国内クラウド・セキュリティ分野でトップシェアを誇るHENNGE株式会社では、ビジネス部門のDX推進にCacooを活用し、自社基準のセキュリティ対策としてNulab Passを導入しました。
同社では、DX推進を担う「IT部門」と業務推進を担う「ビジネス部門」の間で業務プロセスの共通認識がうまく形成できず、ITツールの設計・構築が進まないという悩みがありました。Cacooの図による「業務の可視化」に力を入れたことで、認識の齟齬を減らしITツールの業務活用に成功。業務プロセスの自動化によって部門間の風通しを良くし、DXの推進ができました。
Cacoo利用時の懸念点だった「アカウント管理」は、Nulab Pass導入で社内基準のセキュリティレベルに押し上げることで解決しました。現在は自社のHENNGE OneでCacooのログイン・認証を安全に管理しています。
HENNGE社のDXとヌーラボ製品導入の推進をした 水谷 博明氏に「Cacooを活用したDX推進の実体験」を伺いました。
導入目的 |
■ Cacoo ■ Nulab Pass |
課題 |
■ Cacoo ・従来利用の作図ツールでは、操作性の観点で業務プロセスの図示がしづらく、共同編集も十分にできなかった ■ Nulab Pass |
効果 |
■ Cacoo ・IT担当とビジネス担当の双方が使いこなせるCacooの簡易な操作性により、オンライン会議などでの補足資料としても活用 ■ Nulab Pass |
業界 |
情報通信(クラウドセキュリティ) |
CacooとNulab Passの利用目的 |
業務管理 / 業務の可視化 |
利用しているヌーラボサービス |
Cacoo、Nulab Pass |
目次
国内のクラウド・セキュリティ分野でトップシェアを誇る「HENNGE One」
ーヌーラボ製品を活用されているHENNGE Oneについて教えてください。
HENNGE Oneは、サービス提供開始から10年以上経ちました。弊社ではもともと、メールセキュリティに特化した製品をオンプレミスで提供しており、その草分けとしてクラウド化して誕生したのがHENNGE Oneでした。
市場のクラウドセキュリティニーズに幅広く対応できるよう、メールセキュリティに加えシングルサインオン(SSO)、二要素認証なども提供しはじめました。HENNGE Oneは日本国内のクラウドセキュリティ分野でトップシェアを誇るIDプロバイダーです。
サービス提供から10年以上、HENNGE社が取り組む「守りのDX」とは
ー水谷様はHENNGE Oneの立ち上げから携わっていますね。どのような業務をやられてきたのでしょうか。
HENNGE株式会社に入社して、2021年で11年目を迎えました。HENNGE Oneのサービスの立ち上げ時から、ビジネス部門であるセールス・マーケティング・カスタマーサクセス、各部門のDX推進に携わっております。
現在はビジネスサイドのDX推進を担当しています。HENNGE社では、3〜4年前からIT部門と共同して、マーケティングやセールスなどのビジネス部門の業務のDX推進に力を入れており、具体的にSalesforceやMarketoを導入してビジネス業務の仕組み化をしています。ヌーラボ社の製品は、ビジネス業務を効率化するための「守りのDX推進」のために活用しています。
DX推進を担う「IT部門」と業務推進を担う「ビジネス部門」のコンフリクトを解消したい
ー会社としてDXを推進する上でどのような障壁がありましたか?
HENNGE社のビジネス部門を構成する3つのセクションには、それぞれIT担当がいます。彼らは技術的な側面からSalesforceやMarketoなどのITツールの導入設計を担当しています。
IT担当は業務を推進する現場のビジネス担当と連携して、ビジネスプロセスを可視化・整理しながら、ツールの運用設計をする必要があります。両担当者のコミュニケーションは概ねうまくいっていましたが、細かいところで認識の齟齬が起きていたため、現場の実務とツールで管理されている業務管理が適切に紐づいていなかったのです。
一例をあげると、セールス部門でSalesforceを活用する上で、ツール管理者と現場の利用者の間で認識しているSalesforceの設計や運用にズレがあったり、問題意識についても異なっていました。
ビジネス部門におけるDX推進は、IT担当者と業務の推進者が同じ視座で業務フローを理解してツールに落とし込むことで達成できるものですが、この連携がなかなかうまくいっていませんでした。
ーその問題はどのように解決しましたか。
あらゆる業務プロセスを「図で可視化する」ことで解決しました。たとえば、マーケティングとセールスが連携する際の業務プロセスや、セールスアプローチからクロージングまでのプロセス、MarketoとSalesforceに業務プロセスを落とし込む際のフローなどすべてです。
一例をあげると、DX推進のためにITツールを導入する際には、以下の3つの目的で「業務フロー図」を作成しました。
- ツールを導入するときに、現状の業務フローがどのようなフローなのか
- ツールを導入することでどこがリカバリーされるか示唆するときに使う
- ツールを導入することを契機に今までのフローの改善ポイントのあぶり出し
図による可視化は、ヌーラボ社のCacooを利用して実現しました。Cacooで業務プロセス、MAやCRMなどのITツールの導入フローを図で描写して整理することで、実務担当者とツール管理者の間の溝が埋まりました。また、ビジネス部門だけでなくバックオフィスのツール導入や運用の可視化にもCacooが活用されしています。
取り組んだのは「業務の可視化」MarketoやSalesforceの導入・運用のプロセスをCacooの図でチームに共有する
ーCacooによる業務の可視化で部門間やメンバー間の連携はどのように変わりましたか?
