※ このブログはヌーラバーブログリレー2021 22日目の記事です。明日は江口さんの記事です。
こんにちは、ヌーラボ 広報担当のメギーです。突然ですが、ヌーラボには「広報部」のようなものは存在していません。代表取締役の橋本と直接会話しながら、社内・社外とのコミュニケーションに関する施策を企画し、人事担当など社内の他のメンバーと協働してさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
今日は、2021年12月に配布した「Nulab Teambook 2021」について、課題意識やねらいについてご紹介します。テレワークでコラボレーションワークを進めるチームの、コミュニケーション施策検討の参考にしていただけると嬉しいです。
目次
ヌーラボという会社のチーム構造について
ヌーラボは、福岡本社のほか日本国内に2拠点(東京/京都)、海外に3つの子会社(ニューヨーク/シンガポール/アムステルダム)を持つ会社です。もちろん、日本国内のヌーラボでも、多くの海外出身メンバーが活躍しています。さらに、プロジェクト管理ツール「Backlog(バックログ)」をはじめ、提供する4つのサービスも、日本国内だけでなく全世界で利用されています。
国が異なれば時差が生じ、言語や文化の違いも存在します。そもそも同じ国出身であっても、年齢や性別、思考、習慣、何を好み、何を嫌うかに至るまで、私たちには人の数だけ違いがありますね。
そういうわけで、「ヌーラボの従業員(以下、ヌーラバー)も、提供するサービスのユーザーも、実に多様性に富んでいる」というのが、ヌーラボというチームを説明するひとつの要素となります。
2019年までおこなっていた「General Meeting」
ヌーラボの「General Meeting」という社員総会イベントをご存知ですか。これまで何度かメディアに取り上げていただいたり、表彰いただいたり、SNSでヌーラバーが盛り上がっていたりしたので、「ああ、あれね!」と思ってくださる方もいるかもしれませんね。
世界中に散らばるヌーラバーが全員福岡本社に集結し、年に一度、約一週間をかけて交流を深めるGeneral Meetingは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が世界的に流行する前である2019年までおこなっていたお祭りのような社内イベントでした。
ヌーラボがグローバルなチームであることや、ヌーラボが価値を届けたい相手が世界中にいること、戦う場所はグローバル市場であることをヌーラバーが強く再実感することや、ヌーラバー同士が強烈でポジティブな思い出を共有し、さらに仲良くなることを目的としておこなっていた施策です。
正直なところ、言語が違おうが時差があろうが、ヌーラボが提供しているサービスなどを使うことで(ここ重要!)業務は滞りなく進めることができます。ヌーラボはコロナが流行するずっと前から、私たちがオンラインで業務コラボレーションを十分に実現できることを知っていました。
それでも直接会うことにこだわってGeneral Meetingを開催していたのは、チームが仲良くなるためのはじめの一歩である「お互いを知る」「強烈でポジティブな思い出を共有する」ために、みんながいっぺんに直接会うことが最も効率が良いと考えていたためです。
General Meetingの効果は、ヌーラボに向けておこなったアンケートの結果からも分かります。アンケートで「自身が所属するチームメンバー以外との会話量の変化」について尋ねると、平均39.6%増加したと感じていました。また、コミュニケーションの質の変化について当てはまるものを選ぶ質問では、79.2%の社員が「性格や特性が分かり親しみが持てた」、71.8%の社員が「仕事の依頼や相談がしやすくなった」と回答しました。
その実感は筆者(広報担当メギー)もよく分かります。
General Meeting期間中、ちょっとコーヒーを飲みにカフェスペースに行ったら、所属チームも出身国も話す言語も、年齢も性別も全然違うヌーラバーがいました。私は人見知りなのでちょっと緊張してしまいます。ところが、「お疲れさまです」のあいさつから始まり、相手が所持していたペンが私のお気に入りのキャラクターだったことから、話が弾み笑い合ったのです。その、たった5分の記憶。
その5分があるから、別の機会で仕事上の関わりが必要になった際、「あっ、あの時話した○○さんだ。テキストだとちょっと冷たく感じるけれど、実はよく笑う、話しやすい人なんだよなあ」などと勝手に脳内で情報を補完してくれます。それは、オンラインで業務を進めているだけでは決して生まれなかった親しみです。
