[社内イベントレポート] SNS炎上 防災訓練を実施しました!

こんにちは!ヌーラボ広報担当のメギーです。

インターネットが普及し、SNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)、ブログサービス(note、Amebaブログなど)といったソーシャルメディアを用いて誰もが発信者になることができる現代。気になるお店のレビューを投稿しあったり、友人同士でコミュニケーションを楽しんだり、自社サービスの改善に活用できる意見を探したりと、ソーシャルメディアは現代を生きるすべての人にとって身近なものとなりました。

ヌーラボでも、ヌーラボの従業員(以下、ヌーラバー)同士での会話やステークホルダーとの交流、あるいは広報活動などにソーシャルメディアを活用してきました。今後もヌーラバーが積極的にソーシャルメディアを利用しコミュニケーションを楽しむことを推奨していきたいと考えています。

一方、気軽に投稿した内容に対して思いもよらず数多くの反応が寄せられ「炎上」状態になると、自身の生活を一変させ、所属する企業の信用をも大きく失墜させてしまう可能性があることを忘れてはなりません。ひとつの発信がきっかけとなり、職を失う、法的責任を問われる、所属する企業が倒産に追い込まれるなど、多方面に大きな影響を与えてしまうリスクがあります。

そういった背景を踏まえ、ヌーラボでは、ヌーラバーのソーシャルメディア利用に関する教育研修を実施したり、実際に起きた炎上事例を取り上げ、発生要因と取るべき対策・ヌーラボでも起こりそうなリスクについてディスカッションする活動を広報担当が中心となって行ったりしています。

今回のブログでは、そうした活動の一環として、セキュリティチームの松山さんと広報担当の私:メギーが共同で行った社内研修「SNS炎上 防災訓練」について、その内容をレポートします!

 

研修は座学と演習の二部制!まずは座学で「炎上」を学ぶ

ヌーラボのセキュリティチームは、インシデントが発生した際のフローを定めており、有事の際にも直ちに情報を共有し、対応策の検討が可能な仕組みが構築されています。

 

インシデントの際のフローをまとめた「インシデントレスポンスフロー」

しかし、SNSの炎上は瞬く間に進行するため、本人が必ずしも落ち着いた行動を取ることができるとは限りません。

今回の防災訓練は、企業の炎上事例を研究する部活動で「いざ自分が炎上したとき、きちんとインシデントレスポンスフローに則した行動が取れるかどうか不安ですね…」「だったら、火災の避難訓練と同じように、SNSの炎上に関する防災訓練を行うと学びが多いのでは?」といった会話がきっかけで生まれました。

そこで、前半は広報担当の私がプレゼンターとしてSNS炎上に関する座学研修を行い、後半はセキュリティチームの松山さんがプレゼンターとして、参加者全員が実際に頭と手を動かす形での訓練を行う参加型の演習を企画しました。また、それぞれのゴールを下図のように定めました。

座学ではSNSだけでなく、ソーシャルメディア全体を対象範囲とし、下記のアジェンダでお話ししました。

  • ソーシャルメディアとはなにか
  • 炎上によって、個人と企業にそれぞれなにが起きるのか
  • 7つの炎上トピックと炎上事例
  • ソーシャルメディア炎上のメカニズム
  • ソーシャルメディアとの正しい付き合い方

まず、「自分はTwitterをしていないから、今日の研修は無関係だな…」という気持ちで参加する方をなるべく減らし、当事者意識を持って参加いただくため、ソーシャルメディアとはなんなのかについてお話ししました。

ソーシャルメディアといえばSNSを思い浮かべる方も多いのですが、インターネット上で情報をやり取りするためのメディアがすべて含まれます。掲示板やニュースメディア、特定目的での情報発信・交流サービスも含まれるとなると、情報社会を生きる私たちのなかで、ソーシャルメディアに関係のない人はほとんどいないのではないでしょうか。また、昨今は電話やイベントなど、インターネット上ではない場所で話した内容が第三者によってソーシャルメディアに公開され、炎上する例も少なくありません。

こういった事例まで範囲を広げると、日常生活を営む上で、ソーシャルメディアにおける炎上について学ぶことが、自身と所属企業を守る大きな一歩になるとお分かりいただけるかと思います。社内向けの研修を企画する際、「今日の研修に積極的に参加し、学びを得るぞ!」という姿勢で参加いただけるように内容をデザインすることがとても重要だと思います。

「炎上でどんなことが起きるのか」をイメージいただくことも重要だと考えました。そこで、炎上によってどんな避けたい事態が発生しうるのかについても触れました。

その後、私が担当する座学研修の中心コンテンツである「炎上事例」を紹介していきます。炎上はその内容からいくつかのトピックに分けることができると捉え、私の分類では7つに分け、ヌーラバーに紹介しました。

紹介した「7つの炎上トピック」。分類は筆者によるもの。

それぞれのトピックに対して、記憶に新しい炎上事例を取り上げ、どんな影響があったかまでを調査できる範囲で調査してご紹介しました。事例を紹介すると、研修を受けているヌーラバーからは、「怖い…」「これは胃が痛い…」といったコメントが続きました。

なかでも、所属企業を明記していない個人のソーシャルメディアアカウントでの発言内容が炎上し、過去の投稿から本名と所属企業を特定され、所属企業に抗議が寄せられた結果、企業が公式に謝罪文書を発表した事例については、驚きの声とともに、改めて自身の言動に気を付けたいといった感想が多く寄せられました。

あらゆる炎上も、そのメカニズムは類似しており、同じプロセスを辿って深刻な大炎上にまで発展します。いかに早めに、適切に対処できるかが重要で、決して軽視してはならないといった内容についてもお話ししました。

 

自身のツイートが炎上!そのとき、あなたはどうする?

