『10歳からのプロジェクトマネジメント』は大人にこそ効く。教科書と実務をつなぐ読書会を開催しました

記事タイトルの記載されたアイキャッチ画像。母親と子供が庭で食事をしている西洋画を背景に、記事タイトルの「『10歳からのプロジェクトマネジメント』は大人にこそ効く。教科書と実務をつなぐ読書会を開催しました」が白字で記載されている。

PEaS(Project Empowerment and Success)チームの松江です。

2025年7月に、社内のプロジェクト成功を支援する現在のチームに異動して半年が経ちました。

(異動時に書いたチームギャザリングのレポートはこちら

今回は、私が個人的に「全社員に読んでほしい!」と激推しする一冊の本と、その熱量がこうじて開催した社内読書会のレポートをお届けします。

「プロジェクトマネジメントを学びたいけど、何から始めればいいかわからない」

「チームでプロジェクトマネジメントを学びたいけれど、難しい専門書だと挫折してしまう」

もしそんなお悩みをお持ちでしたら、今回ご紹介する「児童書」と、それを活用した「読書会」の事例が、解決のヒントになるかもしれません。

私を救ってくれた『10歳からのプロジェクトマネジメント』

そもそも、なぜ私がここまでこの本を推すのか。少しだけ私の背景をお話しさせてください。

PEaSチームに入る前、私はCacooチームで長くテクニカルサポートを担当していました。

開発経験もPjM経験もない私ですが、業務の中で「もっとスムーズに仕事を進めたい」と悩み、独学でプロジェクトマネジメントの勉強を始めました。よくわからないままIPAのプロジェクトマネージャ試験も勢いで受験し、あまりの難解さに打ちのめされました。

当時の私が一番苦労したのが、「全体像がイメージできないこと」です。

参考書に並ぶ「WBS」や「プロジェクト憲章」といった専門用語。言葉の意味は暗記できても、実務経験がないため、それらが実際の現場でどう動くのかがイメージできず、腹落ちしなかったのです。

「やっぱり、プロジェクトマネジメントの学習は経験がないと難しいのだろうか」

そんな時、書店の児童書コーナーで偶然出会ったのが『10歳からのプロジェクトマネジメント』でした。

「10歳からのプロジェクトマネジメント」の書籍の表紙を写した写真。右から縦書きでタイトルが書かれ、中央に主人公である小学生の男の子と背後に小さく主人公の叔父である成人男性のイラストが掲載されている。本の内容が大変わかりやすいタイトルと表紙。児童書コーナーで初めて見た時は見間違いかと二度見しました。

この本は、プロジェクトの立ち上げから終了までを丁寧に説明する1冊で、まさしく私が欲しかった「全体像」が詰め込まれていました。

子供向けに書かれてはいますが、大人が読んでも、いや、大人だからこそ膝を打つ学びがたくさんあります。

語りだしたらキリがないこの本の推しポイントを、3点に絞ってご紹介します。

1. 「10歳向け」だから、専門用語でつまづかない

「小学生を主人公にしたストーリー漫画」+「図解満載の解説」+「手法を体感できるワーク」の充実の構成です。

(くもん出版公式オンラインショップより)

まず「10歳からの」というタイトルが、読み始めの心理的ハードルを劇的に下げてくれます。

「難しい専門書は無理でも、さすがに10歳向けなら理解できるだろう」という、大人のちょっとした意地が働きますよね。

各章は、漫画、図解メインの解説、ワークの3種類で構成されています。子供向けなので難しい専門用語も出てきません。長時間テキストの読解に集中する必要もなく、プロジェクトマネジメントの基礎部分だけをスルスルと吸収できます。

実際、読書会の参加者からも「初心者向けの本で参加のハードルが下がった」「題材の本がわかりやすかった」という声が多く挙がりました。

2. 中身は本格的。PMBOKのエッセンスが「実務で使えるレベル」で載っている

「目標を作る」「計画を立てる」「実行する」「リーダーになる」「人生をマネジメントする」といったテーマにそって、目標達成にむかうための具体的なスキルや知識を伝えます。

(くもん出版公式オンラインショップより)

「子供向けだから内容も浅いのでは?」と思われるかもしれませんが、ここが一番の驚きポイントです。

全体的にPMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)を意識した構成になっており、解説される用語も本格的です。

  • プロジェクト憲章(目標設定)
  • WBS、マイルストーン(タスク分解)
  • ガントチャート、リスク管理表(計画作成)

