ヌーラボが良いサービスのために心がけていること 〜良いプロダクトを越えて 〜

良いプロダクトだけではダメなんですか!?

ヌーラボは法人向けいわゆるB2B向けのプロダクト(製品)を開発し、それをサービスとして提供している会社です。「良いプロダクト」の提供はソフトウェアビジネスにおいて最重要ですが、それだけでは不十分です。ソフトウェアビジネスの成功には「良いサービス」の提供が必要になります。

プロダクトとはなにか?

このエントリでは「プロダクト」とはソフトウェアそのものと定義します。通常はエンジニアがソフトウェアを作成し、それがWebブラウザやiOS、Androidなどのモバイル端末、組み込みのハードウェアの中で動作します。ソフトウェアの動作に必要な画像やCSSなどもプロダクトの範囲に含みます。

上記に加えてヌーラボでは、ビジネス向けのソフトウェアではありますが「仕事を楽しくなるコラボレーションツール」をコンセプトにプロダクトを開発し提供しています。

サービスとはなにか?

「サービス」とはプロダクトを中心として、顧客に対して提供する全ての価値・体験の総称です。例えば以下はサービスに該当します。

Venn diagramプロダクトとサービスの関係

顧客はプロダクトにお金を払うのではなく、提供されるサービスに対してお金を払っています。このことは混同されがちであり、混同した場合「良いプロダクトなのになぜか売れない」「良いプロダクトだけどなぜか顧客に支持されない」ことが起こりえます。ですので、「良いサービスとはなにか?」ということを追求し、提供していくことが大切になります。それでは良いサービスのための構成要素をいくつか見ていきましょう。

良いサービスのための構成要素

1. ユーザーサポート

ユーザーサポートもサービスの一部です。ユーザーサポートのチャネルとしては、お問い合わせフォーム、電話、Twitterなどがあります。ヌーラボではそのほかに、要望受付窓口(UserVoice)、FAQ(Zendesk)も提供しています。

ユーザーサポートでは、顧客のサービス利用に関わる様々な障害の除去がメインのお仕事になります。例えば、「ログインできません」「サービスの資料が欲しい」「サンプルプロジェクトをください」など様々な問い合わせがあります。問い合わせ対応が的確で素早ければ良いサービスといえるでしょう。この辺りは、リアルな店舗などと基本的に変わらない部分かと思います。

素早く対応するために工夫している点としては、Twitterや要望受付窓口(UserVoice)に寄せられた意見をTypetalkのトピックに自動ポストされるようにしています。チャットと連動させることで、内容に対して素早い議論と返信を心がけています。

uservoiceUserVoiceとTypetalk連携

その他、良いユーザーサポートを提供するべく様々なサポート改善を行っています。詳細はCacooで行ったカスタマサポート改善への取り組みの例もご参照ください。

2. マニュアルやチュートリアル

マニュアルやチュートリアルなどを用意し、顧客がサービスを利用する上で必要な情報やトレーニングを提供していくこともサービスの一部です。

一例として、BacklogではGit機能の提供と同時に「サルでも分かるGit入門」というGitに関する入門記事を用意し、顧客へのGit自体のマニュアルとチュートリアルを提供しています。

参考:サルでもわかるGit入門 for ePub または、Backlogチームはなぜ「博多弁をしゃべるサル」を登場させたのか?

3. 請求と決済

請求や決済はソフトウェアサービスの構成要素です。請求と決済を行わなければ、顧客は料金を払うことができませんし、料金を回収できなければソフトウェアビジネスを継続することはできません。そのためにも顧客の料金支払いをスムーズにする必要があります。

法人向けサービスであれば、顧客が請求書による請求を求める場合もあります。また、最近ではクレジットカードによる定期課金の決済も必要でしょう。

また、利用料金を徴収しないビジネス、例えばコンテンツ中心の広告モデルであっても、その部分を意識してサービス提供を行う必要があります。広告モデルの場合、コンテンツを見る人はユーザーであり、広告主が顧客です。広告主に対して、請求や決済を行う必要があります。

請求や決済の仕組みは、新機能などに比べるとテンションが上がらない方も多いかもしれませんが、ソフトウェアビジネスを継続するために重要なパートだと認識して、良い請求や決済機能を提供していく必要があります。

Backlogで全ての顧客に請求書を郵送した例

Backlogではサービス開始当初、請求書の郵送サービスは行っておらずメールのみで請求情報を送っていました。「問い合わせがあった顧客に対してのみ特別に対応する」というポリシーで行っていませんでした。しかし、その場合、顧客ごとに「送る・送らない」を意識する必要があり、また、特別に対応するためにメール等で個別にやり取りを繰り返す必要がありました。そこで、全ての銀行振込の請求書を送付するようにしました。多少、作業と郵送のコストはかかるようになりましたが、顧客に対しては請求書がきちんと届く安心感を提供でき、また個別のやりとりコストもなくなりました。なにより、支払い漏れが減り、確実に支払ってもらえるようになり業務効率も大幅に向上しました。

注:これはサービス開始当時(9年前)の話です。現在では、クレジットカード決済も普及しているので、そのまま当時の状況が当てはまらない部分もあるかもしれませんが、何らかの示唆を含んでいると思いますので、ここで紹介しました。

その他

インフラの保守運用、最新版のOSやブラウザや環境での動作保証のための開発、営業やマーケティング、イベントの開催など他にもたくさん「サービス」の範疇に含まれる内容はあります。今回は割愛しますが、これら全てが「サービス」を構成します。

ヌーラボが良いサービスのために心がけていること

上記のような基本的なサービスの構成要素のほかに、ヌーラボが考える「良いサービス」は会社のコンセプトである「コラボレーション」や「仕事を楽しく」を感じられるサービスです。一例を上げると、請求書をかわいくポップなものにしたり、下記のようにシステムの稼働状況を確認する「ステータスサイト」もポップなものにしたり、一見すると意味がないように思えるこだわりの部分も「サービスの一部」とみなして力を注いでいます。

 

nulab-status-siteヌーラボステータスサイト

良いプロダクトで終わらず、良いサービスを提供しよう!

「たくさんやらなければいけないことがあって、大変そうだ」「ソフトウェアだけ作っていたい」と思われた方もいるかもしれません。これらが全て最初の段階で必要なわけではありませんし、ソフトウェアの性質によっては不要な内容もあるかとは思います。

重要なのは、「良いプロダクト」と「良いサービス」の違いを意識して、より良いサービスや体験を顧客に提供し、持続可能なビジネスを構築することです。良いプロダクトを自分たちで作り、顧客にサービスとして提供し、対価を得るということは、楽しくエキサイティングなものです。本稿がその手助けになれば幸いです。

ヌーラボでは良いサービスを一緒に作っていく仲間を募集しています。

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