最近、リモートワークなど柔軟な働き方に関する記事をよく見かけるようになり、関心の高さを感じています。特に女性は結婚や出産などライフステージの変化と仕事のバランスに悩むことも多く、リモートワークに興味がある方も多いのではないでしょうか?
私は結婚を機に離島に引っ越し、今年の5月からリモートワークをはじめました。そこで、人口701人の小さな島でリモートワークをする話を書いてみたいと思います。(リモートワークだからではなく、島ならではの話も含まれていますが、そこはご了承ください。)
どんな島に住んでいるの?
九州本島から船で30分程度のところにある、大島という島に住んでいます。
島の周囲は15kmほどで、車だと30分で一周できるくらいです。2015年3月の時点で島の人口は701人です。1950年には2,200人くらいの人が住んでいたそうですが、若い人が働きに本土へ移ったので、今はお年寄りが多くなり子どもが減っています。島の主な産業は漁業と農業、釣りなどの観光業が中心で、1年間で約10万人の観光客が訪れています。島にはタクシーが1台しかないのに対して、船は174隻あります。最近、信号がないことに気づきました。
今年、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として、世界文化遺産の推薦候補に選定されました。
ITエンジニアとしてのワークスタイルは?
水曜日だけヌーラボ福岡本社に出勤して、他の日は島の自宅でリモートワークをしています。土日祝日はみんなと同じように休みです。
どんな仕事をしているの?
Backlog の開発や、海外ユーザーのサポート(技術的なお問い合せの対応)などをしています。仕事の内容はリモートワークをする前と変わっていません。
リモートワークって仕事のやり方違うの?
リモートワークだから特別これをしないといけないというのはないのですが、大体こんな感じです。
勤怠
勤務開始時に Typetalk で「Hello」と声をかけます。勤務終了時は「Bye」です。こうすることでみんな色々な場所で働いていても、今、仕事している人が誰か(話しかけることができる人は誰か)がわかります。これは Hello Goodbye という社内の勤怠管理アプリで、勤怠情報を保存しています。
ミーティング
毎朝20分程度、オンラインで朝会をしてチームで情報共有しています。そのほかも必要があればオンラインで話しています。
作業
自社ツールの Backlog 、Typetalk、 Cacoo を活用しています。Backlog でタスク管理やナレッジの共有をして、聞きたいことや話したいことは Typetalk に書いて会話し、図を書いて説明しないとわかりにくい場合は Cacoo で書いて Backlog か Typetalk で渡すという感じです。
メリット
家族と一緒に暮らせる
これが一番重要でした。
夫の仕事の関係で、島の外に住むのが難しく、一緒に住むためには私が引っ越すしかありませんでした。
リモートワークを受け入れてくれたヌーラボのみんなには感謝しています。
通勤時間が0分
引っ越す前も会社から徒歩15分のところに住んでいましたが、今は0分になりました。
出勤日はフェリー、バス、JR、地下鉄を乗り継いで片道2時間くらいかかりますが、週に一回だけなのでそんなに苦になりません。
集中できる
私は人が楽しそうに話していると「なに?なに?」と聞きたくなるほうなので、そういう話も聞こえない家では仕事に集中するしかなく、あっという間に時間がすぎていることが増えました。
ストレスが少ない
多少もやっとすることがあっても、島ののんびりした雰囲気の中では怒っていると損な気持ちになります。
以前はいつも忙しいと感じたり、やらないといけないことが多くて焦ることがありましたが、あまりなくなりました。
デメリット
通信状況の悪さ
リモートワークをするうえでネックになったのはネットワーク環境でした。
島には光回線がきていません。定額無制限の中で速度も早い WiMax を契約したかったのですが、微妙にエリア外でした。ボウルで簡易パラボラアンテナを作ると電波が入ると聞き、陸地に向けて吊るしてみたりしたのですが、どんなにがんばっても入りませんでした。
結局、ぷららのLTE定額無制限プランを利用していますが、遅いので大きなデータを扱う時には苦労します。会社に行ったタイミングや寝る前のタイミングをうまく利用しています。
先月のデータ通信量は 38.4 GB でした。定額無制限プランにしていなかったら恐ろしい請求がきたでしょう…。
オフィスだとこの辺は全部会社が負担してくれているので、リモートワークのデメリットだと思います。
たまに寂しい
みんなが一緒にランチに行ってたり、飲みに行ってたりする写真が Typetalk や SNS にあがっていると少し寂しくなります。
仕事帰りに飲みに行けなくなったのは大きなデメリットです。
気をつけていること
1. 文章の書き方
リモートワークになって気をつけるようになったことがいくつかありますが、これが一番大きいです。コミュニケーションがほぼ全部文章なので、どっちにも取れるような書き方はしないように心がけています。
2. 口頭で説明する必要がないように資料を書く
人に何かを説明する時は、わかりやすく Wiki や資料にまとめて渡し、わからないところがあればそれを追記する方式にしました。今までは口頭で補足することを前提にしていたことが多かったと気付きました。
3. チャットの通知には瞬時に反応する
チャットの通知に気づくようにするのも大事です。ヌーラボ内のチャットは Typetalk を使っていますが、私はサウンドを鳴らしてデスクトップ通知もする設定にしています。「ikikkoさんが林さんを呼んでるよ」とか教えてくれる人はいませんので、反応がないとサボっていると怪しまれる恐れがあります。
最後に
リモートワークを始める前はみんなとコミュニケーションがとれなくて仕事がやりにくくなるんじゃないかとか色々不安がありました。
今は意外と普通に仕事できるなと思っています。
それは元々ヌーラボには福岡、東京、京都、シンガポール、台湾、NYなど複数の拠点があり、それぞれが協力して仕事をしやすいような環境が整っていたことが大きかったと思います。
メリットもデメリットもあるので、リモートワークが一番いい選択とは言えませんが、色々な事情でそうできたら助かる人もいると思います。誰かの参考になれば幸いです。
ヌーラボでは仕事も家庭も大事にするエンジニアを募集しています。