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「例の機能改善の件なんですけど・・・」
新しいプロジェクトを立ち上げてチームメンバーや関係者と話すたびに、こんな一瞬の詰まりを感じることはないでしょうか?プロジェクトの正式名称は正確だけど長い。かといって毎回説明するのも面倒。相手からするとそれをいちいち記憶するのも面倒じゃないだろうか・・・。
そんな小さなモヤモヤを解消してくれるのがプロジェクトの「コードネーム(合言葉)」です。
実は私たちのチームでは、すでにいくつかのプロジェクトにコードネームをつけて運用しています。今日はその実例を紹介しながら、メリット・デメリットについて考え、すぐにでも試せる小さな一歩を提案してみたいと思います。
(この記事はヌーラボブログリレー2026 Biz 夏の6日目として投稿しています。)
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コードネームってどんなもの?
まずは最近リリースした機能から、実際の例を2つ紹介します。
Project Orion
由来はそのまま、誰もが知っている星座「オリオン座」です。オリオン座の中央に並ぶ「3つ星(オリオンのベルト)」が、このとき実現する「3階層」という機能の特徴と重なったため選びました。次の文章は実際に私が書いたBacklogのドキュメントから一部抜粋したものです。
有名な星座の名前で、誰もが聞いたことがあります。特にオリオン座の中央には「3つ星」が象徴的に並んでおり、今回の「3階層」という特徴をさりげなく表現することができます。
パッと聞いただけで「ああ、孫課題の話ね」と連想してもらうことを狙っています。
Project Lotus
もう少し抽象的な例です。「泥の中に深く根を張り、水面に清らかな花を咲かせる蓮」という植物のイメージに、不確実性と機能を成長させていく意図を重ねています。同様に一部抜粋します。
まだ足場の固まらないその新たな領域にあえて深く根を張り、強固な技術基盤を築くことで、最終的に洗練された素晴らしいプロダクト(花)を誕生させる。
改めて読み直すと大袈裟な表現に感じられますが、これは、7月にリリースした「関連課題」のことです。ありがたいことに、多くのフィードバックをいただいていて、それをもとに機能の改善や今後の方針を検討しています。
このように、コードネームは単なる「おしゃれな呼び方」ではなく、プロジェクトの意図や戦略をぎゅっと凝縮した「合言葉」となるのです。
命名で工夫していること
今日紹介したOrionやLotusという名前では、共通して考えたことが2つあります。
機能のコンセプトに似た要素を持たせつつ、直接的に関係ないものを選ぶ
「3階層」→星座の「3つ星」、「機能を成長させる」→蓮が泥から花を咲かせる様子、というように、そのとき思いついた特徴の「比喩」となるように考えます。機能名そのものを略しただけの名前にしないのがポイントです。
たいていの人が知っていそうなものを選ぶ
星座や植物のように、説明されれば誰でもピンとくる題材を選ぶことで、記憶に残りやすくなることを狙っています。個人的なこだわりですが、元ネタがマニアックすぎると、由来を説明してもかえって伝わりにくかったり、覚えにくかったりしそうなのでできるだけ避けるようにしています。
ちなみにOrionには、コードネームとは別に「Advanced Issue Hierarchy」という名前(より高度な課題管理を実現する、という意味を込めた正式プロジェクト名)もつけていました。しかし、いざプロジェクトが動き出して日々の業務に追われるうちに、私自身でさえこの名前はすっかり忘れてしまい、気づけば誰もが「Orion」としか呼ばなくなっていました。この出来事から、どれだけ意味を込めて正式名称をつけても、日常の呼びやすさには敵わない——というのを身をもって体感しました。
コードネームをつけるメリット
1. やりとりがシンプルになる
一度「Orionは孫課題の話」「Lotusは関連課題の話」と情報を共有しておけば、以降は「Orionの件で〜」「Lotusの件で〜」という枕詞を置けば背景が通じます。課題のタイトルも、会議の議題も、Slackのメッセージも、すべて短く済むようになります。
2. 機能に直接関係ない「でもリリースまでにやるべきこと」をまとめて呼べる
