偉大ではないが平凡とも言い難い、私のキャリアを語る方法

はじめまして。ヌーラボブログリレー2023 for Tech Advent Calendar 2023の12月14日担当、サービス開発部インハウスシステム課のSamと申します。

私の担当は業務Hackという社内のお困りごとをシステムを使って解決する仕事です。その過程でデータ分析をすることが多々あります。インハウスシステム課がデータ基盤を管理・構築しているというのもありますが、データと向き合わない日はないです。リモートワークになったこともあり、最近は確実に生身の人より画面に向かって話しかけている時間が増えております。楽しいんですけど、最近視力が急激に落ちたので人と直接話すのも大事だなって反省中です。

こんな私ですが、2023年11月26日(日)にヌーラボ福岡本社でWaffle Campという女子中高生向けのプログラミングイベントが開催され、その中で恐れ多くも30分のキャリアトークを担当いたしました。Waffle Campは情報系の学生に男性が多いという「ITジェンダーギャップ」解消のためにプログラミング講座を展開しているNPO法人 Waffleが開催するイベントです。

こちらのイベントの詳細はひとまず置いておいて、今回はキャリアトーク用の資料を作っていく中で工夫した2つのことについてお話しします。

経歴より人生を、1人より70人分の人生を

人の人生はそれぞれです。それぞれ面白いものですが、キャリアトークというと輝かしい経歴を力に変えて聴衆を激励するイメージがありませんか。私はありました。しかし、そんな立派な経歴を持っていないにもかかわらず、今回人前で話すことになりました。大変です。
それでもせっかくなら楽しんでもらいたいので、次の2点を盛り込みました。

経歴より人生を知ってもらう:人生グラフで私紹介
私一人より説得力を上げよう:社内アンケートの活用

経歴より人生を知ってもらう〜人生グラフで私紹介〜

通常のLTでしたら、プロフィール紹介や経歴紹介はさらっとすませるでしょう。これを最初に差し込むのは「今から話すのは何者なのか」を紹介するためで、発表のメインでは無いからです。

しかしキャリアトークというからには、ある意味経歴がメインです。LTなら聞き流してもらって構わないのですが、今回は聞いて欲しいところです。この時、知っている学校名や社名が表示されていれば興味は湧くかもしれません。でも知らない名前だったらどうでしょう。頭に全く入ってこないとか、そもそも聞き流してたりしませんでしょうか。

どうやったら興味を持ってもらえるかを考えた時、ふと、山口県の中原中也記念館に行った時のことを思い出しました。

湯田温泉駅に聳え立つ白狐の像中原中也記念館の最寄駅に聳え立つ白狐の像。

そこには中原中也に関する年表があるのですが、この記念館の面白いところは1階展示の三分の一程が中原中也に関する年表なのです。こういった記念館だと年表を軽く流してみる人もいると思いますが、この記念館に来場した皆さんは結構じっくり年表を見ていました。

理由はおそらく2つ。一つは入り口で配られるクイズ問題です。このクイズの答えの一部が年表に隠れているのです。そしてもう一つは年表の書き方です。時代、出来事、それに加えて当時の本人の言葉や関わった人の手記の抜粋などが記載されているのです。この当時の言葉によって、出来事に対してどう考えたのかを感じることができ、ついつい引き込まれてしまいました。
前者のように人生クイズをするのは流石に恥ずかしすぎるので無理ですが、後者のように人生の人生の節目節目で何を考えてどう判断して来た人間かを伝えるのは面白そうです。かといって3段組の年表をスライド1枚で出されても字が小さくなって目に痛いだけです。
年表じゃダメです。きっと私の視力が誰より最初に仕事を放棄するでしょう。

そこで、これを分かりやすく表現する方法として今回は「人生グラフ」を使いました。

人生グラフ

人生グラフは別名モチベーショングラフとかモチベーション曲線とも言います。過去から現在までの時間を横軸にして、起きたイベントとそれに対する自分のモチベーションを縦軸にして描いたものです。(下記のグラフは一例です。)

人生グラフの例横軸を時間、縦軸をモチベーションとしたグラフ

上記の例で言えば「①引越しをして転校した」が嬉しかったなら上昇曲線になりますが、親友と離れたなどの理由で悲しかったなら曲線は下降します。

年表だと目が滑り、経歴の羅列だと意識が遠くに行きがちですが、人生グラフでみると人の人生というのは面白いものです。そこに「嬉しい」「悲しい」「楽しい」「辛い」といった人間味を感じることができるからでしょう。それによって語り手の人柄や価値観も伝えることができるからかもしれません。

