あなたの「コミュニケーション」は、チームの成果に直結していますか?
突然ですが、「コミュニケーション」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
友達との楽しいおしゃべり? チャットやメールでのやり取り? もちろん、これらも日常ではすごく大事なコミュニケーションですよね。
でも、今日お話ししたいのは、仕事やプロジェクトの成果に直結する、もう少し奥深い部分のコミュニケーションの話しです。
それは、チームの生産性や、みんながイライラせずに気持ちよく働けるかどうかを左右する、とても大切な「仕組み(システム)」のことだと私は考えています。
「どうすればチームのメンバーが、お互いに気持ちよく、最高のパフォーマンスを出せるだろう?」
その答えは、単なる「話し方」のテクニックではなく、コミュニケーションの「深層(深い部分)」にあるのかもしれないと思っています。
今回は、「単なる会話で終わらせない」という視点で、この考えが生まれた原点から、ちょっと真面目な分析、そしてそれがチームをワークさせる、すなわちチームワークマネジメントにどう役立つのかを、一緒に深く掘り下げていきましょう!
第1章:最高の成果を生む!「摩擦ゼロ」のコミュニケーション術
1. 仕事の効率を下げる最大の原因は「摩擦⁉」
なぜ、仕事のコミュニケーションに「深さ」が必要なのでしょうか?
仕事は、チームで共通の目的や目標に向かって協力し合うことが必須です。しかし、人それぞれ知識、背景、そして物事に対する「前提」が異なります。
この「前提の違い」や「情報伝達のズレ」を解消しないまま進めると、必ず「摩擦」が生じます。ここでいう「摩擦」とは、情報の誤解、伝達ミス、そしてそれによって生まれるフラストレーション(イライラ)のことです。
そして、この「摩擦」こそが、チームの作業を停滞させ、効率を悪化させる最大の原因です。
私たちは、深い対話を通じてお互いの「前提」を共有し、意図や感情を理解することで、この摩擦の発生自体を未然に防ぐ必要があります。これが達成できて初めて、チームはイライラなく最高のパフォーマンスを発揮できるのです。
2. コミュニケーションを「システム」として分解してみよう
コミュニケーションを単なる会話の枠を超えて、客観的な「システム」として分析してみましょう。学問的には、コミュニケーションとは「意味の共有」を目的としたプロセスだと言われています。
このシステムを分解すると、私たちがチームで感じる「摩擦」の正体が見えてきます。
① 氷山の下にある「意図」と「感情」を想像する
私たちが意識して話す言葉は、まるで氷山の一角のようなものです。その水面下には、話す人の「本当の意図」「感情」「無意識の前提」といった重要な要素が隠れています。
コミュニケーションがうまくいかないとき、多くの場合、この水面下の「なぜ?」が共有できていません。だからこそ、表向きの言葉の裏にある「前提」を想像し、チーム内で共有し合うことが、摩擦のない仕事のスタートラインになります。
② 情報が持つ3つの役割を知る
コミュニケーションによって伝わる情報には、実は3つの大切な役割があります。
- 伝達(知識): 事実やデータ、タスクの内容を教える
- 動機づけ(行動): 相手を動かし、行動を促す
- 情動表出(信頼): 感情的な共感や安心感を共有する(最も重要!)
知識やタスクを伝えるだけでなく、「情動表出」、つまり感情的な共感を伴わなければ、メンバーは心から安心して動くことはできません。情報を渡す際は、この3つの機能が果たされているか意識しましょう。
③ 「ノイズ」を徹底的に排除する
情報が正確に伝わるのを邪魔するものは、「ノイズ」とよく呼ばれます。
誤解、情報の伝え漏れ、ツールの使いづらさなどが、すべてノイズです。このノイズを最小限に抑えることが、効率的なコミュニケーションの鍵。私たちの目標は、ツールやチームのルールによって、このノイズを徹底的に排除し、情報がクリアに届くシステムを作ることです。
第2章:深いコミュニケーションは「チームの心臓部」
私は、コミュニケーションの真の深さとは、単なる情報のやり取りではなく、「みんなで同じ目標を達成するためのチームを動かすプロセスそのもの」だと考えています。
この深いコミュニケーションこそが、チームをうまくまとめるためのすべての要素を機能させる「心臓」の役割を果たします。
1. 「信頼」と「行動」を作る対話
チームを成功させるために必要なこと(目標を決める、安心して話せる環境を作るなど)は、すべてコミュニケーションによって支えられています。
① 信頼関係と心理的安全性:まずは「安心感」から
チームの土台は「信頼」です。これを銀行の「信頼残高」だとイメージしてください。
日々の挨拶や、正直に話せる雰囲気づくりが、この残高を増やします。残高があれば、ミスをしても素直に報告でき、みんなで助け合えます。この「何を言っても大丈夫」という安心感こそが、心理的安全性の正体です。深いコミュニケーションは、この残高を積み重ねるためにあります。
② 目標設定と共有:みんなを動かす「共感」
リーダーが「これをやれ」と一方的に指示するだけでは、人は心から動きません。
目標を達成するためには、全員がその目標に納得し、「自分ごとだ」と感じるための対話が必要です。深いコミュニケーションを通じて、目標の「意義」を共有することで、メンバーの行動が一つにまとまります。
2. 摩擦を生まない「質の高い」フィードバック
特に、誰かの役割を決めたり、成果について意見を伝えたりする場面では、コミュニケーションの「質」が試されます。ここでミスをすると、一気にチームに摩擦が生まれてしまいます。
① 役割と責任の明確化:対等な「大人」として話す
何か問題が起きたとき、感情的になったり、「誰のせいだ」と責めたりするような子どもっぽい話し方をしてはいけません。
重要なのは、お互いを尊重し、対等な「大人」の立場で冷静に「お互いが何を期待しているか」を確認し合うことです。この姿勢が、役割の明確化をスムーズにします。
② 評価とフィードバック:人格ではなく「行動」に焦点を当てる
チームの成長を促すフィードバックは、「あなたのやり方はダメだ」と人格を否定するものであってはいけません。
必ず具体的な行動(※)に焦点を当てましょう。相手の頑張りや自己肯定感を尊重する対話を通じて、信頼関係を壊さずに、前向きな成長を促すことができます。
※)具体的な行動例
悪い例(人格): 「君はいつも結論が不明確だ。」
良い例(行動): 「この報告書の冒頭で、解決したい課題を箇条書きで2点示そう。」
まとめ:「深いコミュニケーション」で最高のチームを作ろう!
私たちがコミュニケーションを単なるスキルとしてではなく、チームのシステムを動かす学術的かつ哲学的なプロセスとして捉えてみると、仕事はもっと面白くなると感じています。
この「深いコミュニケーション」を追求することで、次の2つのことを常に意識できるようになります。
- 「意図や感情」という氷山の下の情報を想像し、前提の共有を怠らないこと。
- 「信頼」と「行動」というコミュニケーションの機能を意識し、チームの心理的安全性を積極的に構築すること。
この深掘りこそが、最高のチームを作るための要素(目標、役割、信頼、プロセス、評価)を高いレベルで機能させ、イライラのない、気持ちのいい最高の成果を生み出す鍵となると考えています。
この深いコミュニケーションの面白さを理解し、社内外の皆さんと共に「摩擦のない、気持ちのいいチームワーク」を実現するための施策を今後もコミュニケーション部として実施していきたいと思っています。
