【福岡大学】修論・卒論もクラウドで管理!BacklogとTypetalkを使ったIT時代の教育現場最前線

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福岡大学工学部電子情報工学科は、学生の修論・卒論プロジェクトでBacklogとTypetalkを活用しています。学生10名分の研究のタスク管理をWikiからBacklogに移行したことで、教員側の進捗管理が効率化され、膨大な量のメールの削減に成功。「学生と教員のコミュニケーションが改善だけでなく、学生へのビジネスマナーの指導の促進にもつながった」と語る先生方に、導入効果をお伺いしました。

■プロフィール(写真左から)

  • 髙橋伸弥(たかはし・しんや)
    福岡大学 工学部電子情報工学科 メディア工学部門 准教授 博士(工学)
    音声メディア工学研究室准教授 研究統括・プロジェクト管理
  • 廣重法道(ひろしげ・のりみち)
    福岡大学 工学部電子情報工学科 助教
    画像メディア工学研究室助教 大規模画像データベースプロジェクトの指導
導入目的 ■ 学生からの進捗共有メールをチャットに移行してメールを減らしたい
■ Wikiによるタスク管理で起きていた情報記入の手間や漏れを削減したい
■ 卒論・修論プロジェクトの進捗を教員側でリアルタイムで把握してこまめにフィードバックをしたい
課題 ■ 学生から送られてくる、修論・卒論プロジェクトの進捗報告メールの量が膨大
■ Wikiによるタスク管理で起きていた、更新情報を手入力する手間や記入漏れ、間違い
■ 学生10名のプロジェクトの進捗をリアルタイムで把握できず途中で軌道修正できない
効果 ■ Backlogの更新情報をTypetalkに通知することでメールを使わずにプロジェクトの進捗を確認
■ Backlogによる課題 / Wiki管理で、更新情報の記入漏れや間違いが激減
■ 学生によるタスクの可視化により教員側からこまめな軌道修正ができるようになった
■ 学生に早期段階でタスク管理、ビジネスコミュニケーションの教育指導ができるようになった
業種 教育機関(大学)
ヌーラボサービス利用の学部 工学部電子情報工学科
利用中のヌーラボサービス BacklogTypetalk(エデュケーションプラン)

60名の学生と教員でBacklogとTypetalkを教育の現場で利用

――BacklogとTypetalkを利用している福岡大学の学部について教えてください。

髙橋伸弥(たかはし・しんや):福岡大学工学部電子情報工学科メディア工学研究室では、音声・画像を対象とした情報システムの開発をメインテーマに、他学部の研究室と連携しながら様々なシステムやアルゴリズムの開発を行っています。

プロジェクト全体の構成メンバーは学部生・大学院生合わせて約40名に教員5名、理学部地球圏科学科の教員1名と学生20名程度となっており,それぞれ、研究テーマごとにグループに分かれて研究を行っています。

福岡大学 工学部電子情報工学科 髙橋伸弥さん

――今日取材を受けるお二人の自己紹介をお願いします。

髙橋:私は電子情報工学科の音声メディア工学研究室の研究統括をしています。Backlogは同研究室の卒論・修論プロジェクトと大学院講義の課題管理用に利用しています。また、他学部他学科の先生と共同研究しているプロジェクトでも利用しています。複数人にまたがるさまざまなプロジェクトを管理するのはBacklogエデュケーションプラン、コミュニケーションにはTypetalkエデュケーションプランを利用しています。

廣重法道(ひろしげ・のりみち):私は画像メディア工学研究室で助教を務めており、大規模画像データベースプロジェクトの指導をしています。髙橋先生と同じく、Backlogは研究室の卒論・修論プロジェクトと大学院講義の課題管理用に利用しています。

福岡大学は9学部31学科、2万人以上の学生を有する西日本最大級の規模を持つ私立の総合大学。2019年に創立85周年を迎える

電子情報工学科が取り組むプロジェクトベースドラーニングでのBacklog活用

――工学科で取り組まれている、プロジェクトベースドラーニング(PBL)とは何でしょうか?

