世界をまたにかけて活躍中のイギリス人グラフィックデザイナー、Simon Oxley (サイモン・オクスリー)さんにインタビューをしました。
サイモンさんの名前を聞いたことがない方でも、きっと彼の作品を見かけたことはあるはず。彼は、GithubのオクトキャットやTwitterの小鳥(初代)の生みの親なのです!
今回、ヌーラボのCEOであるMasa(橋本正徳)の友人ということで、サイモンさんにインタビューすることができました。
ー Masa(ヌーラボCEO:橋本)とは、どこで出会ったのですか?
場所は東京だったんだけど、結構おもしろいエピソードがあってね。初めて会ったとき、なぜか彼とは以前会ったことがあると思いこんでいたんだ。だから、「あれ? 前に会ったときと雰囲気が違うな」と思ったんだよね(笑)。
ー 奥様を通じて会ったのですか?(*注:サイモンさんの妻は日本人)
う~ん、そこらへんはあまり記憶がないんだけど、確か2008年ごろだったかな。
ー 日本にしばらく住んでいたんですよね。日本語はうまくなりましたか?
初めて日本に行ったのは1999年ごろで、当時から日常会話程度は話せたよ。今でもそんなに悪くないと思うけどね(笑)。ここ2年ぐらい、日本に行くときはそれぞれ1ヵ月ぐらい滞在しているし、(妻が日本人なので)ここイギリスでも日本人の友人がいるので、子どもたちが集まって漢字や会話の練習をしたりしているのを僕は横で聞いたりしているよ。
ー サイモンさんの作品は遊び心あふれるポップなものが特徴ですが、そのアイデアやインスピレーションはいつもどのように浮かんでくるのですか?
以前はよく本屋に行ってデザイン系の雑誌をあれこれ読んだりして、インスピレーションを得たりしていたけど、ただ楽しいと自分が思うものを、描いたり作ったりしているだけだと思うよ。
朝から作業を始めたとして、数時間デスクに座ってコンピュータ画面にずっと向き合う。それは結構大変なことだけど、そういうことを通して結果的に素晴らしいアイデアが浮かんでくることもある。
あとは、ポートフォリオをウェブサイトを通して皆さんにシェアして感想をもらったり、いろんなものを見たり感じたり、そうやって、ほかのどの作品でもない自分のオリジナルを創造するために、好奇心やインスピレーションのレベルを引き上げるんだ。
ー 日本で浮かんだりすることもありますか?
日本では神社巡りをして、建築物をすみずみまで観察したりしながらインスピレーションを受けることもあるよ。やはり自分が置かれている環境の影響は大きいと思う。例えば日本ならマンガなどのサブカルチャーなどから受けることもあるし、イギリスなら日本とは違ってちょっとおかたいというか、イギリスの伝統的な部分から受けることもあるしね。
ー いつも作業はどのように進めるのですか?
やり方は特に決めていないんだ。仕事がクライアントから依頼されたものはちょっとやり方を変えるけど、発注された仕事はときどきうまくいかないこともある。僕はクライアントのために作品を完成させるよりも、自分が好きなように作ってそれに対して「使いたい」とクライアントが名乗りをあげてくれる方が、自分には合っているみたい。
だからといって、発注された仕事がまったくダメだと言っているわけじゃないよ。ただ、ときどきそういうオファーを受けての作品作りって、フラストレーションがたまることもあるってことなんだ。
ー 具体的には、まず紙にスケッチしてPCで仕上げて…とか?
コンピュータで直接作業を進める方が多いかな。線の種類も個性的なのが豊富にそろっているからね。だけど、鉛筆と紙でスケッチすることはもっと自由に描けるよね。でも…僕はちょっと面倒くさがり屋なので、やっぱりコンピュータ派かな(笑)。
ー 作業に行き詰まったときはどうしていますか?
やる気が復活するまでほかのことをするよ。例えば数ヵ月ずっとコンピュータに向かって座り続けるのは酷なわけ。だから作業がずっと続いた後は、少し休憩のためにほかのことをするんだ。
ー ツイッターやビットリー、ギットハブなど人気のIT系企業のお仕事をどんどんされていますね。
最初にツイッターの小鳥を描いたことで知られるようになって、雑誌の記事に取り上げられ、ほかの会社からもオファーをもらったんだ。iストックにアップしている作品を見てもらったことでギットハブからもオファーがあって、オクトキャットが誕生したんだよ。
オクトキャットが生まれたときは「こういうものにしよう!」というアイデアが事前にあったわけではなく、vectorのソフトウェアを使って、パズルみたいなパーツを一つひとつ動かしながらどういうものを作ろうかなってあれこれ考えて作業していたんだ。Mr. ポテトヘッドみたいに、いろんなパーツを集めて違うフォーマットに入れこんでいって、それでオクトキャットが誕生したというわけさ。
ー 最後に、若きデザイナーに向けてアドバイスをお願いします。
年を重ねると少し視野も狭くなってしまうから、若いうちにいろいろトライしてみるといいよ。若ければ少々のリクスを冒せるし、いろいろチャレンジができる。ソフトウェアについてもっと学び、描くことを決して止めず、写真を撮ったりペインティングしたり、彫刻をやってみたり、とにかくいろいろやってみて! それらは後々、きっと助けになると思うから。
人生経験も必要だよ。同僚や仲間から得るものはある。できれば一つの会社だけにいるより、ほかの会社も経験する方が視野が広がるだろう。そして若者よ、旅に出よ! 旅は僕にとって最大のインスピレーションをもたらす行動だから。
サイモンさんに会って話すことがあるなら、彼がとてもユニークで楽しい人だということがわかるでしょう。
以上、サンドラでした。また次回!
(Japanese translation / Editing:Kasumi Abe)