ヌーラボ サービス開発部の藤田です。リゾートワーク2022@佐渡島の様子をお伝えします。
目次
佐渡島について
佐渡島は全域が新潟県佐渡市で、人口は5万人弱です。有名な佐渡金山は1989年(平成元年)まで操業していました。第二次大戦以降は人口減少傾向で、現在は観光業が産業の中心となっています。移住のサポートに力を入れていて、年間100〜200人くらいが島外から移住しているようです。
面積856平方kmは日本の離島で最大です。東京23区を合わせた面積の1.2倍くらいで福岡市の2倍以上ですが4分の3は結構高い山で、市街地は真ん中の「くびれ」の部分の国中平野にあります。
佐渡総合高校での授業
今回お邪魔した新潟県立佐渡総合高校は1学年100人くらいの学校です。もとは農業高校だったので、校内に農業機械の展示があったりして歩いていて面白かったです。
出張授業はこの学校の3年生のうち約20人の生徒さんたちが対象でした。皆さんの将来の社会生活にコンピューターやIT企業が必ず関わってくること、それに対してどう振る舞えばいいか、といった内容で2コマ100分間やらせていただきました。
授業時間の3分の2ぐらいは、グループに分かれて「最近関わったコンピューターシステム」を挙げてもらったり、「もしコンピューターが無かったら」や「もしここがコンピューターになったらいいのに」を考えてもらったりしました。
後ろの30分ほどでは、今から30年後、みなさんが生産年齢人口の真ん中あたりになる頃には社会のあちこちが深刻な人手不足になっており、かつ先程「ここがコンピューターになったらいいのに」と想像したことのほとんどは実現しているだろうと伝えました。
そして自分が働く場所でその変化が起こる時、システムコンサルタントやプログラマーといった人達と一緒に問題に取り組むか自分がプログラミングを勉強するかの2つの方法があることや、その際のちょっとした注意点などを伝えました。
今後皆さんがどこかでコンピューターと仲良くしなければならなくなったときに、ちょっと思い出してもらえたらいいなと思います。
佐渡観光
「リゾート」より「観光」という言葉のほうが佐渡の雰囲気には合っていると思います。午前中に佐渡総合高校での授業を終えた後は地元の回転寿司屋さんで美味しい寿司をいただき・・・
佐渡金山に向かいました。
佐渡金山は江戸時代の初頭に発見され2年後には徳川幕府の天領となり、島内で採掘から小判の製造までを行う非常に重要な場所でした。
江戸中期以降は採掘量が減っていったん衰退し、明治期にヨーロッパの技術を導入すると採掘量が増え、第二次大戦の頃に二度目のピークに達しました。
そのような歴史により、佐渡金山は江戸期と明治期の2種類の坑道の実物を見学できる珍しい観光施設となっています。
金山の歴史を学んでから山を下り、金山のお膝元として栄えた相川地区をめぐりました。
過酷な労働を強いられた江戸時代の無宿人たちが固まって住んでいた跡、「山師」という言葉の元々の意味である鉱山を発見経営した人の屋敷跡地、昭和期まで使われていた近代の施設など、歴史の痕跡をいたるところで見ることができました。
佐渡金山は世界遺産に推薦されることが決まったそうですが、どうなるにせよこういった古い痕跡がいつまでもそのまま残り続けることはないので、残っている今のうちに見られるのはラッキーなんだと思います。
リゾートワークから何を学ぶか
リゾートワークは福利厚生ではなく、教育研修制度ですので、参加者が何らかの学びを得ることを目的としています。
僕は学生時代に6年間高校生向け塾講師のアルバイトをやっていて、カンファレンス等での発表経験も何度もあり、2018年に宮古島、2019年に北海道東川町と2回リゾートワークに行かせてもらったので、3回目のリゾートワークに参加することで「子供に教える」とか「人前で話す」などわかりやすく新しい経験が得られるわけではありません。
そのため、リゾートワーク応募フォームの「学びたいこと」には具体的な内容を書けなかったのですが、自分なりに「年をとってからも得られる学び」について考えていることがあるので、ここで説明してみたいと思います。あと、応募フォームがそんなんでも行かせてくれた会社には感謝しています。
若い時の成長=スキルの獲得
我々は学校や社会で様々な知識や経験を獲得してきています。しかし、現実に仕事をしていて対面する問題はほとんど解いたことがなく、持っている知識や経験がそのまま使えるケースはごく僅かです。
それでもどうにかなるのは、手持ちの知識や経験を複数組み合わせて初めてのことに対応しているからです。
つまり「できること」の数は、知識や経験の組み合わせの数だと言えます。
自分だけで足りない場合はチームメンバーの知識や経験も組み合わせればいいですが、一人で「できること」が多い人は、すなわちスキルの高い人として重宝されます。
若い時は新しい知識を勉強したり、新しい経験を積むことにより、対外的にわかりやすく「スキル」として示せるような「できること」がどんどん増えていきます。
年をとってからの成長=年の功
年齢が上がってくると、「これは前にも経験した」とか「必要そうなことはだいたい勉強し終わった」とか、あるいは「勉強するの面倒くさい」とかで、新しい知識や経験を得る機会が減り、「できること」があまり増えなくなります。
しかし、自覚的に学んだ知識や経験の他にも、それまでの人生で蓄積されてきた「学んだつもりはないけどいつの間にか知ってた知識」や「なにかのついでで得たちょっとした経験」がひょっこり繋がって、問題解決が少しだけうまくいくケースがでてきます。
外から見てわかりやすいスキルではないですし、経験が役立ったことに自分でも気づかないくらい小さな差かもしれません。しかし「年の功」というやつの正体はこういうことではないかと僕は考えています。
年の功を増やす(?)ための戦略
年の功の正体が上で書いたようなちょっとした経験の蓄積による偶然の効果だとすると、若いときのように「○○ができるようになりたいから○○の勉強しよう」と狙って獲得するのは難しそうです。
少しでもマシな年寄りになるために他にいい方法を思いつかないので、個人的な戦略としては興味がわいた事は手当たりしだいやってみることにしています(プログラマーなのに全探索)。せいぜい工夫といえば、選択肢がある場合はできるだけ行ったことのない場所、やったことのない事を選択するくらいでしょうか。
そんなわけで、今回のリゾートワークでは宮古島・東川・佐渡のうち行ったことのない佐渡を選びました。高校生に教える経験自体はすでにありますが、そのための準備や授業での体験、初めての場所での観光から得られる何かわからない小さな経験がメインの目的でした。
また、無心と謙虚さが大切なのは若くても年を取っても変わりません。斜に構えて見下してかかるのと、正面から真面目にやるのとでは同じ活動から得られる経験の量がだいぶ変わると思います。
またいきたい
機会があればまたどこかに行って知らないことを知り、立派な年寄りになるためにウロウロしたいと思います。ありがとうございました。