2017年6月2日にヌーラボ東京オフィスにて「 Geeks Who Drink in Tokyo -Design Renewal Edition-」を開催しました。成功談だけでは語りつくせないのがウェブサービスのリニューアル。そこで今回はデザイナーを対象に「デザインリニューアルのしくじり特集」というサブタイトルのもとイベントを開催しました!リニューアルに関わるデザイナーや開発者の本音が飛び交ったイベントの模様をお届けします!
「小さく早く試す」 フリルのリニューアルの舞台裏
最初に登壇したのは、 手数料無料で様々なアイテムを簡単に売り買いできるフリマアプリ「フリル」のデザインリニューアルを担当した、株式会社Fablicのプロダクトマネージャー/デザイナーの山口有由希さん。
フリルはもともと、アプリファーストでサービスが作られていました。そのため、ウェブで商品を探せても購入する場合は、フリルのモバイルアプリをダウンロードする必要性があったそうです。ウェブでも商品の検索から購入までを完結できるように、ウェブ版フリルのリニューアルプロジェクトが発足されました。メンバーは山口さんを含めて3人。企画・デザイン・フロントエンドの3役はすべて山口さんが担当し、あとの2人はサーバーサイドエンジニアという布陣でプロジェクトは進められました。
プレゼンテーションでは、Google Analyticsを使った現状のウェブサイトのコンバージョン率と離脱ポイントなどのデータ調査から始まり、目標値の達成に向けた施策の選定と実行時に意識した点などが共有されました。結果的に、オーガニックUU数は3倍伸び、登録ユーザー数は20倍に伸びたそうです!
時間が限られていたため、デザイン面では色々と反省する点や心残りがあったそうですが「目標に対していかに結果をだすのか」を最重視したとプレゼンテーションが締めくくられました。詳細については、以下のスライドをご覧くださいね!
Backlogリニューアルの舞台裏 – しくじり特集 –
続いて登壇したのは、Backlogのデザインリニューアルを担当した、ヌーラボの中川。4月に開催された「DevLOVE 関西『デザインリニューアルの難しさ』」にて発表した、「Backlog UI リニューアルの舞台裏」をしくじり談を踏まえながら発表しました。
Backlogは、2016年12月にUIデザインを大幅にリニューアルしました。イベントでは、ベータリリース時のユーザーフィードバックを正式版リリースの3ヶ月後までに、どのようにデザインに反映して、改善したのかが語られました。
2006年のサービス開始以降、Backlogは既存UIへの継ぎ足しや小変更などのリニューアルは行ってきたものの、UI全体のコンセプトから考え直したアップデートは、今回が初めてでした。大幅な刷新だったため、「元のデザインに戻してほしい」という声も多々あったそうです。
今回の発表では、リニューアルプロジェクトのコンセプトの設計や、また新デザインを旧デザインをどのように”featuring”したのか、ユーザーからのフィードバックで気づいた、デザイン的にクリティカルな問題にどのように対応したのかなど、より使い心地の良いBacklogのデザインを追求するための葛藤が生々しい体験談として語られました。
中川の涙と葛藤の3ヶ月についてはスライドをぜひご覧ください!
デザイナーや開発者からの質問が飛び交った、本音Q&Aタイム
プレゼンテーション後のQ&Aでは来場者の方に、フリルとBacklogそれぞれに対する質問と、両者に聞きたい質問をふせんでホワイトボードに貼っていただきました!リニューアルプロジェクトの設計や効果測定についての考え方といった実用的な質問から、もっとも大変だったことは?といった、さまざまな質問が挙げられました。当日の質問内容をいくつか抜粋して、お届けします。
「リニューアルプロジェクト中につらかったことは何ですか?」という質問に対して、各社の登壇者が当時の心境を赤裸々に語る場面がありました。
中川「ユーザーからのフィードバックをBacklogのデザインに反映する作業は主に自分が進めていました。微調整の段階になってくると、しっかり調整ができているか、行き過ぎていないか、を客観的に判断できなくなっていくので、定期的に自分以外の人にも確認してもらいつつ進めていくなどしていましたが、ここまでできてあればOK、といった正解がないところが大変でした」
山口さん「実はフリルのリニューアルは、デザイナーではなくプロダクトオーナーとして臨んだ、初めてのプロジェクトでした。ウェブサイトのデザインやマークアップをして終わりではなく『サイト自体の様々な数値を増加させる』という数字としての結果も出す必要があったので、プレッシャーは相当ありましたね」
続いて、リニューアルプロジェクト中に「見抜けなかった、トラップやアクシデントはありますか?」という質問もありました。
山口さん「Googleがどの結果をよしとしていたのかは見抜けませんでしたね。もちろんそういうものだとは理解していましたが…(笑)。自分たちが考えてもどうもできない課題だったので、とにかく細かく早く結果をみて検証していきました。まさにトライアンドエラーの繰り返しでしたね」
中川「全体を振り返ると、見抜けたはずのことが見抜けていなかったと思います。冷静になった今だからこそ思える『何でやっていなかったんだろう』がたくさんあるということですね。Backlogは自分たちが毎日使っていて、開発を進めている。自分たちが一番のユーザーだと思っていた節があったのかなぁ、と思います。プロジェクトを終えた今はそんな気持ちはまったくないですが」
残念ながら、すべての疑問に答えることはできませんでしたが、来場者のなかには、リニューアルプロジェクトをすでに体験したことのある方や現在進めている方、今後取り組もうとしている方がおり、多面的な質問が飛び交うとても良い機会になりました。以下当日の写真をお届けします!
今回のイベントの模様はこちらにて配信していますので、ぜひ観てください(Facebook LIVE配信 )。また、Twitterのまとめもこちらからどうぞ(Geeks Who Drink in Tokyo -Design Renewal Edition- デザインリニューアルのしくじり特集 – Togetterまとめ)。今回のしくじり談がみなさんのリニューアルプロジェクトを成功させるための糧となることを願っています!
6月もGeeks Who Drinkを開催します。イベントに関する情報はこちらのページで随時お知らせしますので、ぜひチェックしてくださいね!また、こういうイベントを開催してほしい!というご意見も、ヌーラボのTwitter(@nulabjp) か Facebookで受け付けております♪