多様な違いを尊重する東川町 − そうは言っても、北海道のジンギスカンはおいしい #ヌーラボのリゾートワーク

ヌーラボで広報担当をしている五十川(いそがわ)と申します。メギーと呼ばれています。入社6年目、リゾートワーク制度開始5年目にして、ようやくリゾートワーク制度の利用が叶い、2022年9月初旬に5日間、北海道・東川町に滞在しました。気づきや学びをシェアさせていただきます。

東川町に滞在して感じたこと:まとめ

  • 多様性 ─ 「違い」はどこにでもある。
    • 福岡と東川、人間と動物。都市で生きる人と自然と生きる人。見渡せば違いばかり。みんなちがって みんないい。
    • そうは言っても、北海道のジンギスカンはおいしい。
  • 旭山動物園に行ったことで、地球上に住む動物の一員として、人間と人間以外がなるべく共生できる方法を考えていきたいと思った。
    • …ものの、北海道のジンギスカンは格別においしかった。
    • 旅行記だけ見たい方はこちらから飛んでください。でもリゾートワーク制度のレポートも読んでくださったら幸甚です。
  • コラボレーションで仕事はもっと楽しくなるし、人生はもっと豊かになる。
    • ひとりで考えるより、誰かとアイデアを交わすことで新しい答えが生まれる。
    • 東川町は、町全体が多様な文化のコラボレーションで出来ている。

 

リゾートワーク制度とは

ヌーラボの「リゾートワーク制度」は、ヌーラボが従業員に対して2018年度より独自に提供している研修制度で、従業員が北海道や宮古島などのリゾート地からテレワークに従事することを支援しています。ヌーラボは、従業員および帯同する家族に対して一定金額の補助を支給します。従業員は滞在期間中、一日は現地の小中学校・日本語学校などで講師として授業をすることで、スキルアップや自己内省を図ります。

ヌーラボは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて打撃を受けたリゾート地の経済に、本制度の実施を通して貢献するなど、運営主体の企業(ヌーラボ)・リゾート地・従業員・帯同する家族に対する「四方良し」を実現しています。それぞれがもたらす好影響については下図をご参照ください。

ヌーラボの「リゾートワーク制度」がもたらす影響

私の講師体験:東川町「しごとコンビニ」でのセミナーは『Cacooを使ってSNSで注目される画像を作ってみよう!』がテーマ

私が授業を担当したのは、北海道・東川町にある「一般社団法人東川町しごとコンビニ」様が提供する、パートナー企業と連携して東川町民向けに行うセミナーです。「”しごと”を通じて、多様な人が望む生き方を実現する」を理念に事業を運営する東川町の「しごとコンビニ」は、東川町の事業所が人手不足に悩むことなく経営を行えるよう、そして町民はご本人やそのご家族が望むおしごとを提供し活躍できるよう、企業と町民の仕事に関するマッチングを行っています。その「しごとコンビニ」で、東川町とパートナー協定を結んだ企業の従業員がセミナーを行う取り組みに、私も講師として参加させていただきました。

私のセミナーテーマは『Cacoo(カクー)*を使ってSNSで注目される画像を作ってみよう!』。広報担当者として、プレスリリースやブログ、公式SNSアカウントで、情報を届けたい方に届けるための工夫として日々行っているアイキャッチ画像の制作について、なぜ重要か?消費者行動モデル「SIPS理論」とは?などをお話ししました。

* Cacoo:ヌーラボが提供するオンライン作図ツール。https://cacoo.com

受講いただいた東川町民の方々は、年齢や性別、お仕事もさまざま。SNSそのものや「アイキャッチ画像」、ITツールに関する知識やご経験、それらとの普段のお仕事での接点も、人によりまちまちという状況でした。セミナー準備の段階で事前にその旨伺っていたものの、想定以上にバックグラウンドが多彩だったことに驚きました。

 