髙橋:プロジェクトベースドラーニング(以下、PBL)とは、自律的な問題解決・意志決定・情報探索などを通じて解決を目指す学習方法です。早期段階から学んでおくことで、与えられた課題を漫然とこなすだけでなく、締め切りを意識して、かつ複数の課題の優先順位を考慮しながらパラレルに作業する意識を養えます。

PBLは、学生が社会に出る前に取り組む価値がある学習法だと考えています。Backlogを使うことで学生への導入もしやすいと考えたことから、2012年にPBLの一環でBacklogを使い始めました。

――Backlogのエデュケーションプランを利用のきっかけは何でしたか?

廣重:私が最初にBacklogを使ったのは、2016年ごろでした。その当時はエクセルでプロジェクトの線表管理をしていましたが、学生からの熱心な提案で使うことになりました。正直、最初は抵抗感がありましたが「そこまで言うなら…」と言う形で、フリープランを使い始めたのがきっかけです。

2017年頃に髙橋先生がご自身の研究室でBacklogのエデュケーションプランの利用を開始したのをきっかけに、課題管理としても使い始めました。2018年には、工学部の5つのプロジェクトと研究室全体の7つのプロジェクトでもBacklogを使うようになりました。

福岡大学 工学部電子情報工学科 廣重法道さん

――Typtealkエデュケーションプラン利用の経緯についても教えてもらえますか?

髙橋:Typetalkは、Backlogで管理しきれない特殊な研究で活用しています。Backlogはシステム開発のような工程には最適ですが、ステップを組み立てにくい研究だと利用が難しいと感じます。

例をあげると、理学部と共同で進めているミツバチの研究は、生物が対象なので当初決めたやり方では進まないことも多いです。こちらの研究ではノートをベースにタスクを管理しています。Typetalkをオンラインのノート代わりにして、研究の進捗内容の共有など、プロジェクトメンバーに情報共有をしています

 

ミツバチの観察箱を用いた研究の記録やコミュニケーションにTypetalkが活用されている

修論・卒論プロジェクトで発生していた膨大な量のメールをTypetalkとBacklogで削減

――TypetalkとBacklogを研究内容に合わせて使い分けているのですね。

髙橋:はい。Typetalkは連絡、議論(確認)、リアルタイムコミュニケーションにして、Backlogはエビデンスの報告と言う目的で使い分けています。BacklogとTypetalkは同じ会社のサービスということもあり、通知面での機能も豊富です。

例えば、私の研究室では、BacklogのプロジェクトとTypetalkのトピックを同じ名前にして、Backlog側のプロジェクトやWikiなどで更新があったら、所定のTyptealkトピックに自動通知されるようにしています。

研究で実際に使われているTypetalkのトピック画面

――TypetalkとBacklogの併用による効果はありましたか?

髙橋:はい。Backlogを導入する前の主なタスク管理はWiki、Typetalkを導入する前のコミュニケーションはメールでした。導入前は、Wikiの更新にひもづくタスクの進捗などを学生からメールで報告される形式を取っていましたが、現在はメールはほとんど使用していません。

プロジェクトチームは2人1チームで合計5チームあるのですが、教員はこのすべてのチームの進捗を監視しなければならず、通知メールも膨大でした。BacklogとTypetalkの連携機能を使うようになってからは、膨大な量の通知メールを削減できました

 

修論や卒論に関する進捗通知のメールをBacklogとTypetalkの連携通知に切り替えたことで膨大な量のメールが削減できたと話す髙橋さん

――学生と教員間のタスク管理をWikiからBacklogに切り替えた効果は?