Cacooを導入して、現場の実務とツールの管理が正確に紐付いた業務フローを設計・構築できました。その結果、部門間の風通しがよくなりコンフリクトも減少しました。
Cacoo導入前の一番の課題は「業務フローを関係者に展開しづらい」という点でした。以前は、業務の可視化にはMicrosoft社やGoogle社のオフィス系のソフトを利用していましたが、関係者に共有しづらかったり、共有できても同時編集の操作性がいまいちでした。
Cacooは、図の編集スペースが物理的なキャンバスのように広く、複数人が違和感なくリアルタイムに共同編集できます。オンライン会議時の補足資料として、たとえばツールの仕様を説明する際にCacooで図をラフに作成して、専任者が細かい内容をその場で編集しながら議論する、といった使い方ができています。
ーどのような図を作成しているのでしょうか。
データフロー図、業務フロー図、システム構成図など専門的な描画は、Cacooを利用しています。Cacooは専門的な知識が不要で操作しやすく、描画に費やす時間を削減できるので大変助かっています。
Cacooには「テンプレート機能」と呼ばれる、自分が作成した図をCacooに保存して再利用できる機能があります。このテンプレート機能を利用するようになってからは、業務フロー図やデータフロー図の描画に費やす時間は減りました。セールスなどのビジネスメンバーもすぐに操作に慣れることができる点も助かっています。
他にも、オフィス系 製品で専門的な図を作成する際に、アイコンが足りなかったり、編集スペースが狭かったりして細かい内容を描画できないという悩みも解消できました。
ITツール導入時の基準は「シングルサインオン(SSO)連携ができるか」CacooとNulab Passの導入で基準をクリア
ーHENNGE社はCacooをはじめとしてITツールを積極的に導入していますが、セキュリティ対策はどうしていますか?
HENNGE社の企業文化として「現場が使いたいツールを導入できる」という風土があります。言い換えると、良くも悪くも現場に裁量があり様々なITツールが導入されるため、それらを統制できる基準が必要でした。
ITツールを導入するときは、コンプライアンスの問題、入社・退社にともなうID管理、ツールの棚卸しまで考慮すべき点が多いです。なので、「IDプロバイダーとシングルサインオン連携できるツールを極力利用してアカウントを一元管理しよう」という方針に切り替えました。
現在は自社IDプロバイダーの「HENNGE One」でITツールのアカウントを認証・管理しており、自社のセキュリティ基準を満たした運用ができていると感じます。HENNGE Oneを通じて、外部のITツールにシングルサインオンでログインすることで、ツール導入の担当者と情報システム部門の双方がツールのアカウント認証やパスワード管理などを心配しなくて済みます。
ーHENNGE OneでCacooを管理したいというニーズからNulab Passを導入されたのですね。
はい。CacooはNulab Pass導入前から社内で利用しており、HENNGE Oneを経由してCacooにシングルサインオンのログイン認証ができる機能は待望していました。「Nulab Pass」はこれを実現できるので、「待っていた」という感じで導入しました。
Nulab PassはCacooの価格体系とちがい従量課金ですが、弊社で利用しているHENNGE OneでCacooのアカウントを管理できるだけでも値段相応の価値があったので、抵抗感なく導入できました。
日本発のIDプロバイダーとして、国内のSaaSエコノミーを活性化するために「セキュリティの啓蒙活動」に力を入れる
ー国内のクラウド・セキュリティ分野でトップシェアを誇るHENNGE Oneですが、今後どのようにサービスを展開する方針でしょうか。
未曾有の感染症発生によってテレワークを導入する企業が増え、SaaSの利用も増加しています。一方で、それらのSaaSのセキュリティを担保するための「シングルサインオンによるログイン認証」や「IDプロバイダーを用いたアカウント管理」への認知度はまだまだ低いと感じております。
良いクラウドサービスをより多くの人に安心して利用してもらい、国内のSaaSエコノミーを活性化させるためにも、大前提としてセキュリティ対策は必須事項だと考えています。HENNGE Oneとヌーラボ社の製品と公式連携したリリースを出しましたが、このように国産SaaSとの連携などを通じて、セキュリティに対する啓蒙活動に力を入れていきたいです。