発表時に使った人生グラフはかなり素直に書いてますので本ブログでは非公開とします。が、簡単に言いますとカモノハシに一目惚れして理系を目指し、マウスの実験に怯んでシミュレーションの世界に入り、入院を切っ掛けにエンジニアになり、色々あって今に至る感じです。この「色々」あたりで私の人生グラフは上下に荒れまくってますもので。

この人生グラフは発表する側もカンペは不要で楽に話せます。主要なイベントはすでに書かれていますから、過去から今へ向かって話すだけで済みます。その際、「なぜグラフが上がったか(下がったか)」の理由を添えると聞き手も話に入り込みやすいようです。実際、グラフが上がったときは笑い、下がった時は「あぁ〜」という表情をされている方がいらっしゃってとても話しやすかったです。

この人生グラフだと、特別偉大な功績を残してなくてもたった一枚のスライドでより濃厚に「私」を伝えることができます。もし今後キャリアトークや長めの講演をする予定がある機会がある方がいらっしゃいましたら、是非試してみてください。

私一人より説得力を上げよう〜社内アンケートの活用〜

ここからはちょっとデータ分析のコツを使ったアンケート項目組み立てのお話をしたいと思います。
本来キャリアトークだから私の話をすればいいのかもしれません。ですが稀有な人生では無いですが人並みかと言われると「どうかな?」と首を傾げたくなる私ですので、私一人の人生を話しただけでは、中高生の皆さんに

「ふーん、貴方はそうかもしれないけど、で?」

とか思われそうです。切ないです。そこでどうしたか。

 一人の人生で足りなければ、数を増やせばいいのでは?

「パンがなければケーキを食べたら良いじゃないの」というつもりではなかったのですが、結構それに近い感覚で「アンケートを取ろう」と思い立ちました。そう、ヌーラボ社員に協力してもらうことにしたのです。突然思いついた案ですから、安易に進めて誰かに不快感を与えては大変です。そこでインハウスチーム全体でアンケート内容を慎重に練りました。チームメンバーには感謝してもしきれません。

アンケート項目作成時に注意したのは以下の点です。

No 注意点 理由
1 目的を書くこと 協力するしないを判断できるようにする為
2 用途外では使わないと宣言すること 回答者に安心感を与える為
3 任意であることをわかりやすく記載すること 無理をさせない、通常業務に支障を出さない為
4 回答は選択式にすること 回答する手が止まらないようにする為
5 無駄な質問は入れないこと 回答時間を減らし、回答者を疲れさせない為

 

5の「無駄な質問」の判断が一番悩んだ点です。恐らく皆さんがアンケートを作ろうと考える時も同じ問題に突き当たるのではないでしょうか。ですが「どう分析で使うか」を決めてしまえば案外要不要は判断しやすいものです。

目的変数、説明変数でアンケート項目を決める

お勧めの振り分け方法としては、そのアンケート項目を目的変数として使うか、説明変数として使うかと言う視点で判断する方法です。

データを分析する時、ある着目した変数に対して別の変数が与える影響を知りたいというケースはよくあります。例えば顧客満足度アンケートの総合評価に対して、商品の価格、商品の機能、商品の販売形態、接客者の評価、接客時間、顧客の年齢……等のどれが一番影響を与えているのかが知りたいというケースなどです。ここで言う「ある着目した変数」が目的変数、その目的変数の結果に「影響を与える変数」が説明変数というわけです。

着目した変数と影響を与える変数ある着目した変数に対して別の変数が与える影響を分析したいケースはよくある

ですから分析時に目的変数として使う質問であれば迷わず採用します。先ほどの例で言えば総合評価がこれにあたります。ですが、説明変数であれば本当に分析で使うのか?をまず考えます。仮に使うとしても、粒度が適切かも考えます。先程の例で言えば「顧客の年齢」を聞く時、1歳刻みの年齢が必要か?などです。高校生の顧客にしか調査をしないなら16歳、17歳、18歳の区別は大事でしょうが、全世代を対象とするなら10代、20代程度で十分でしょう。中学生、高校生、大学生などの所属で分ける方が適切な場合もあります。

この様にどう分析するのかを念頭に置いて質問項目を考えると、必要な質問だけに絞り込み、かつ、必要な形に整えていくことができます。

今回こうして内容を整えた事が功を奏したのか、予想の倍を超えるアンケート回答結果を早々に収集することができました。

おわりに

余談ですが、今回アンケートを取った時に30件ほど回答が集まれば良いなと思っていたのですが、アンケート依頼のわずか8分後にはあっさりと目標30件を達成してしまいました。しかも最終的には2日もかからずに目標の倍以上の70件の回答が集まりました。

 すごい、優しい世界……。

こんなにも協力してもらえるなんて、驚きです。例え偉大じゃなくても、やっぱり平凡な人生なんてとても言えませんよ。

以上が、私の偉大ではないが平凡とも言い難い、私のキャリアを語る方法でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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