研修の後半は、プレゼンターを私から松山さんにチェンジし、参加者全員が実際に体験する机上演習型の訓練を行いました。

座学の方で触れた通り、火種が投下されてから延焼していくプロセスにおいては、他者の助言や協力も仰ぎながら早めに、かつ適切に対処することが何より重要です。そのため、前述したヌーラボのインシデントレスポンスフローでも、関係者への速やかな情報共有を図りながらインシデントに対応していくことが指示されています。

今回の研修では、事前に私と松山さんで架空の炎上シナリオとお題を用意し、当日ヌーラバーに発表。状況を理解したヌーラバーは、自身で必要な情報と関係者を判断し、Backlogを使って、情報共有を行う流れを体験することにしました。

架空の炎上シナリオでは、ヌーラバーAが土曜日の夜、個人のTwitterアカウントで発信した内容に対して多くの批判が寄せられ、それを発見した別のヌーラバーが広報担当者Bに相談し、BからAに削除を依頼。炎上発生の翌日である日曜日の朝にAは当該ツイートを削除するものの、すでに延焼が始まっている状態でした。月曜日、ヌーラボにも本件に関する問い合わせが殺到し、メンバーが対応に追われる事態となっています。

事後アンケートによると、松山さんによる演習で好評だったのは、自分が演じる役割を選べたこと。上記シナリオのもと、自身の状況や不安度に応じ、投稿した当事者である社員Aまたは広報担当者Bのどちらの立場でも参加することができました。これにより、演習がよりリアルなものとなり、ヌーラバーは自分ごととして参加できたようです。

演習ではインシデントレスポンスフローにそってプロジェクト管理ツールのBacklogを使用し、関係するヌーラバーへ情報共有するために、演習の参加者が個別に課題を作成するところから始めました。Backlogの課題の通知を受け取ったヌーラバーが本物のインシデントが発生したと間違うことがないよう、防災訓練用にあらかじめ [Training] と明記したテンプレートを用意しました。

演習に参加したヌーラバーは、テンプレートで用意された項目を埋めていく形で、「発生日時」「概要」など記入し、インシデントレスポンスフローを確認しながら情報共有すべきと思われるヌーラバーに直接メンションを送ります。緊迫感を醸し出すために、演習ではあえて短い制限時間を設けました。前述した通り、SNS炎上の際には刻一刻と事態が悪化していくため、内容や共有先と同等にスピードも重要であるためです。

こうした、インシデントレスポンスフローに応じた情報共有の体験を何度か繰り返しました。Backlogは登録された課題を一覧で見ることができるので、件名の付け方や担当者を登録するのかどうか、優先度はどうするかなど、演習に参加した他のヌーラバーの事例も見ることができて、私もひとりの参加者として勉強になりました。

実際に課題を追加してみると、「誰にメンションをお送りすればいいんだろう?」「この内容じゃ足りないかな…」と迷うことばかり。それらに対して、松山さんは、下記のようなアドバイスを伝えました。

  • パッと思いつく全員にメンションを送っていい。炎上に関する内容は、自分で思うよりも広い範囲で共有した方が、早く・多くの知見を得られる。
  • とにかく対応スピードは重要。2020年のデータをもとにした報告書によると、炎上事案のうち約5割が24時間未満、約7割が48時間以内に放送・記事化されている。
  • 弁護士、警察、その他相談できる機関があるものの、SNS炎上による問題の解決は、最終的には自力で行うしかない。労力や時間、費用などはかなりのもの。
  • 不十分な説明や中途半端な謝罪などの不適切な対応は、かえって炎上を大きくしたり個人・企業の評価を貶めたりすることになる。

満足度98%!「相談のハードルが下がった」「緊張感があった」の声

社内研修「SNS炎上 防災訓練」に参加したヌーラバーを対象に行った事後アンケートでは、研修全体の満足度について、98%の方が「大変満足」「満足」と回答しました。参加型で、リアルタイムで炎上が進行していくような緊張感が漂う演習であったことが好評だったようです。

一部、アンケートに寄せられた感想を抜粋してご紹介します。

  • 社内で共通した認識を持てたことで、相談やインシデント報告のハードルが低くなったように感じました。
  • 課題を追加するトレーニングが良かったです。何をしたらいいのか、トレーニングでも頭が真っ白。フロー図を見ながら、あたふた。初動が大切だと思うので、今一度振り返りをしようと思います。
  • こんなに緊張感を持って研修できたことはなかったのでとても良かったです。
  • 事例とトレーニングの二段構えがとても良かったです。
  • 過去の炎上の例や、それがなぜ炎上したのかが分かりやすくまとまっていました。また実際にBacklog課題作成の演習ができたのはとても勉強になりました。

個人のSNSが炎上したと仮定し、そのときの動きを確認していくスタイルでの防災訓練。ぜひご自身の所属する企業のポリシーやインシデントフローに沿って、体験する研修を企画してみてはいかがでしょうか。私は、訓練と分かっていても胃が痛くなり、汗が止まりませんでしたが、全社を巻き込んだ「SNS炎上 防災訓練」を今後もぜひ定期的に行いたいと考えています。

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