セミナーの事前準備と全体の授業設計

前述の通り、ご参加いただく方の属性がさまざまと伺ったうえで始めた準備。パソコンやITツール、SNSそのものに詳しい方もそうでない方も、一定の達成感と学びを持ち帰っていただきたかったため、セミナー自体のゴールを3段階に設定することにしました。とにかくセミナーを聴いていただけたら理解ができる「STEP1」から、オンライン作図ツールを使った画像制作という実践的な「STEP3」まで、ご自身の知識や意欲に合わせてゴールに辿り着いていただくことを目指しました。

また、『Cacooを使ってSNSで注目される画像を作ってみよう!』というタイトルのセミナーではありましたが、普段SNSやインターネット上での情報発信のお仕事をされていない方でも持ち帰ることができる要素を用意したいと考えました。

そこで、今回のテーマであるアイキャッチ画像はもちろん、ブログ原稿やメール、社内報、対面コミュニケーションにおいても重要な「相手の共感ポイントを想像する」という工程について説明するとともに、個人ワークを行う時間を設けました。

誰かを喜ばせたり「大事に想っているよ」と伝えたりするためのおもてなし料理を作るときには、相手の好き嫌いや食べる状況、予算などを考えてからレシピや演出を決めるはず。でも、誰かを喜ばせたり何かを伝えるための「コンテンツ制作」、たとえばブログ原稿を書くときに、突然文章を書き始めてしまうというケースは少なくありません。

いくらハンバーガーが大好きでも、一世一代の気合いで臨むプロポーズは、ふたりにとって思い出深いレストランや、何度でも思い出したくなる素敵なロケーションを選びたいし、寝坊して急いで家を出るときは、フレンチのフルコースではなく食パンをくわえたいもの。長蛇の列ができる手打ち蕎麦屋も、蕎麦アレルギーの人にとっては行きたい場所ではありませんね。実は、おもてなし料理は相手を思う気持ちがあって初めて成り立つ、状況によってその価値が変わるものなのです。

同じように、文章や画像などのコンテンツも、受け手の興味(好み)や状況によって、その価値が変わります。誰に何を伝えたいのか、その人は何に共感してくれるのか、その人はどんな状況でコンテンツに触れるだろうか…そういった徹底的な想像が、コミュニケーションをより伝わるものにしてくれます。

社内向けにもたびたび伝えている内容ですが、東川町「しごとコンビニ」のセミナーでもこの点を改めてお伝えしました。(セミナ​​ー後のアンケートでは、この部分が印象に残ったという方が多く、伝えたいことが伝わったんだなと嬉しくなりました。)

セミナーでは、この「相手の共感ポイントを想像する」という工程を実際に体験してもらうため、参加者ご自身がブログやSNS投稿を通して伝えたいこと、その読み手、その人の興味/関心などを想像してみるというワークを行いました。その後、「では、その人に向け、伝えたいことが伝わるような要素ってなんだろう?」という問いで、素材の選定やキャッチコピーの制作に移ります。このワークではとても大事なことに気づいたため、ご紹介します。

 

ワークを通して気づいたこと:大事なのはやはり「コラボレーション」

10分間ほどの短いワークでしたが、見回りながら参加者のみなさんと会話すると、2つのポイントに気がつきました。

  1. 「情報を伝えたい相手」として想像するペルソナがシャープであればあるほど、素材やキャッチコピーを選びやすくなること
  2. そもそも「情報を伝えたい相手」を正しく想定できているか、ひとりで考えるより他者とコラボレーションするとより良いアイデアが浮かびやすいこと

1. については、「相手の共感ポイントを想像する」ことが重要と伝えている以上当然といえば当然なのですが、やはり伝えたい「誰か」の解像度が高ければ高いほど、その人に向けた適切なアプローチが浮かびやすいものです。ご参加いただいた方のワークの様子を見ても、「誰向けに情報を出したいのか?」というイメージが強く持てている方ほど進捗が早く、具体的なワードが散りばめられていました。

出したい情報が先にある場合であっても、「この情報を喜んでくれるのは誰だろうか」と考えること、伝えたい相手が想定できる場合には「あの人に喜んでもらうためには、この情報をどう加工すればいいだろうか」と考えることが重要だと感じました。情報伝達に関する他者の思考プロセスを見る機会は普段なかなかないため、とても新鮮な気づきでした。