ところが、コロナがやってきました。当然、国を超えてヌーラバーが集結するGeneral Meetingは開催できません。General Meetingで叶えられていた「お互いを知る」+「ポジティブな思い出作り」は、時差や言葉の壁を乗り越えて、テレワークでも実現できる?これが「Nulab Teambook 2021」プロジェクトに繋がる、最初の問いでした。
最終的に出来上がったもの:Nulab Teambook 2021
いわば「General Meetingの代わりになり得るもの」としてのミッションを背負い、最終的に生まれたのが、「Nulab Teambook 2021」です。
Nulab Teambook 2021は、2021年8月末時点、日本国内+国外のすべてのチームの情報についてまとめた冊子です。グローバルで50程度のチーム / 130名ほどのヌーラバーについて網羅的に載っていて、チームの情報は「チームが取り組んでいること、チームの写真、メンバーの写真、メンバーからの一言」から構成されています。情報はすべて英語メイン・日本語併記です。
Nulab Teambook 2021制作プロジェクトの期間は約7ヶ月。待ちに待った12月9日、プロジェクトメンバーは、福岡本社から東京・京都・ニューヨーク・シンガポール・アムステルダムに配送しました。
ここからは、Nulab Teambook 2021がどういう思いで作られたかを少しご紹介します。
【その1:内容】Love Differencesは「知る」から始まる
ところで、ヌーラボが2021年7月に公開した「ダイバーシティとインクルージョンのポリシー」には、「わかりあうためには、まず知ることが大切です。知らないことは想像できず、配慮につながりません。」、また「ダイバーシティはヌーラボの考え方のベースとなっています。」という表現があります。
さらに、ヌーラボの行動規範「Nuice Ways」のひとつ「Love Differences」は、相互に受け入れ合うことを唱えたものです。そしてそれは、知ることから始まると考えています。
ヌーラボがヌーラボであるために、もっとも基礎となっている部分が「多様性」「Love Differences」「ダイバーシティとインクルージョン」であるということをご理解いただけるなら、「お互いを知る」「強烈でポジティブな思い出を共有する」ことを目的として開催していたGeneral Meetingがどれだけヌーラボにとって大切な存在だったか、たやすく想像できるでしょう。
だから、「お互いを知る」+「ポジティブな思い出作り」をテーマとして新たな取り組みをするなら、「チームと個人を知ることができる取り組みであること」は当然、必須条件でした。さらに、「誰もが『自分はヌーラボの一員なんだ』と実感できるものにしたい」とも考えました。
【その2:媒体】テレワークでもアナログな思い出を作れる方法はないか
General Meetingや、このあとご紹介するTeambookの話をすると「なぜわざわざアナログ(オフライン)な方法を取るのか?オンラインではだめなのか?」と聞かれることがあります。
創業以来、ずっとテクノロジーを生業としてきたヌーラボは、当然ですが業務のほとんどはオンラインで完結するフローになっています。ヌーラバーが等しく情報にアクセスできることも重要視し、オープン性やテキストで残す大切さを理解しているつもりです。
一方、「今、ここ」でこそ生まれるものもあると感じています。先ほど例示した、カフェスペースでの偶然の雑談のように、「話そう!」と思わなくても生まれる繋がりなどは、やはりオフラインの方が強い部分でしょう。同じように、「見よう!」と思ってURLやPDFファイルを開かなくても目に入るものを作れないか。デジタルではなく、アナログなもの。
そこで思いついたのが、デジタルではない、手にとってページをめくることのできる冊子の制作でした。仕事中、ふと目に入って手に取り、ページをめくるとメンバーの横顔を知ることができるようなもの。
【その3:デザイン】「Coffee-table booksのようなものを」
ヌーラボは素敵なクリエイティブが大好きな集団です。美しいデザインは人を惹きつけ、魅了します。Nulab Teambook 2021が美しいデザインで仕上げられたら、きっとヌーラバーはわくわくして、ページをめくりたくなると確信しました。
そこで置いたコンセプトは「Coffee-table booksのようなもの」。コーヒーテーブルにインテリアとして置きたくなる、なんだかおしゃれでテンションが上がる、それがあると嬉しくなっちゃう。そんなものを作ることにしました。
