このブログは、シンガポールにある Nulab Asia に所属するヌーラバー:Soo Hianが執筆した内容を日本語化したものです。
世界中にいるたくさんのヌーラバーは、新型コロナウイルス感染拡大のずっと前から、家やコミュニティスペース、そのほかの場所から仕事をしてきました。もちろん、オフィス以外で働くことは必ずしも全員にとってベストというわけではありません。しかしステイホームを余儀なくされたとき、働く場所としていくつかの選択肢を持っていたら、働き方を変えることはそんなに難しいことではないでしょう。
ヌーラボのシンガポールオフィスから仕事をしているのは、僕と僕のチームメイトであるジェニーです。これまで僕たちは、ヌーラボのサテライトオフィスであり、ヌーラボ製品ユーザーのコミュニティスペースでもある「NuSpace」で仕事をしてきました。ユーザーと同じ空間にいて、ユーザーと交流をしながら一緒に仕事をしていましたが、3月半ばから「ワークフロムホーム:在宅環境からの仕事」が始まりました。
同じオフィスにメンバーが集っていれば、同僚の元に歩いていき直接話すことで、疑問点や課題をすぐに解決することができます。そのため、多くの人が「リモート環境で仕事を進めるより、同じオフィスに集ったほうが議論しやすい」と感じるでしょう。
しかし、世界中に6つの拠点を構えているヌーラボでは、新型コロナウイルス感染症による世界的な危機のずっと前から、異なるタイムゾーンで共に仕事を進めてきました。ある意味で、僕たちはすでにリモート環境/分散拠点で構成されたチームとして働いてきたのです。
リモートで仕事をする傾向は、今後も続くでしょう。そこで、僕たちがシンガポールから世界中のメンバーとどのようにコラボレーションして仕事を進め、ヌーラボのマーケティングやサポートの仕事を成功させているか、ご紹介したいと思います。
Backlogを使い、オンラインでタスク管理
まず、僕たちはヌーラボ社内のコミュニケーションにメールを用いていません。まったく使わないのです。僕は、2年前ヌーラバーになったときこの事実にとても驚きました。メールはドキュメントを記録したり検索するのに有用で、僕の経験上、多くの会社でメールは最も一般的なコミュニケーション手段だったからです。
メールを使う代わりに、僕たちはBacklogを使ってタスク管理をし、チームメンバーと議論します。僕たちはBacklogを信用しているため、もちろん自分たちのチームでも活用しているのです。
たとえば、マーケティングチームは「マーケティング」というプロジェクトを使っています。「マーケティング」プロジェクトでは、マーケティングに関連する課題がリスト化され、それぞれの課題にメンバーがアサインされています。
大きな目標のためのコラボレーション
たとえばWebランディングページを作るときには、開発者・コピーライター・デザイナーが一緒になってプロジェクトを進行します。このように複数の職種のメンバーが関わるプロジェクトを管理するとき、親子課題を使えば全メンバーのタスクを整理するのに便利です。
誰もが自分のタスクが全体のゴールにどう貢献しているかを確認できます。これによって、メンバーをひとつの方向性に合わせることが容易になります。
課題の自動登録 for サポートチーム
僕たちのサービスのお問い合わせ対応も、Backlogによって管理されています。ユーザーがWebサイトのお問い合わせフォームからお問い合わせを送信した際、Backlogに課題として自動登録され(メールによる課題登録機能)、グローバルサポートチームのメンバーには、メールとBacklog上で通知されます。
お問い合わせを受け取ると、サポートチームメンバーは送信者に返信し、課題の状態をアップデートします(課題の状態は「未対応」「処理中」「処理済み」「完了」)。課題に関連する議論はすべて、課題のコメント内で行われます。技術的に高度な話題になった場合、日本にいるテクニカルサポートのメンバーに相談することもあります。
お問い合わせごとに関する議論がすべてひとつの場所で行われているため、さかのぼって確認することも簡単です。また、議論が集約されていることは、チームメンバーが交代した際のフォローアップにも役立ちます。分散拠点で働く際、チームメンバーの同期がリアルタイムに行われることは非常に重要なのです。
Wikiを用いた情報共有
ワークフローや手順、プロジェクトの詳細など、メンバーが知っておくべき重要な情報は、Wikiを用いて管理・共有しています。
チーム/プロジェクト | Wikiの内容 |
マーケティング | デジタルフットプリント*、マーケティングのワークフローなど |
サポート | サポートプロセス&ガイドラインなど |
開発 | リリース詳細&ガイドラインなど |
*訳注:インターネットを利用したときに残る記録の総称。
Wikiをプロジェクトの中心に置くことで、情報の取得や参照が容易になります。課題と同じように、Wikiにもファイルや画像を添付することができます。
プロジェクトの情報の検索
仕事に行き詰まったとき、まずすることは「Backlogを見ること」です。Backlogにはこれまでと現在のすべての課題、プロジェクトに関するすべての情報が網羅されているからです。ある意味、社内版のGoogleのようなもの、と言えます。仕事の手順や課題に関する情報が欲しい?Backlogを見てみましょう!
