2017年2月24日にヌーラボ東京オフィスにて「Geeks Who Drink 〜 コラボレーションツール を介したチーム開発の事例共有〜」を開催しました。このイベントは、Nulab、Atlassian、Increments初の共同イベントでした。スピーカーには、各社の製品を実際に使用するユーザーを招き、 コラボレーションツール 導入前の課題と導入後のサクセスストーリーを語っていただきました。各社共通のキーワードとして挙げられていた、組織内の情報共有に対する問題意識にフォーカスをして、イベントの内容をお届けします!
コラボレーションツール でタスクの属人化を防ぐ
翔泳社が運営するソフトウェア開発の専門メディア「CodeZine(コードジン)」では、2014年から編集部内のプロジェクト管理、情報共有ツールにBacklogが使われています。プロジェクトオーナーである編集長の斉木崇さんに、コラボレーションツールを使った、出版社での情報共有とタスク管理の事例についてお話していただきました。
Backlogの導入は、記事の管理、書籍制作、イベント運営など、編集部内の業務が多岐に渡り、進行管理が煩雑になってしまうことが、きっかけだったそうです。加えて、業務を少人数でまわしており、タスクが属人化してしまっていたことも導入を決めた理由のひとつでした。
導入後は、編集部内のメンバーの作業量やプロジェクトの進行をガントチャートで見える化したり、書籍制作のための筆者との原稿のやりとりにGitレポジトリを使ったり、社内の仕事だけでなく、社外とのタスク管理やプロジェクト管理にも活用しているそうです。
さらに、連絡手段としてメールを使うことが多い同社では、CC(カーボン・コピー)で情報を共有するだけでなく、Backlogに転記して、情報をひとつにまとめておくことで、属人化しがちなタスクを無くし、誰もがわかりやすい形でタスクを把握できる工夫しています。
最近では、編集プロダクションを交えた新規事業部の立ち上げにもBacklogを利用していて、社内外での情報共有を積極的に進めています。
コラボレーションツール を浸透させるための環境整備
ヤフー情報システム本部でAttlassian社のConfluenceの運用を担当する高橋邦洋さんに、Confluenceを情報共有ツールとして、社内に浸透させる際の取り組みについてお話していただきました。
ヤフーでは、2005年にConfluenceを導入。当時、情報共有ツールが乱立していて、ひとつに集約する必要性があることが、導入のきっかけでした。現在は、9800人のユーザーに利用されていて、プロジェクトドキュメント、組織情報の管理、個人メモ、組織マップといった、さまざまな用途に利用されているそうです。
大規模な組織にConfluenceのようなコラボレーションツールを導入するのはどうすれば良いのか?Atlassian社はコンセプトとして”全てのチームの生産性をあげる”を掲げていることから、高橋さんは、企画、エンジニア、管理部門など、ヤフーの組織内の全業種の社員”みんな”が使える状態を目指しました。
同社は、その状態を実現するための施策のひとつとして、ConfluenceのエディタをマークアップからWYSIWYGに変えました。その結果、社内の利用率は大幅に増加。Word、Excelを常用していた層にとって、WYSIWYGエディタでの情報共有はすぐに受け入られました。
しかし、既存ユーザーからは受け入れがたい声も多数あがったため、全員が気持ちよく使うというのは難しいことと感じながらも、互いの中間地点を見つけることで、社内の情報共有ツールとして、正式にConfluenceが広がったそうです。
結果的に、複数の情報共有ツールをひとつに集約して、横断的に技術や社内の情報を共有できるようになったことで、自然と情報共有が促進される文化が会社に醸成されたそうです。
情報に強い組織を作るために コラボレーションツール を活用
VASILY取締役CTOの今村雅幸さんに、Increments社のQiita:Teamを使って社内の情報共有を強化するための工夫ついてお話していただきました。
VASILYは、社内の情報共有を活発にして成果をさらにあげることを目的に、2014年にQiita:Teamを導入しました。現在、社内で利用しているユーザーは35名程度で、投稿記事数は22,000以上に及ぶそうです。
具体的な活用例は、日報、プロジェクト、従業員一覧など。特徴的な活用例として、Qiita:Teamで書かれている日報は、社長も含め、社員全員が毎日更新しているそうです。日報に記述する内容は、今日やったこと、嬉しかったこと、困ったことで、これらの項目は、良いフィードバックループを作り、助け合い文化を醸成するために設けています。
同社の行動指針には「技術でユーザーの問題を解決する」「インターネットに貢献する」という項目があります。特に、インターネットに貢献するという指針は、インプットを大事にできたか、アウトプットを大事にできたか、を重視しているそうです。
Qiita:Teamはその指針を支えるための、情報のインプットとアウトプットに活用されています。例えば、Techミーティングの議事録や、毎週金曜日のランチミーティングでトレンドの技術ネタを紹介するための情報置き場など、オフラインでの情報共有を促進するための重要なツールになっています。
「組織で成果をだすために、情報共有はかかせない」とチーム内での情報共有の重要性を訴えた今村さん。今以上に、社内の情報共有を活発にするために、Qiita:TeamのAPIを使って、自社用にカスタマイズを進めているそうです。
最後に
キーノートスピーチ後のQ&Aでは、来場者から情報共有ツールの導入の仕方や、権限管理の運用に関する質問など多数挙げられました。残念ながら、すべての疑問に答えることはできませんでしたが、コラボレーションツールを使う、使いたいと考えている方が、日頃、社内のタスク管理や情報共有に対してどのような問題意識を抱えているのかを知ることのできる、とても貴重な機会になりました。
Geeks Who Drinkはヌーラボ東京オフィスで定期的に開催しています。3月のイベントに関する情報はこちらのページで随時お知らせしますので、ぜひチェックしてください。
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