Backlogを基盤に「EVM分析ツール」を開発。プロジェクト管理ツールの範囲を超えて、さまざまな改善に役立てる

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両備システムズ様 Backlog導入事例

Backlogの全社的な活用を推進している株式会社両備システムズ。同社では、日々の業務に関わるさまざまな情報が集まるBacklogを重要なデータベースと捉え、蓄積されたデータの利活用に取り組んでいます。そのプロジェクトの一つとして、Backlogのデータを活用した独自の「EVM分析ツール」を開発しました。同プロジェクト立ち上げの背景やツールの詳細、活用方法、効果などについてビジネス戦略本部 技術戦略室 先端技術研究グループ 板野氏にお話を伺います。

導入目的

・全社で活用が進むBacklogに蓄積されるデータを活用して、業務改善に活かす

課題

・データの利活用には、「日々の業務記録をBacklogに入力する」ことの定着、浸透が不可欠

効果

・BacklogのデータとBacklog APIを活用した「EVM分析ツール」を開発
・効率的なタスク管理だけではなく、「二度も三度もおいしい」働き方を実現

業界 IT・通信
職種 システム開発
利用しているヌーラボサービス Backlog
Backlogユーザー数 約2,700名

Backlogの全社導入から、「蓄積されたデータの利活用」への転換

―― 御社の事業概要と板野さんのご担当業務について教えてください。

弊社は両備グループのICT部門の中枢を担う企業として、行政・医療・社会保障・民需分野を柱に事業を展開しております。私の所属するビジネス戦略本部 技術戦略室 先端技術研究グループでは、各部門が新技術を採用する際のサポートや、最近では生成AIの活用と環境構築にも取り組んでいます。

私は、研究開発投資の推進やルール作成、ローコード開発ツールを含む新ツールの調査と導入支援、そして全社で導入しているBacklogの運用などを担当しています。

株式会社両備システムズ ビジネス戦略本部 技術戦略室 先端技術研究グループ リーダー 板野 友哉 氏株式会社両備システムズ
ビジネス戦略本部 技術戦略室 先端技術研究グループ リーダー
板野 友哉 氏

―― Backlogの導入・運用から「EVM分析ツール」開発プロジェクト立ち上げに至った背景を教えていただけますか?

2018年にBacklogを導入して以来、今では全社で日常的に利用される「欠かせない」システムになっています。この成功を受けて、2020年ごろからプロジェクト管理ツールだけでなく、Backlogを「日々のプロジェクト情報が蓄積されたデータベース」として捉え、そのデータを最大限に活用してさまざまな改善に役立てられないだろうか、と考えるようになったことがきっかけです。

―― Backlogに蓄積されたデータの利活用ですね。

プロジェクト進行中にさまざまなタスクが立ち上がり、議論や情報が蓄積されるBacklogは、極めて重要な場所になっています。今までもこれからもBacklogにはプロジェクトに関わるすべてのデータが集まってくる。そのデータをただ蓄積するだけではなく、抽出や分析、共有をしやすくすることで業務改善に活かせるのではないかと検討を進めました。

BacklogのデータとBacklog APIを活用した「EVM分析ツール」

― EVMツールの概要を教えてください。

EVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)ツールは、計画値(PV)、実績値(AC)、出来高(EV)を記録管理し、グラフ化することで、プロジェクトの進捗状況やコストを視覚的に把握できるものです。

Backlogのデータを活用できるようになれば、EVMを作るために必要な情報を各所から集めたり、複数のツールに工数を入力したりする作業が一切不要になります。「Backlogのデータを繰り返し活用する」、このコンセプトに基づき、EVM分析ツールの開発プロジェクトが立ち上げられました。

―― 「EVM分析ツール」の構成要素として、Backlogのデータをどのように活用されていますでしょうか。

今回開発したEVM分析ツールは、金額ではなく「時間」単位で計測するものです。計画値をBacklogに登録された課題の「予定時間」、実績値を「実績時間」、出来高を予定時間に対する「進捗率」をカスタム属性として設定しています。これらのデータをBacklog APIを利用して日次バッチで社内データベースに蓄積、BIツールで成形してEVMグラフを表示できるようにしています。

カスタム属性機能で入力項目をカスタマイズしたBacklog画面課題の「予定時間」「実績時間」に加えて、カスタム属性で「進捗率」属性を追加している

EVMツールの構成図EVMツールの構成図

ユーザー側では、複数のBacklogプロジェクトを統合して全体のEVMを見たり、参加しているプロジェクトごと、そして担当者ごとに進捗状況を見ることができるよう、EVMの表示範囲を調整可能にしています。また、日付を指定して表示範囲を絞ることも可能なので、個々の進捗状況や達成度などもひと目で把握できる形になっています。

今は日次バッチに切り替えて運用しているものの、環境が整備されればWebhookを使ってリアルタイムでデータベースにデータを取り組むことも可能です。

成功の鍵は “Backlogの社内定着”

―― 素晴らしいですね! EVMツールのメリットはどこにあるとお考えですか?

メリットは大きく二つあります。一つ目は、作業途中のタスクの進捗率を反映して、実コストを確認できるようになったこと。Backlog標準のバーンダウンチャートも使いやすいのですが、このEVMツールではタスク単位での進捗率を洗い出すことができるので、より細かい精度で進捗の可視化、コスト確認が行えるようになりました。プロジェクトの状況を総合的に把握できるようになったため、会議などで「進捗を簡潔に把握できる」と社内ユーザーからも支持を得ています。

二つ目は過去のデータを活用し、新しいプロジェクトの見積もりや期間、コストの予測を立てられることです。これまでに蓄積されてきた膨大なプロジェクトデータを参照し、「どのくらいのコストや期間がかかるのか」という予測が可能になります。新規や類似案件時の見積もり精度が向上しています。

なにより、普段から全社でBacklogを使ってタスク管理をしているため、特別な作業なしにツール側で自動的にEVMグラフを生成できますし、プロジェクトの見える化が簡単にできることがメリットですね。

両備システムズ 板野様のインタビューイメージ

――ツール構築・運用のポイントがあれば教えてください。

EVMに必要なデータがBacklogに集まることが大前提ですので、まず「日々の業務記録をBacklogに入力する」を定着、浸透させるのがポイントになります。どこの企業でも、作業工数の記録・管理は必要です。別の工数入力ツールを使うこともできますが、Backlogで課題のコメントなどの業務記録と併せて作業工数も入力すれば、工数入力の手間を省けます。

そもそも工数入力は毎日必ずやることですから、Backlogへのデータ入力を推進すれば、利用定着にもつながるだろうという考えもありました。

―― EVM分析ツール成功の鍵は “Backlogの社内定着” だったのですね。

そのとおりです。この「EVM分析ツール」は、Backlogに集まったデータを活用してプロジェクトの進捗状況やコストを視覚的に把握し、業務改善に貢献しています。Backlogが定着し、日々のデータの蓄積・活用ができる状態を目指したからこそ、プロジェクトが見える化し、定量評価が可能になったと実感しています。

Backlogのさらなる活用で、「二度も三度もおいしい」働き方を実現

―― 今後の展望をお聞かせください。

Backlogが定着している環境であれば、業務効率の向上、プロジェクト管理、さらにはEVM分析まで可能になる。活用次第で無限の可能性があることを実感しています。今後もBacklogを使って「二度も三度もおいしい」働き方を実現できるよう、取り組みを進めていきます。また、さまざまなメリットを享受できる点を社内に広めていきたいですね。

―― Backlogの活用領域が新たなステージへと広がる過程を伺い、大変感銘を受けました。この度は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

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