この「Coffee-table books」という言葉を教えてくれたのは、このあと出てくるカナダ出身の同僚:Jean-Pierre Villeneuveです。
【その4:進行】じわじわ関係者・応援者が増えていく
まずは、いろいろな企画の相談に乗ってくれている、カナダ出身の同僚:Jean-Pierre Villeneuve(以下、JP)に声をかけ、アイデアを話してみました。JPは「いいね!」と賛同し、プロジェクトメンバーとして参画してくれることに。関係者が1人から2人へ。
JPは、日本語を第一言語としないヌーラバーとの英語でのコミュニケーションを担当してくれたり、「日本では普通かもしれないけれどカナダではそうでないもの」などを含め、プロジェクトの世界観(と言うと大袈裟ですが)の調整などにも一役買ってくれました。
その後、内容のイメージを固めて、人事のアンヂェラに相談しました。ここで、プロジェクトの大筋が人事担当の施策とズレていないことを確認し、関係者が2人から3人へ。
次におこなったのは、プロジェクトのキックオフミーティングです。プロジェクトの目的やスケジュール、ステークホルダーやトレードオフスライダーなど、プロジェクトの概要をまとめたドキュメントである「インセプションデッキ」を作ってから、ちょっと気が引けたものの、思い切って部長・課長陣の全員、キックオフミーティングに招待させていただきました。Nulab Teambook 2021の制作プロジェクトでは、ヌーラバーひとり残らず全員に「ひとことコメント」「写真」などの情報提出をお願いするタスクが発生するため、私の代わりとなってプロジェクトについて話してくれるヌーラバーが、誰の近くにもいなくてはいけないと考えたためです。
キックオフミーティングでは、前述したとおり「General Meetingの代わり…というほどの役割は担えないかもしれないが、こんなことをやりたい」と説明しました。参加した部長・課長陣のヌーラバーは、みんな「いいね!ただ、ここの進め方はこうするといいかも?」といったポジティブな反応をくれました。イエスアンドの精神。まずは応援する姿勢。ヌーラバーらしいと感じますし、ありがたいですね。頂いた実りあるフィードバックをもとに、インセプションデッキの内容を少しずつ調整していきました。このタイミングで、関係者・応援者が一気に増えました。
「私はこういう部分を手伝います!」「メンバーに積極的に呼びかけますよ!」といった、プロジェクトに当事者意識を持ち、自ら動いてくださる方。なにか具体的な動きをするわけではなくとも、「なにかあったら言ってくださいね」とプロジェクトに応援のまなざしを持ってくださる方。
プロジェクトの始まりは1人でも、関係者・応援者は増やせる!ということを実感しました。応援したいと思ってくれる人が増えるほど、プロジェクトはうまくいくものですよね。これは、社内施策か社外施策か、あるいは、そもそも仕事かそうでないかにさえ関係のないことかもしれません。
そういうわけで、多くの応援者を得ることができ、私やJPの説明が足りない部分は各部課長の皆さんがフォローして説明してくださったり盛り上げてくださったりしながら、Nulab Teambook 2021の核である「全チーム・全ヌーラバーの情報収集」というタスクが進行していきました。
結果的に、参加しないヌーラバーはグローバル全体で1人もおらず、グローバル全体の「チーム・ヌーラボ」全メンバー(2021年8月時点)の情報が揃った冊子「Nulab Teambook 2021」が出来上がりました。
もしかしたら、本当はあまり参加したくないけれど参加した…という方もいたかもしれません。もし無理させてしまった方がいたら、すみません。だけど、1人も欠けなかったことがやはり、嬉しく思えました。改めてヌーラバーのみなさん、お付き合いくださってありがとうございました。
そして翻訳作業〜デザイン作業〜製本。
情報収集が完了したら、JPと私は「Translation summit」とか「Translation festival」とかいうスケジュールを何日かに分けて入れ、チームごとの紹介文やヌーラバー全員の「一言」を翻訳する作業に移りました。結局、すべて翻訳完了するのに要した時間は、5時間!たった一言の裏にある、ネイティブスピーカーなら分かる微妙なニュアンスを相互に伝えながら、ぴったりの英語/日本語に訳していきました。
そしてデザイン作業、印刷・製本作業。理想通りの美しい冊子が生まれました。文章としてまとめて書いてしまうと、シャッと翻訳してデザインしてあっという間に本になった!という感じがしますが、JPと私は何度もミーティングを重ね、細かいところにこだわり、いろんな調整を経て(説明がざっくり!)、出来上がったのでした。ふう!