重要な部分はしっかり押さえつつ、子供にもわかる平易な言葉で説明されている。「本質だけを抜き出した」大変効率の良い入門書だと言えます。

3. 「夏休みの宿題」もプロジェクト。プロジェクトマネジメントを「自分事」にする導入

プロジェクトマネジメントの基本的な考え方を、「夏休みの自由研究」「家族へのサプライズ」「クラブ活動」「地域の活動」といった、小中学生にとって身近なプロジェクトにあてはめてやさしく解説。

(くもん出版公式オンラインショップより)

この本は、「プロジェクトは日常の中にある」という視点から始まります。

「プロジェクトマネジメント」と聞くと、特定の一部の人が持つスキルだと思われがちです。以前の私もそうでした。

しかしこの本は、夏休みの宿題や家族へのサプライズを例に挙げることで、プロジェクトマネジメントを「誰にでも役に立つスキル」として再定義してくれます。

「自分にも関係あるんだ」

そう自分ごとにできた瞬間、学習の吸収率は劇的に変わります。個人的に、この意識の変化こそが、何かを学ぶ上で最も重要だと感じました。

チームで学ぶ。ワークショップ型「読書会」の開催レポート

PEaSチームに異動して学習機会を提供することになった時、迷わずこの本を選びました。

理由は初学者の最初の1冊として最高なので、とにかく社内に布教したかったからです。そして、PjMだけでなくプロジェクトメンバー全員がプロジェクトマネジメントの基礎を知っていることも、プロジェクトの成功につながると考えたからです。

ただ、私はまだ専門家ではありません。先生として教えることはできないけれど、「一番初学者の気持ちがわかる」という強みがあります。

そこで、PEaSチームのメンバーにも助けてもらいながら、「読んで終わり」にしないための読書会を設計しました。

【読書会概要】

  • 目的:プロジェクトマネジメントの”全体像”をワークを通して学ぶ
  • 主な対象:プロジェクト参加経験の浅い人や初学者(職種不問)
  • 参加者:計18名(職種混合の9名ごとの2チーム)
  • 開催:約60分/回 x 6 週間
  • 場所:オンライン(Google Meet, Cacoo)

設計に当たり、参加者が挫折せず、実務に持ち帰ってもらうために工夫した「3つのポイント」をご紹介します。

工夫1:忙しい大人向け。「読まなくても参加できる」仕組み

社会人の読書会において、最大の敵は「予習のプレッシャー」だと私は思っています。

「今週は忙しくて本が読めなかった……行くのやめようかな」となってしまうのが一番もったいないですよね。

今回はワークの時間を確保するために時間内の読書時間は設けませんでしたが、「本を読めずに参加しても、その場に来ればなんとかなる」設計にしました。

毎回、重要なポイントについては冒頭で補足も交えておさらいを行い、その上でワークに入ります。また、欠席した場合も、アーカイブ動画やCacooで作成したスライドとワークシートを見ればキャッチアップできるようにしました。

結果、最も参加者が少なかった回でも出席率は約8割、全6回の平均出席率は85%を超えました。

アンケートでも複数の方が参加のしやすさについて言及していました。

前回の読書会で学んだ内容をまとめたシートの例。タイトルに「前回のまとめ - 目標を作ろう」と書かれており、その下に3点のまとめが箇条書きで書かれている。前回の読書会で学んだ内容をまとめたシート。毎回その章の学びを2-3点にまとめ、次の会の冒頭でもふりかえりしました。

本のおさらいをまとめたシートの例。タイトルに「具体的なスケジュールを作る - ガントチャート」と書かれており、その下にガントチャートについての解説が図解付きで書かれている。ガントチャートの説明をおさらいするシート。各章で出てくる重要な項目を本の内容に沿いつつ、必要な情報は補足しながらオリジナルのシートにまとめました。

工夫2:座学は退屈だから。「手を動かす」ワークショップ中心

せっかく時間を割いて集まってもらうのなら、一人で読むだけでは理解しにくい部分を一緒に学べる場にしたいと考えました。でも、1時間ずっと話を聞くだけでは、大人でも眠くなります。

そこで、読書会のメインコンテンツを「参加者が手を動かすワークショップ」にしました。

本の中に登場するワークをベースにしつつ、オンラインで複数名で盛り上がれるようにアレンジ。

例えば目標の要素分解やWBS作成のワークでは、扱うプロジェクトをどの職種の人もイメージしやすい「サンドイッチ作り」や「新入社員歓迎会」といった身近なテーマに変え、チームでワイワイと作業してもらいました。

