day 2:AIへの渇望と、メンバーの意外な一面
2日目は未来に向けたポジティブなワークショップを行いました。
① LT大会
私たちは普段フルリモートで業務を行ってるため、お問い合わせや調査などの通常業務以外で他のメンバーがどのようなことを課題にし、日々取り組んでいるのか詳細を知りません。
そこで今回、一人5〜10分のLT(ライトニングトーク)を行いました。
ルールは「通常業務(お問い合わせ対応や調査)以外でどのような課題を持って対応しているのかを話す」こと、また「今後やりたい野望」についてです。
ここ半年の業務や業務改善ツールの紹介、今後チャレンジしてみたいことなど、普段のテキストでのやり取りだけでは見えないメンバーの「強み」や「個性」を知ることができました。
「えっ、〇〇さんってそんなこと考えてたんですか!?」という驚きの連続で、チームの相互理解を一気に深めることができました。
② 「CRE × AI」リファイメント
私たちのユニットは少数で業務を遂行しているため運用の効率化が欠かせません。
また、定型業務や機械的な作業も多いと感じています。
そのため最近では、定型業務や機械的作業についてはAIやシステム化などを活用してユニットの負担を減らすことが、急務だと感じています。
そこで「日々の業務をAIやシステム化でどう効率化するか?」をテーマにしたワークショップを実施しました。
今回、リファイメントを形にするため、大きく3つのフェーズに分けてワークを実施しました。
- Pain Dump(課題の洗い出し) を青色の付箋で課題を発散させ、黄色の付箋で解決策のアイデアを書き出してもらいました。
- 黄色の付箋(解決策のアイデア)を元に改めてアイデアを実現するための対応困難度と業務効果を議論しながら Refinement Matrix(実現性と効果の分析) としてマトリックスに配置していきます。
- マトリックスを参考に未来に向けて何ができるのかを具体的なアクションとしてロードマップに配置し、次期プランニングへ繋ぎます。
事後アンケートでは「時間が足りない!もっと深くやりたい!」という声が殺到するほどでした。
「新しい技術で業務を変えたい」という、エンジニアとしての健全なハングリー精神が可視化された瞬間でした。
③ CREの認知拡大
最後のワークは「CREの認知拡大」についてです。私たちとしてはCREの活動をもっと社内・社外にも認知してもらいたいと考えています。
そこで 「社内・社外にもっとCREの活動を知ってもらうにはどうすれば良いか?」 というお題でCacooのキャンバスを使ってメンバーでアイデアを出し合ってもらいました。
最後はギャザリングのふりかえり
2日間のギャザリングの締めくくりとして、Cacooを使いふりかえり(KPT)を行いました。
「Keep(良かったこと)」で今回の成功体験を称え合うだけでなく、「Problem(課題)」として挙がった進行上の反省点に対しても、その場ですぐに具体的な「Try(次やること)」へと昇華させることができました。
議論に熱中するあまり、予定時間をオーバーしてしまう場面もありましたが、それも全員が真剣に向き合った、充実した対話の証拠だったと思います。
またアンケートを用意し、参加者へギャザリングのアンケートに回答をしてもらいました。
「足元の課題と共通認識」、「メンバー間の相互理解が深まり、今後の業務の円滑化につながると感じた」などと全員から良い回答が返ってきました。
そして「今回のギャザリングをどの程度おすすめできますか?」という質問に対し、参加者全員が満点の「⭐️5」と回答していました。
「メンバー間の相互理解が深まり、今後の業務円滑化につながる」という感想に加え、定量的な評価でもチームの満足度の高さが証明できたと思います。
Cacooのキャンバスに次々と貼られる付箋からも、「次回のギャザリングをより良いものにしたい」という全員の強い意志が可視化され、良い形でギャザリングを終えることができたと実感しました。
さいごに:これからのCREが目指すもの
2025年4月にスタートした新生CREユニットですが、 9ヶ月が経ち、今回のギャザリングを経て、私たちが目指すべき姿はより明確になりました。
私たちの業務は、単なる「不具合調査」や「お問い合わせの窓口」だけではありません。
技術と対話の力で、お客さまとプロダクト、そして社内のチーム同士を繋ぎ、ヌーラボのサービスの信頼性を根底から支える「要(かなめ)」だと考えます。
これからも、Backlog , Cacoo , Nulab Pass というすべてのプロダクトにおいて、お客さまが安心して使い続けられるよう、技術的な側面から全力でサポートし続けていきます。
「ヌーラボのサービスなら大丈夫」。
そう心から信頼していただける体験を、私たちCREが提供していきたいと考えております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。





