サンフランシスコでプロダクトマネージャーとして体験してきたこと

福岡市が行っている Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKA に申し込んで、サンフランシスコに 1 月下旬から 1 週間ぐらい滞在してきました。今回のプログラムに申し込むことで、現地の企業の話を実際に聞いたり、プログラムに参加する人たちと繋がりができたりして面白そうということで参加しました。今回は自分がプログラムを経験して感じたことを書いてみます。

Yes, And

プログラム初日はオリエンテーションな一日でしたが、印象に残ったのは特別講師として来ていただいた WIL パートナーの琴さんのお話しでした。

今は不確実性の時代であり、山登りからサーフィンに戦略思考におけるメタファーの変化が起こっている。登るべき山の頂上を見定め、その頂上に登っていく時代から、刻々と状況の変化を感じ取って、波と一体となってめざすべき方向に向かっていく時代になっている、との話がありました。

戦略思考におけるメタファーの変化

その戦略思考の変化に対応するための考え方のひとつとして、「Yes, And」の紹介がありました。普段の会話で「うん、そうだよね。でも」とさりげなく否定してしまう口癖を「うん、そうだよね。じゃあ」みたく、否定せずにさらにアイデアを乗せる口癖を習慣化することで、アイデアを否定しないようにする考えです。

最終的にアクションを起こすアイデアだけが重要なのではなく、その過程で出てきたアイデアにも価値を置くデザイン思考の考えが含まれています。サンフランシスコの起業家たちは、そういったマインドがとくに強いという話しをしてくれました。

プロダクトマネージャーに通ずるもの

2 日目は現地の企業で働いている人たちと直接会って話しを聞く機会がありました。その中で、とくに Off The Grid / Wonolo からは僕と同じ職種でもあるプロダクトマネージャーの方が忙しい時間の中、自分たちのサービスを説明してくれました。

Off the Grid のダニエルさんは、とにかく情熱にあふれている人でした。ぼくたちの質問に真剣に耳を傾けて、自分の言葉で彼らが何を目指しているのか説明してくれました。説明している間もすごく楽しそうに伝える姿がかっこよかったです。

Off the Grid が新たに挑戦している製品について説明するスタッフの方(ポーズを取ってくれるお茶目さ)

Wonolo はオフィスに自分たちのスローガンを壁にあちこちに書いていたのが印象的でした。向こうは入居時に壁をペンキで塗り直すことが多いため、壁の扱いも自由にしている企業が多いと聞きました。日本では汚したらダメ!みたいな空気がありますが、このあたりにも文化の違いを垣間見ることができました。

会社説明をしていただいた後にビジネス、エンジニアリングで発生する問題の優先順位のつけ方についてプロダクトマネージャーとして迷うことはないか、と質問をさせてもらいました。そこは迷わずユーザーの価値につながることかどうかが大切であると答えていただきました。

情熱を持つ、仕事を楽しむ、ユーザーと一緒にプロダクトをつくっていく、という本質はどこも変わらないと、現地のプロダクトマネージャーの方々に会って実感することができました。

安定しているものを壊すことを恐れない

3 日目はシリコンバレー方面に行って、ホンダR&Dイノベーションズ杉本さんのお話しを聞かせてもらいました。その中でとくに印象に残ったのが、昔リクルートに務めていたときの話でした。まだ採用応募企業の情報を大学に配送し、興味のある学生は同封されている葉書に応募内容を記入して返送していた時代でした。そんなときに日本で数少ないインターネットに繋がったワークステーションを会社でみたそうです。これからインターネットがくる!と確信し会社に提案したとのことですが、周りは何を言っているのか理解してもらえませんでした。そんな中、当時の部長はリクルートを壊す事業をやってみろと背中を後押ししてくれたとのことでした。

HONDA 創業者である本田宗一郎氏の名言

安定しているものを壊すことを恐れずに進めていった杉本さんたちにイノベーションを起こす動きを感じることができました。自分も気づかないうちに壊すことを恐れて守りに入ってしまわないよう身を引き締める思いです。

英語を使った熱気あふれるピッチ

最終日はプログラムから勝ち上がった人たちが、現地の投資家を前にピッチに立つイベント「SF Pitch Night 2020」がありました。現地の人たちも自分たちが行っているサービスについて熱いピッチを行いました。

僕も英語によるピッチに立ったことがあるのですが、今回出た人たちほど英語で話すことができませんでした。発表後に現地の投資家たちから鋭い指摘を英語でもらっても、きちんとやりとりしていて、改めて自分もそれぐらいのレベルに達してコミュニケーションができるようになりたい、とその場にいて感じました。

現地の投資家たちを前に堂々と英語ピッチ

サンフランシスコという街がスタートアップ

サンフランシスコのベイエリア(Apple/Google/Facebook があるのはシリコンバレー)に滞在していたのですが 1 月下旬でも最高気温は 18 度くらいまで上がり、最低気温も 8 度くらいの気候でした。昼間は長袖ですんで、夜は上着を羽織る感じでした。

僕も 2012 年から 1 年半ほどシンガポールにいたことがあるのですが、年中Tシャツ、ハーフパンツ、サンダルでいられた楽さは覚えています。東南アジアは乾季、雨季があり、また年中暑かったことを考えると、一年中快適な気温で、年間晴天 300 日と言われるサンフランシスコは、ビジネスに集中できる場所と言われて納得できる感じでした。

市内の移動は Uber を使って車で移動したり、シェアリング電動キックボードを利用して移動してみたりしました。物理的に盗まれないようにするための手すりが街中にありました。元々そういったものが街にあったのか、後から準備したものかは分かりませんが街がサポートしてくれている印象です。

このシェアリングバイク、キックボードの事業は利益が出ているのかというと、正直そうでないとのことです。しかし、サンフランシスコではいくつものスタートアップ企業が果敢に挑戦しています。

電動キックボードサービスを利用して市内を滑走

今回のプログラムに協力している btrax ファウンダーである Brandon さんの話であったのですが、サンフランシスコは新しいことに対してポジティブに受け止める人々が集まっています。それはサンフランシスコという街の起源がゴールドラッシュから始まり、様々な国の人たちが一攫千金を狙ってつくられたこの街自体がスタートアップなんだという話に通ずると感じました。

プログラムを通して

今回は触れませんでしたが Amazon Go に行ってレジ無しショッピングを体験するなど、他にも現地ならではの体験をしました。実際にインターネットで見聞きするだけでなく、現地に行って会って、見て、聞いて体験でしか得られることが多かったです。一週間ぐらいしかいませんでしたが、今回のプログラムを通して得た体験を、これからの生活、仕事に活かせていけるようにしていきます。

STARTUP TEAM FUKUOKA ならびプロジェクトに協力されていた btrax さんに改めてこういった機会をつくっていただき感謝します。福岡市(市の方も一緒に同行されてました)がこういったプログラムを行っており、前向きに取組を行っていることが嬉しい限りです。

一方で規制もあってなかなか試せないジレンマが日本には多いと聞きます。日本でも色々試せるような特区に、福岡市が先導を切って進めていってくれることを楽しみにしています!

より良いチームワークを生み出す

チームの創造力を高めるコラボレーションツール

製品をみる