この時点で、ヌーラボがユーザーなど外部の方とのコミュニケーション以外にメールを使用しない理由がお分かりいただけると思います。
Typetalkでのチャット
仕事を進める上で必要なちょっとした会話には、チャットツールのTypetalkを使っています。離れたメンバーが同時にオンラインになっているときや、差し迫った問題が発生したときなど、仕事に関するテンポの良い議論を行うのに便利です。
また僕たちは、仕事と関係のない、よりカジュアルな会話にもTypetalkを使います。同僚のキャリア以外のプライベートな側面を知ることができると、ユーザーサポートにも生かされます。
ルーティンワークはボットが対応
僕たちは、さまざまな目的でTypetalk ボットを利用します。
たとえば2週間ごとの月曜日に行われるミーティングのような定例会議の予定は、Typetalkボットがリマインドします。このようなルーティンワークをボットに対応してもらうと、とても便利です。これにより、僕たちはスムーズにルーティンワークをこなし、より重要な作業に集中できるようになるのです。
その日にテクニカルサポートを担当するメンバーをお知らせしてくれるTypetalkボットもいます。
ユーザーステータスを更新する
ちょっとの間オンラインミーティングで席を外したり、しばらく席を外したりするときには、Typetalkでメンションを送る際に全員に表示される「ユーザーステータス」を設定しておくことができます。チームメンバーは、お互いが忙しいか、外出中かなどの状況を把握し、ゆっくり返信を待つことができるのです。
デスクトップベースおよびブラウザベースのアプリに加えて、Typetalkはモバイルアプリも用意しているため、用事があるときや業務時間外の緊急事態が発生した場合でも、簡単にアクセスできます。スマートフォンでの対応もとても簡単です。
Cacooを使ったビジュアルコラボレーション
コロナ禍で、会議室でのブレインストーミングができなくなってしまった?図を描くと、考えが明確になったり、クリエイティブなアイデアがひらめきやすいかもしれません。そこでCacooが役に立ちます。Cacooを使えば、視覚的にコミュニケーションを取り、チームメンバーとクラウドでリアルタイムに図を共有できます。
リモートでのコラボレーションでCacooを使う例をご紹介しましょう。
プロジェクトのプランニング:
Cacooは、オンラインでビデオ会議をしながらのディスカッションや、アイデアのブレインストーミングを支えるホワイトボードとして使えます。Cacooは、複数人での共同編集をリアルタイムで表示するため、Google ドキュメントのように同じ図を同時に編集、共同作業することができます。
異なるタイムゾーンで一緒に仕事を進めていて、同時にオンラインになれない状況では、Cacooの「コメント機能」で図に直接メンバーへのコメントを残しておくことが役立ちます。追ってメンバーがオンラインになった際、同じスレッドに返事をしてくれるでしょう。
リモートワーキングに便利なそのほかのツール
僕たちは、ヌーラボのサービス以外で、Google ドキュメントや Google スプレッドシートなど他のオンラインサービスも利用しています。
ヌーラボのサービス同様、すべてのファイルや情報がクラウドに保管されているため、自宅からの仕事に移行する際もダウンロードなどの手間なく同じデータにアクセスでき、非常に便利です。
完全にテレワークに移行しても、僕たちは、作業の継続性に問題を感じませんでした。オフィスでやりかけていた作業をそのまま引き継げたのです。また、URLを送信するだけでクラウド上でドキュメントや図を共有できるため、簡単かつ迅速なのです。
ビデオ会議には、Google Meet と GoToMeeting (訳注:シトリックス社が提供するウェブ会議システム)を利用しています。
テレワークと、コラボレーションについて
リモート環境で作業することで、スケジュールはより柔軟になり、通勤がないため時間も節約できます。一方で、チームメンバーの距離が離れているリモート環境での共同作業には、やはりチームワーク上の課題も生じます。
オンラインコラボレーションおよびコミュニケーションツールはギャップを埋めるのに役立ちますが、最近行われたテレワークのウェビナーでゲストスピーカーのAce Htike 氏はこう述べています。「ツールを提供したからといって、テレワークを行う従業員が同じレベルの成果を上げると期待してはいけません。チームメンバーがツールに慣れ、それを使うことで効果を発揮するまでには時間がかかります。」 これには僕たちも共感しています。
このブログでご紹介した内容は、ヌーラボにおけるリモートコラボレーションの方法に過ぎず、これが模範解答というわけではありません。すべての組織は、独自の文化と、共同作業のスタイルを持っています。とはいえ、このブログが、あなたのチームの「リモート環境でのコラボレーションワーク」を形成するヒントになったら嬉しく思います。
和訳担当:Meggy