工具で学ぶユーザビリティー(入門編)とアクセシビリティー

※ このブログはヌーラバー Advent Calendar 2020 13日目の記事です。明日は いのうえみほさんの記事です。

今年はコロナ禍でリモートワーク中心な生活と変化しました。

おかげで自宅の仕事環境を本格的に整える必要性と時間と資金が生まれ(ありがとう会社)、僕自身おうちのDIYが捗りました。社内を見ていてもおうちDIYが盛んだった気がします。

そんな一年だったので、日頃開発に携わっているWebサービスから一歩離れてみて、DIYでお世話になっている工具を題材にしてユーザビリティーを考えてみるということを「ものづくりとヌーノーマル」がテーマなNuConのLTで話させてもらいました。

NuCon開始直前の様子

サクッと上のスライドを読んでもらった前提で、以下続けます。

アクセシビリティーの話

モンキーレンチの開閉を迷わなくする案を出してたのですが、「左利きだと回転が逆方向になるのでは?」というツッコミをいただきました。

クリクリを90度回転させた案 (雑コラ)

確かに左手で持って回転させると開閉が反対になりますね。。。

実は、ユーザビリティー的に優しさがあるという扱いにしたこの工具も、左利きの人には優しくないんですよね、っというアクセシビリティーの話につながる写真も用意はしていたのですが時間上省きました。のでここで補足しておきます。

左構え

写真の工具は、左で構えると右で見えていたサイズのマーカーが見えなくなります。見た目の違いはそれくらいなのですが、実際に左手で使用してみると本質的な使いにくさが分かります。

スパナ自身というより、ボルトナットが右回りに締める仕組みなので、右手に構える方が、体重をかけて締めるとか、力の入る引手方向に回転させやすくなっています。左で構えると、押し上げる形になるのでスパナの重さがマイナスに働いてしまうことになります。緩めるにはいいのですが。

逆手。忍者感あるが手首やっちゃいそう

こういう、規格の中に折り込まれてしまっていることで生まれる使いにくさは、左手用のスパナを作る、といったことでは解消がしにくい問題です。

一部の人にとって使いにくいものを減らしていく、利用から排除される人を減らしていくのがアクセシビリティーを上げる、ユニバーサルなデザインを取り入れいていくことになります。

ユーザビリティーとアクセシビリティー

ユーザビリティーは、あるターゲットに対してどれだけ高い使いやすさを提供するかが主眼となり、アクセシビリティーはどれだけ幅広いターゲットに一定レベルの使いやすさを提供できるかが主眼となるため、軸が違っています。

なので、右利きの人にはユーザビリティーが高めだったけど、アクセシビリティーが低いので左利きの人にはユーザビリティーが低いのが先ほどの工具です。
先ほどの、よりユーザビリティーを高める案も、右利きというターゲットに対してのみ有効でアクセシビリティー的にはむしろマイナスと言えます。

ではよりアクセシビリティーが高い、ユニバーサルなデザインなスパナとはどんなものでしょうか?

makita先生の写真を拝借

この電動式のスパナであれば、グリップが左右対象で操作もどちらかに偏りがないのでどちらの手でも使いやすさに差が生じません。手軽さにおいてシンプルな工具には劣りますが肉体的な負荷が低い分、多くの場面でイラッとすることなく作業できユーザビリティーも総合的に高そうです。欲しい。

ただしこの工具も、回転方向とその切り替えスイッチ(押し込むタイプ)の向きとの連動が直感的ではないのでユーザビリティ向上の余地があります。

Webサービスとしての実践

ゼロから始めるアクセシビリティ 「Backlog」の事例に学ぶ、ユーザーのための改善とは にBacklogチームが行ったアクセシビリティ改善の話がまとまっているのでこちらもぜひ。

おわりに

慣れによる使いやすさの向上とマニア受けの関係とか、ターゲッティングとか専門工具化の道など、工具の持つユーザビリティー特性みたいな話もどこかで出来たらなあと思います。では年末年始も良いDIYを!

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