ワークを中心とした設計は大変好評で、かなり多くの参加者がアンケートの中で「楽しかった」「イメージが湧きやすくなった」「身に付きやすかった」等、ワークについて言及してくれました。

また、アンケートからわかったことですが、複数名で手を動かしながら学ぶことは単に身に付きやすさや楽しさを高めるだけでなく、普段関わる機会のない別のチームの人との交流の機会としても好評だったようです。

複数名で作業したワークの作業シートの例。タイトルに「ワーク① - 「新入生歓迎会PJ」をタスク分解しよう」と書かれており、その下にワークの手順説明と、対象チームがCacooの付箋機能を使って配置した付箋が複数配置されている。「プロジェクトの要素をタスク分解する」ワークの作業シート。2-3人のチームに分かれ、Cacooの付箋機能を使って「新入社員歓迎会プロジェクト」をタスク分解してもらいました。※実際の作業時には各自のユーザーアイコンや名前を表示しています。

ワークの説明シートの一例。タイトルに「崩壊寸前の勇者パーティを救い出せ」と書かれており、その下に箇条書きでワークの条件が書かれている。PjMのトラブル対応について考えるワークの説明シート(一部のみ)。全員が勇者(PjM)としてどうすればプロジェクトを成功させられるかを考えました。

工夫3:「教科書」を「現場」につなぐ翻訳作業

私が独学で困ったのが、「本の内容をどうやって実務に落とし込むか」でした。

そこで、社内外のプロジェクトマネジメント事情を知るPEaSチームならではの工夫として、本の内容を「当社の実務」に変換するプロセスを入れました。

社内テンプレートの活用

本で紹介されていた「プロジェクト憲章」作成のワークを、社内で使われている「インセプションデッキ」作成のワークへアレンジ。実際のテンプレートを使って、参加者全員が作成の流れを体験しました。

デッキ作成の経験者にとっては意義や手順を見直すいい機会に、未経験者にとっては「難しそう」という先入観がなくなって、実務への組み込みやすさや、みんなで共通認識を作るツールとしての便利さを実感してもらえたようです。

自社ツール(Backlog/Cacoo)での実践

どのワークも、なるべく現場で使われている自社ツールを使って作成するものにアレンジしました。

例えば「ガントチャート」作成のワークは、実際に社内で使用されているBacklogのガントチャート作成のワークへアレンジ。Cacooの付箋機能で作ったWBSを、連携機能を使ってBacklogの課題に登録し、Backlogのガントチャートを作成する手順を紹介した後、各チームでガントチャートの編集をしてもらいました。

単なる実践的なワークに留まらず、普段触る機会の少ない機能に触れる良い機会になったとの声もありました。

複数名で作業したワークの作業シートの例。タイトルに「ワーク② - 「新入生歓迎会PJ」をダイアグラム化しよう」と書かれており、その下にワークの手順説明と、対象チームがCacooの付箋機能を使って配置した付箋が複数配置されている。各付箋の右下には緑色の四角形の中央にアルファベットのbが配置されたBacklogのロゴが表示されている。「ガントチャートを作る」ワーク時に使用した作業シート。CacooとBacklogの連携機能を使ってそれぞれの付箋をBacklogの課題へ変換し、Backlogのガントチャートを作りました。無事Backlog課題化した付箋の右下に、Backlogアイコンが表示されています。※実際の作業時には各自のユーザーアイコンや名前を表示しています。

参加者のアンケート結果まとめ

1. 全体満足度は「4.88」。数字が示した手応え

全6回終了後に参加者へ実施したアンケートの結果、参加者の満足度は平均 4.88(5点満点中)、他者への推奨度は 4.94 (5点満点中)と、非常に高い評価をいただくことができました。(18名中16名回答)

「今回学んだ内容は日常業務に役立ちそうですか?」という質問に対しても、「大いに役立ちそうだ」「すでに実践している」という回答が合わせて9割以上を占め、実務直結の学びを提供できたことが数字からも裏付けられました。

アンケート結果を表示した円グラフ。上部に「Q3.今回学んだ内容やワークの手法は、あなたの日常業務に役立ちそうですか?」と書かれており、中央左寄りに3色の要素を持つ円グラフ、右側に各色が表す回答が箇条書きで表示されている。ほとんどの人が「既に実践している」または「大いに役立ちそうだ」と回答し、「あまり役立ちそうにない」「まったく役立ちそうにない」と回答した人は0でした。