ヌーラバーから頂いた、たくさんの嬉しい声!
ヌーラボは2021年12月現在、完全テレワークで仕事を進めています。そのため、Nulab Teambook 2021をすでに受け取ったヌーラバーもいれば、まだ受け取っていないヌーラバーもいます。
しかし、受け取ったメンバーからの感謝の声や、「ずっと眺めていたい」「テレワークなのに距離が縮まった気がする」といった感想が届き始め、早くも嬉しくなっています。
次にTeambookを制作するときはこうしたいな、という改善ポイントも当然たくさんあるものの、7ヶ月に及ぶプロジェクトがいったん一区切りついたので、毎日のように届く嬉しい声にニヤニヤしながら、今しばらくは達成感に浸りたい気持ちもあります。
でも、一方で、今このブログを書きながらNulab Teambook 2021を眺め、改めて「General Meetingの代わりなんて無理だよなあ」と思うなどしています。むしろ、会いたい気持ちが増すばかりです。コロナが落ち着き、また世界中のヌーラバーが一堂に会すことができる日を楽しみに待っておこうと思います。「会ったらパイレーツオブカリビアンについて語ろう」とか、そんなことを考えながら…。
「このチームで一緒に仕事できてよかった」を生み出せますように
まとめです。このブログでは、ヌーラボのチーム作りにおいてもっとも重要な「お互いを知る」+「ポジティブな思い出作り」というテーマを、時差や言葉の壁を乗り越えて、テレワークでも実現するために取り組んだ「Nulab Teambook 2021」プロジェクトについて紹介しました。
配布はこれから本格化…というタイミングなので、実際にどんな好影響が生まれるのか(あるいは生まれないのか)はこれから注意深く観察したいと思います。
社内向けの紙媒体をグローバル全体に配布することは、ヌーラボが創業以来初めておこなったチャレンジでした。Nulab Teambook 2021という同じ物体を世界中のヌーラバーが持っていて、ふと目を通して違うチームのことを知ったり、他のヌーラバーとの共通点や意外な面などの発見をしたりする姿を想像すると、やはりワクワクしてしまいます。その気づきやポジティブな気持ちが、ヌーラバー同士の業務コラボレーションにも良い形で影響すると信じています。
Nulab Teambook 2021が、世界中のヌーラバーの「このチームで一緒に仕事できてよかった」を生み出すことできるよう祈るばかりです。
おまけ:10年後、Nulab Teambook 2021を懐かしく眺める日
さらに、私はロマンチストと言えば聞こえはいいですが、いつも将来のことを妄想する癖があるので、どうしても10年後とか20年後に想いを馳せずにはいられないのです。2021年8月時点のヌーラボを構成していた面々が、世界中いろんな場所で暮らしていて、ふとNulab Teambook 2021を手に取って懐かしく眺める日を。きっともうヌーラボを辞めている方もいるでしょう。でも、昔の仲間に会うために、わざわざPCを開いて写真のファイルを検索しなくてもよいのです!少し厚みのある紫色の表紙を開くだけで、「ああ、あのとき私はこのチームで、このメンバーと一緒に働いていたんだよなあ」と振り返ることができるのです。
最後は、非常にエモーショナルなことを書いてしまいました。反省。まあでも、プロジェクトマネージャー自身が熱狂していないプロジェクトなんてダメだ!と思うので、これはこれでいい…としておきましょう。
お読みいただきありがとうございました。それでは、良いお年を!