髙橋:修論プロジェクトでは、週に1度、学生が1人1時間をかけて修論の進捗報告会をしています。Backlog導入前は、報告会の直前に学生がWikiに報告内容をまとめていましたが、日付や編集者などの更新情報を手入力する必要があり、記入漏れや間違いなど問題が度々発生していました。

さらに、Wikiには最新のタスクの進捗が記載されているわけではなく、報告会にならないとタスクの進捗状況が把握できませんでした。そのため、作業の遅れや認識齟齬に気づくのが遅くなってしまうことが多かったです。

Backlog導入後は、Backlogの課題で進捗を可視化できるようになったので、途中で学生に軌道修正をしてもらいたいときに臨機応変に対応できるようになりました。他にも、学生個人が自主的にこなしている学習項目や作業内容も把握できるようになるといった予想外の効果もありました。

廣重:Backlogは、見やすいインターフェースのためか、学生も抵抗感なく使えますし、プロジェクト管理の基礎を学ぶのには最適だと思います。Backlogを導入したことで「タスク管理」を学生に実践的に教えられていると感じます。

 

学生がBacklogで実際に管理している研究課題

「レビューをして完成度を100%にする」プロジェクト管理の基礎を学生に指導

――学生にタスク管理ツールを導入する上で気をつけていることはありますか?

髙橋:最初の抵抗感を下げることだと考えています。例えば、最初は教員側でタスクを登録して、学生に手取り足取りで教えて、次のステップでは、タスクを自分で登録してもらっています。このステップを上手に回すことが重要ですね。

廣重:私はBacklogを通じて学生にレビューの概念を浸透させるようにしています。多くの学生は「レビューのプロセスを通じてタスクを完成させる」という概念が希薄です。例えば、最初の提出では完成度は60%、レビューを経て完成度が80%、それで直したら100%になることを、Backlog課題のステータスの「処理済み」と「完了」を使って伝えています。他には、Backlogに課題を登録する時は、アウトプットをなるべく明確化するように気をつけていますね。

Backlog導入をきっかけに学生にタスク管理の概念を伝えられたと語る廣重さん

教育機関でのコラボレーションツール導入は教育効果を劇的に向上する

――教育機関でのコラボレーションツールの導入障壁についてどうお考えですか?

廣重: 私もそうですが、教員の方の多くは新しいやり方に対して抵抗感を持ってしまうと感じます。私がBacklogを使うきっかけも、学生から良いところをアピールされたのがきっかけです。正直最初は抵抗感がありましたが、彼の熱意に押され、使い始めた結果、学生への指導も自分の作業も圧倒的に楽になりました

大学機関をはじめとした教育機関でスケジュール管理を学生に理解してもらうには、スケジュール管理ツール特有の「不便さ」をあえて感じてもらい、独自で工夫してもらうことが大切だと思っていました。しかし、Backlogをきっかけに、学生発信の新しいやり方を受け入れて、新しいツールを利用することも大切だと考えるようになりました

――BacklogやTypetalkの導入は学生への教育効果にも影響があるのでしょうか?

髙橋: BacklogTyptalkのようなコラボレーションツールの導入は、教育現場特有の難しさがあります。企業のシステム開発はタスクの期限が重要視されますが、教育現場ではタスクそのものが曖昧で明確化されていないことも多くあります。だからこそ、卒論など期限が不明瞭で無計画に運用されがちなものを教員側でBacklogなどを用いて管理することで、学生にプロジェクト管理の重要性を体験してもらえます。

コミュニケーションについても同じです。以前は、世間的にもビジネスでチャットを使うのはあり得ない!という考え方でしたが、その考え方は変わってきています。こうした新しい習慣を学生に早期から身につけさせることで、新社会人になったときにも重宝されます。ツールに慣れてもらう過程で、コミュニケーションの根本にある報告・連絡・相談のような「ビジネスマナー」を改めて学生に指導もできます。

将来的な教育効果を見据えて、BacklogTypetalkのような新しいツールを学生に手ほどきすることが現代の教員として持つべき姿勢だと思います

教育の現場でのコラボレーションツール活用の期待を語る

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