近年、スタートアップやテックコミュニティーの活動が盛んなニューヨーク。日本から視察旅行をしたり、実際に海外オフィスを置きたいと思われている方もいるかもしれません。その場合に手軽に利用できるのが、コワーキングスペース(レンタルオフィス)です。
ニューヨークのコワーキングスペースは、基本的にコーヒーや水などが無料で用意されています。利用料には光熱費なども含まれているので、事業設立時にありがちなわずらわしい諸手続きの心配がいりません。コンピュータさえ持参すれば、すぐに作業が始められます。
ヌーラボも昨年、ニューヨーク支社を設立して以来、マンハッタンにあるコワーキングスペースにオフィスを構えています。
でもいざ探す段階になると、星の数ほどあるので「一体どこがよいのやら?」と迷うことでしょう。 今回は、ニューヨークのコワーキングスペースの中から特徴的なものを5つピックアップしてご紹介します。
1日から気軽に利用できる — Ensemble
エリア:マンハッタンのミッドタウン
形態:机貸しがメイン(個室ワークスペースや、共有ワーク&休憩スペースもあり)
会議室:2カ所
まずは、マンハッタンの中心地・ミッドタウンにありながら、カジュアルに利用できるコワーキングスペースのEnsembleからご紹介します。
ここは1日から利用できるので出張中の方には特におすすめです。1日パスは35ドルで、月~金曜日のオフィスアワー時に使えます。5日分のパス(150ドル)や10日分のパス(250ドル)もあり、短期滞在中でも気軽に利用できます(長期利用は2カ月以上から可)。
華美な装飾などを一切排除したシンプルな雰囲気のオフィスなので、落ち着いて仕事に臨めるでしょう。
ロケーションの多さと便利さで人気 — wework
エリア:市内17カ所
形態:個室ワークスペースがメイン(大広間の机貸しや、共有&休憩ワークスペースもあり)
会議室:多数
気軽に利用できると言えば、このweworkもそうです。共有ワークスペースを1日だけ利用する場合は45ドル、1カ月の利用は350ドル(机を使用する場合は450ドル)。1名から利用できるガラス張りの個室もあります(料金は月650ドル~。ロケーションなど諸条件によって異なる)。
実はヌーラボ・ニューヨークチームも、オフィス設立時から10カ月間ほどweworkのフルトンロケーションを利用していました。
清潔かつおしゃれな雰囲気で、ドリンク類はコーヒーやお茶のほか、なんと生ビールまで無料でした! また実際に利用してみて感じたことは、共有フロアではほぼ毎日無料のイベントが開かれ、また独自のオンライン掲示板で情報を交換できるなど、利用者同士が気軽に交流できる機会がたくさん設けられ、その結果お互いのビジネスにも繋がっていることが多いと感じました。利用者はスタートアップ、スモールビジネス、フリーランサーが多く、陽気でフレンドリーな人が多かったです。
weworkはニューヨーク市内に17カ所あるので、自分の便利な場所を気軽にチョイスできるというのも大きな魅力の一つです(weworkについては過去記事もご参照ください)。
快適なネット環境を約束 — TechSpace
エリア:市内3カ所(マンハッタンのフラットアイアン、ノマッド、ユニオンスクエア)
形態:個室ワークスペースのみ(共有ワーク&休憩スペースや、プライベートの屋上スペースが隣接した「ペントハウス・スィートルーム」もあり)
会議室:数カ所
「ネット環境やサポートは、どこのコワーキングスペースにも負けない」と胸を張るのは、TechSpaceです。ニューヨークは街が古いため、wifiが不安定になることもしばしばなのですが、ここは快適なネットワーク環境を提供することに特に力を入れており、サポートも24時間365日体制です。
ロケーションは市内に3カ所あり、その中でもユニオンスクエア・ロケーションは1999年にオープン。コワーキングの草分け的存在でもあります。
かなり静かな環境だというのもここの特徴でしょう(注:ニューヨークのコワーキングスペースは、時間帯や場所によっては割とガヤガヤしていることもあります)。「静かな環境じゃないと作業がはかどらない!」という人にもおすすめです。実際に取材した日に、たまたまエレベーターで一緒になった利用者の1人とお話しする機会があったのですが、その利用者曰く「以前は別のコワーキングを利用していたけど、うるさ過ぎてここに移ったんだ。ここは静かで仕事がはかどるよ」と、かなり気に入っている様子でした。
利用料金は、1人用の個室が月1500ドルからと決して安くはありませんが、ファーストクラスレベルの環境で仕事をしたい方にはぴったりでしょう!
(*写真はすべてフラットアイアンロケーション)
ロンドンのヒップな雰囲気 — Fueled Collective
エリア:マンハッタンのソーホー
形態:机貸しのみ(共有ワーク&休憩スペースもあり)
会議室:9カ所
革張りの重厚なカウチにアンティークの鏡やスーツケースなどと、まるでロンドンにいるかのようなヒップで個性的なインテリアが特徴のFueled Collective。
場所は、オシャレなショッピング街・ソーホーのド真ん中です。同じビルにはThrillistやFoursquare、ZocDocなどもオフィスを構えています。その関係か、このコワーキングスペースにオフィスを構える会社も、90%はテック系なのだとか。
共有ワークスペースの利用は月450ドル、机貸しは月800ドル。割と高めの料金設定ですが、空きがないことが多いそうで、その人気さを物語っています(空き状況は常に変動するため、興味がある場合はウェイティングリストに名前を入れてもらうとよい)
ここは隅から隅までとにかく「クール!」の一言なので、「せっかくニューヨークに来たのだから、オシャレ発信地のど真ん中で仕事をしてみたい」という方にもピッタリでしょう。
L.E.S.にある明るいロフト — Projective Space
エリア:マンハッタンのローワーイーストサイド
形態:机貸しのみ(共有ワーク&休憩スペースもあり)
会議室:2カ所
ロフト風の明るい大広間に無数の机が広がるProjective Space 。場所は、マンハッタンはダウンタウンのヒップなエリア、ローワーイーストサイドです。Projective Spaceはすぐ近くにあるレストラン、Freemanと提携していて、メンバーのみ平日のワークアワー時は同レストランの2階部分をワークスペースやイベントスペースとして利用できます。
実はスタッフ増員のため、ヌーラボ・ニューヨークチームも8月にweworkからこちらに引っ越しました。ここで仕事をしている人たちも、スタートアップやフリーランサーが多いです。wework同様、コーヒーや水に加えて生ビールもアメニティとして用意されています。また、近くにはオシャレなレストランやバーも多いので、ここで働くと仕事帰りの1杯も“楽しみの一つ”になります。
実際にこちらに移って2週間ほどになりますが、コワーキング形態は大広間のパーテーションなしの机貸しなので、個室ワークスペースより開放感があります。実際に、利用者同士で仕事をし合っているのも見かけます。ちなみに施錠システムは、実際にここを利用しているスタートアップ、kisiのものに最近移行しました。
利用料は、机貸しのみで1人につき月550ドルです。出張中などに数日間だけ使いたい場合の料金を尋ねてみたところ、「数日間だけなら、共有スペースを無料で解放するよ」とのこと。何とも太っ腹なコワーキングスペースです。
以上、厳選5カ所を紹介しました。これはほんの一部で、市内にはほかにもたくさんあります。次回は、コワーキングスペースを探す際に便利なウェブサイト情報などを紹介しますね!