本記事はヌーラバーブログリレー2022 Advent Calendar 2022の17日目の記事です。
NulabAppsチームでSFA/MA連携を担当しているgillaxです(SFA/MA = Sales Force Automation/Marketing Automation)。
いわゆる”中年”の私がミッドライフ・クライシスを感じ、試行錯誤しながらどう乗り越えた(乗り越えようとしている)かについて体験談をもとに書こうと思います。ここで紹介するのはあくまで私の体験記です。気になる症状がある方はまずはカウンセリングを受けることをおすすめします。
目次
ミッドライフ・クライシスとは
ウィキペディアによると、ミッドライフ・クライシスとは、40歳〜60歳の中年層に起こりうるアイデンティティと自信の移り変わりのことで、加齢や達成感が感じられない出来事によってもたらされる心理的危機のことです。これにより、下記のような症状があらわれると言われています。
- 激しい抑うつ
- 自責の念
- 強い不安感
- 若々しさを取り戻したい
- 現在のライフスタイルを劇的に変えたい
- 過去の決定や出来事を変えたい
これらの危機は、何か新しいこと(習い事や趣味など)をはじめたり、自分自身を問い直しアイデンティティを再確立することで乗り越えることができると言われています。
私が感じた心理的危機
もともとエンジニアだった私ですが、Apps課の課長になったタイミングで、チームの中での役割もマネージャーにシフトしていきました。また、チームの開発環境もJavaからKotlin、React化、k8sによるmicroservices化と、私が把握していたころのコードベースから大きく変わりました。
そういった変化の中で、自らちょっとしたコード変更をしようとしても時間がかかったり、思うようなパフォーマンスを上げることができなくなっていました。
一方で、マネージャーの仕事についても、がんばったことに対する成果が見えづらく、こちらも停滞感を感じていました。
さらにコロナ禍でテレワークとなることでメンバーの反応がわかりづらくなってしまったこともあり、本当に自分はチームやプロダクトに貢献できているのだろうか?と不安や焦りを感じるようになっていました。
私が主に感じていた症状を下記に分類します。
- 停滞感(思うようなパフォーマンスが出せない、がんばっているけど成果があがらない、成果がみえない)
- 不安感(コードがうまくかけない、チームに貢献できているか?、同僚は活躍している)
- 抑うつ状態(仕事する気になれない、自分がいないほうがチームはうまくいくんじゃないか)
危機を乗り越えるためにやったこと
このままではダークサイドに飲み込まれてしまうと思い、自分なりに試行錯誤したことのうち、効果があったと思うものについて紹介します。
体を動かす
対処法としてよく書いてあるのが、ジムに通ったりスポーツをすることです。
私もストレスを発散することと、身体機能の向上を期待して、ジムに通ったりジョギングをはじめました。
フィットネストラッカーを使えば心拍数や運動量、体重などの関係をグラフで見やすく表示できます。この機能のおかげで、がんばった分だけ成果がでていることが実感でき達成感を味わえました。仕事で感じていた停滞感を解消できるという思わぬ効果がありました。
趣味や習い事
モヤモヤを忘れるくらい集中できる趣味や習い事をはじめることも良いとされています。私も、興味があったけどやっていなかったことをこのタイミングで始めました。こちらも成果がわかりやすく、達成感が味わえます。集中している間は不安感からも開放されました。
1on1で内省
体を動かしたり習いごとを始めることで、仕事以外の場所に達成感を求めていくことはできますが、仕事でモヤモヤしているままだと不安感や抑うつ状態はなくなりませんでした。
そこで、長年1on1を担当してくださっていたメンターに声をかけて内省を手伝ってもらいました。当時はミッドライフ・クライシスという概念も知らなかったため、抱えている不安やモヤモヤしていることなどを共有し、どうやったら解決できそうかなどを相談していました。
1on1で内省をして良かった点としては、会話をすることで頭の中が整理でき自分の考えをまとめることができた点と、自分ではわからない自分自身に対する評価が聞ける点がありました。当時はなにもかもネガティブに捉えがちだったので、客観的な意見を聞くことで、現在の自分の評価と今後どうしていきたいかについて冷静に考えることができたと思います。
課長をやめる
1on1や内省の結果、エンジニアとしてもっとチームやプロダクトに貢献できるように、スキルを伸ばしていきたいという目標にたどり着きました。そして、ブランクを少しでも早く埋めたいという思いから、マネージャーと課長をやめることにしました。ヌーラボには、課長や部長といった「役職」を、あくまで「役割」の一つだと考える文化があります。後任の芦川さんに相談したところ快く引き受けてくださり、とてもスムーズに移行することができました。
朝会前にブログを書く
不安感と停滞感を仕事で解消する方法として、毎朝非公開のテックブログを書くことにしました。チームの朝会が10時から始まるので、大体9:30-10:00の間で気になる事柄を調査してブログにまとめています。
もともとAppsチームでは、気になる技術や事柄を調査したり何かについてLTしたりするラーニングセッションという時間を週2回設けていました。これを、個人のスキルアップを目的としつつ達成感を味わえるように改変してみました。
狙いとしては下記です。
- 毎日コツコツやることで成果を積みあげることで達成感を味わう
- 決まった時間集中する
- 毎朝仕事前に頭を整理しスッキリさせる
- 朝から技術習得・調査というご褒美を自分にあげて気分をあげる
- 理解が曖昧だったものをちゃんと理解してスキルアップする
毎日やるとなると心理的プレッシャーになることが予想されたので、ハードルを下げるために、ブログは非公開でOK、1日で書き上げられなくてもOK、技術じゃなくてもOKと甘々な設定にしました。それよりも、決まった時間集中すること、続けることを優先させました。
これによって、不安に感じていたエンジニアとしてのスキル不足を少しずつ補いつつ、アウトプットを積み上げることで達成感を味わえる様になってきました。
(番外編)Typetalkのいいねバッジを常につけておく
ミッドライフ・クライシスに陥っていると、他者からの反応に敏感になってしまう時期があります。SNSであれば見ないという選択肢がありますが、仕事で使うツールにおいては見ないわけにはいきません。そこで、仕事に支障がでないようにしつつ心の平穏を保てるようにひと工夫しました。
Typetalkの左側のバーに表示されているハートマークのアイコンには、自分がチャットで発言した内容に他者が「いいね」をすることで緑色のバッジが点灯します。(いいね・いいねビューについて)
バッジが点灯していると嬉しくなりますが、心理的ストレスを抱えている場合は「いいね」がないというネガティブなことにとらわれて更に落ち込んでしまうことがあります。
そこで、私はこのバッジが点灯したら「誰がいいねしてくれたんだろう? 😃」という気持ちをグッとこらえてハートマークをクリックせずにこの状態をキープし続けるようにしました。これにより、常にバッジは点灯し続けるため「いいね」に一喜一憂せずに心の平穏を保つことができました。
もし誤ってバッジが消えてしまった場合には、Typetalk APIを使ってbotに自分の発言をいいねするという方法や、CSSを上書きするChrome拡張機能を使って無理やりいいねバッジを点灯させる方法があります。ただしこれらはかえって自分がツラくなりそうなのでやっていません…
さいごに
今回は、私の体験をもとに感じた症状と試行錯誤した対処法について紹介しました。
中年期になると、個々人が置かれている立場や環境、身体的・精神的な変化が引き金になって葛藤することがあります。これをネガティブに捉えるのではなく、自分自身を再評価し、成長するための目標を再設定する良い機会だと捉えることで、新しい一歩を踏み出せるのではないかと思います。
今回の内容が少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。