2. 人気だった回は?(職種別分析)

全6回の中で「特に印象に残った回・タメになった回」を聞いたところ、職種によって関心のポイントに少し違いが見られました。

ビジネス職:第3回「第2章 計画を作ろう(目標のタスク分解)」が人気

ビジネス職の方の支持が特に高かったのが、WBSやダイアグラムを使って目標をタスクに分解・構造化する「計画」の回でした。「業務を整理するための具体的な手法」への関心の高さがうかがえます。

エンジニア職と比較すると実務の中でプロジェクトマネジメントに触れる機会が少なく、まずは基本的な手法への関心が高まったのかもしれません。

エンジニア職:第2回「第1章 目標を作ろう(目標の言語化)」が人気

一方でエンジニア職の方には、プロジェクト憲章(インセプションデッキ)を用いてプロジェクトの「目的」や「前提」をすり合わせる回が最も支持されました。

普段からプロジェクト的な業務の進め方に触れる機会が多く、手法そのものよりも、その手前にある「認識合わせ」のプロセスを重視する傾向があるのかもしれません。

3. 参加者の声:ここが良かった!3つのポイント

アンケートの自由記入欄で寄せられた回答を、3つのポイントに絞ってまとめてみました。

① 「世界一参加しやすい」ハードルの低さ

    • 「事前の読み込みなどの重い準備が不要でありがたかった」
    • 「初心者向けの内容で、プロジェクトマネジメントに馴染みがなくても安心して参加できた」

という声が多く寄せられました。「世界一参加しやすいPM読書会」という評価もいただき、誰もが気軽に参加できる雰囲気が好評でした。

② ワークショップ形式で「楽しく・具体的」に定着

    • 「ただの勉強ではなく、手を動かすワーク形式で楽しく学べた」
    • 「実際の業務でどう使うか、手順やイメージが具体的に湧いた」

座学だけでなくワークを取り入れることで、「難しそう」というイメージが払拭され、実践的な理解につながったようです。

③ 職種を超えた「業務への応用」と「共通言語化」

    • 「ビジネス職でもプロジェクトマネジメントの考え方を知ることが大事と感じた」
    • 「プロジェクト憲章やインセプションデッキなど、早速業務に取り入れた」

職種の垣根を超えて、全社的にプロジェクトマネジメントを学ぶことが実務でも役立つという気づきが得られたようです。

4. ご意見を次回の糧に:改善と今後の展望

参加者の皆さんからは、今後の開催に向けた建設的なフィードバックもいただきました。

「事前の読み込み範囲の案内が少し分かりにくかった」という運営面でのご指摘や、「より実践的なワークがしたい」「社内の具体的なプロジェクト事例を聞きたい」といった、一歩踏み込んだ内容を求める声も挙がりました。

案内方法の改善はもちろんですが、いただいた「もっと学びたい」という熱いリクエストに応えられるよう、次回は社内事例の深掘りや、具体的なツール活用など、より実務に即したテーマも企画していきたいと考えています。

まとめ:プロジェクトマネジメントは、誰にとっても「使えるスキル」になる

今回の読書会を通じて一番勉強になったのは、読書会の設計にあたり手元の参考書やPMBOKを何度も読み返し、チームメンバーに繰り返し相談して、「どうすれば学びの多い会になるか」を考え抜いた私自身だったかもしれません。

そして改めて確信したのは、「プロジェクトマネジメントは、PjMだけのものではない」ということです。

「目標を言語化する」

「やるべきことを分解する」

「リスクを想像して備える」

これらは、巨大なシステム開発だけでなく、日々の小さなタスク管理や、他部署との調整業務、プライベートのイベント企画にも使える、普遍的なスキルです。

チーム全員がこの「共通言語」を持っていれば、仕事はもっとスムーズに、もっと楽しく進められるはずです。

もし、この記事を読んで「プロジェクトマネジメント、ちょっと面白そうかも」と思ったあなた。

ぜひ一度、書店で『10歳からのプロジェクトマネジメント』を手に取ってみてください。そこには、大人の悩みを解決するヒントがたくさん詰まっています。

PEaSチームでは、これからも「実務に役立つ」「みんなで学べる」機会を作っていきたいと思います。

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