新機能をリリースする裏側では、リファクタリングや技術的負債の解消、既存UIの軽微な修正など、機能そのものとは直接的に関係ない作業が必ず発生します。これらを「孫課題」のような具体的な機能名の中に無理やり押し込むと、実装したい機能と作業内容にギャップが生まれて違和感がでてくることがあります。ですので、実際の機能とは直接的に関係のないコードネームをつけてしまいます。こうすることで、「課題テーブルの階層にもう一階層追加する前に、課題テーブル全体のリファクタリングもやる」というようなときは「Project Orion(Refactoring)」のようなマイルストーンをつくってまとめてしまいました。
これについては、機能ごと、作業ごとに細かく区切った方がよいという考え方もありますが、一度のリリースのために必要なものであれば同じプロジェクトにまとめてしまって、そのなかでマイルストーンで区切るくらいが管理しやすいと感じています。
3. なんとなくおしゃれで、一体感が生まれる
主観的ですが一番狙っているのがこの効果です。無機質な機能名より、OrionやLotusのような名前がついたプロジェクトの方が「自分たちのプロジェクト」という愛着が湧きやすく、他チームを巻き込むとき、巻き込まれるときの求心力にもなります。
デメリットとその対策
もちろんコードネームをつけることで得られるのは、良いことばかりではありません。
メリットと同じことを言うようですが、デメリットは「初見で何を指すのかわからないこと」だと思います。プロジェクトの途中から参加したメンバーや、あまり関わりのない部署の人からすると、「Orionって何のこと?」となってしまいます。
ただ、この対策はシンプルです。
ドキュメントに由来と背景を必ず明記する
Orion、LotusのBacklogドキュメントの最初のページには、どちらも「Origin of Codename」という見出しをつくっていて、先に紹介した命名の理由を書いています。これがあるだけで、後から入ってきた人でも簡単に背景を掴めるようにしています。
自分たちが恥ずかしがらず呼び続ける
せっかく命名しても、途中で「正式名称」に戻ったり、チームメンバーや関係者が思い思いの名前で呼んでしまったりしてはコードネームは定着しません。多少照れくさいと感じても、堂々と使い続けましょう。もし、「孫課題についてなんですけど・・・」のように問われたときには、さりげなく「あ、Orionのことですね。それは〜」とワンクッション入れてみてもいいかもしれません。
コードネーム(合言葉)をつけるには
簡単にメリット・デメリットを整理してみました。あなたも「やってみようかな」と感じていただけましたか?
もし、そう感じていただけたなら、難しい準備は要りません。次の3ステップで、あなたのプロジェクトはすぐに「合言葉」を持てます。
- プロジェクトの本質を一言で言い換えてみましょう:「3階層の機能」→「星座の並び」、「これから成長させていく機能」→「植物」のように、機能の特徴やプロジェクトを象徴する何かを探してみましょう。
- 由来や理由をドキュメントの冒頭に一言書いてみましょう:凝った文章である必要はありません。まずは「なぜその名前にしたか」が一行あるだけで十分です。プロジェクトを進めるうちに、発見や気づきがあればドキュメントを更新してください。
- その日のうちにBacklogやSlack、会議で使ってみましょう:「じゃあこのプロジェクトは〇〇と呼びましょう」と、思い切って宣言してしまうのが最初の一歩です。あなた自身が何度も繰り返し口に出すことでプロジェクトに合言葉を定着させてゆきましょう。
まとめ
プロジェクトのコードネームは、ただの「おしゃれな呼び方」ではありません。やりとりを短くし、雑多な作業をまとめて説明できるようにし、チームに一体感を生む、簡単で地味だけど実用的なコミュニケーションの一部です。
私たちヌーラボには「To make creating simple and enjoyable(創造を易しく 楽しくする)」というミッションがあります。プロジェクトのコードネームを考えるという小さな工夫も、実はこのミッションを私なりに解釈したものです。やりとりを易しくし、プロジェクトの意味や解決したい課題について考えて、それを語ることをほんのちょっとだけ楽しくする——そんな効果を、私たちは日々の開発の中で実感しています。
次に新しいプロジェクトを立ち上げるとき、ぜひ一度、そのプロジェクトの「合言葉」を考えてみてください。