ワーク中、ご参加者と会話をするなかで実感したのが上記 2. のポイントです。ワークでアクセサリーの販売に繋がる投稿内容を検討中の方に、たとえば「なぜ『伝えたい相手』のところに “女性” と書いたのですか?」などと尋ね、会話を重ねると、「だったらもう一段解像度を上げて、『20台後半から30歳代、日常的に使えるアクセサリーを探している女性』とかだと良さそうですね!」「いいですね、それに加えて『ちょっとしたプレゼントを探している男性・女性』もあってもいいかも!」 といった調子で、どんどんアイデアが膨らみました。届けたい相手に複数のイメージができると、その数だけアプローチの切り口も変わります。それぞれ「より届くもの」にするためにどんな言葉や素材を選ぶのか、どんな順番で発信するのか…など、ひとりで考えるよりも多様な、それでいてシャープなメッセージが作られていきます。

ヌーラボは、ブランドメッセージ「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」をコラボレーションの力で達成しようとしていますが、やはり「ひとりより、みんなで」。1+1は2でもなければ100でもない、まだ誰も見たことのない1なのですね。

これは反省ですが、せっかくヌーラボに所属しており、普段からコラボレーションの力を実感する機会が多い立場として、ワークもひとりで行うものではなく、最初から交流型のものを設計したらよかったなと感じました。そうすることで、情報を伝える際のエッセンスだけでなく、コラボレーションで仕事が楽しくなり、前に進むことを実感いただけたのではないかなと振り返っています。

また、私の伝えたいことが多すぎたため、肝心のセミナーでは結局、みなさんが手を動かす時間が十分に確保できませんでした。実践的なものにしたいと思っていただけに無念…という感じが強いですが、アンケートを拝読すると想定よりもご参加者の満足度が高かったので救われました。ご参加いただいた皆様、しごとコンビニ運営事務局の皆様、貴重な機会を頂き、本当にありがとうございました。

 

旅行記:多様な「違い」が共存する町、東川

遡ること3年、2019年から私は東川町でリゾートワーク制度の利用を志望していました。社内の選考も無事にパスし、2020年1月に東川町に滞在することが決定。セミナーの準備も進め、やるぞ〜!と意気込んでいた矢先に息子の妊娠が発覚。妊娠後期のタイミングで、福岡から冬の東川町(平均気温が氷点下!)へ旅行に行くことは無謀そのもの…ということで、泣く泣く制度の利用を諦めました。(息子はというと、同年の3月に元気に生まれました。)

本ブログとは関係のない写真。2019年、大好きな株式会社SmartHRさん 広報担当の たけべさん に会いに行ったとき。たけべさんには掲載の許可を頂いています。

2020年9月に育児休業から仕事に復帰し、「今年こそリゾートワーク制度の利用を…」と目論むも、コロナ禍のため滞在が叶わず。翌年2021年も、想定した滞在タイミングでちょうど緊急事態宣言が発令されており、私の東川町でのリゾートワーク制度利用は見送りが続いていました。

2022年、ついにその時がやってきました。今年は新型コロナウイルス感染症のタイミング的にもいけそうだ、と判断し、迷わず制度の利用を決定。家族(夫と息子)も一緒に、4泊5日の北海道・東川町旅行(とワーク)を決めました。

東川町は旭川空港から車で20分ほどの立地。福岡空港から旭川空港には直通便がないため、羽田空港での乗り換えとなります。2歳の息子には負担が大きいかと懸念していましたが、余裕を持ったスケジューリングをしていれば余裕でした!息子は飛行場ではたらくくるまたちが大好きなので、「あっ、ひこうき!」「トーイングトラクター!」「ベルトローダー!!」「タラップ車!!!」と大興奮でした。

羽田空港で乗り継ぎ。JAL マイレージクラブのラウンジには、こどもラウンジが用意されている

北海道では、行政が運営する滞在施設「東川暮らし体験館」に宿泊。東川はお米とお水、そして木工製品が有名ですが、東川暮らし体験館に備え付けてある木製家具も素敵なものばかり。

素敵すぎる家具たち。自分用にはとても手が出せないお値段ではありますが、ここでなら体験できます!

東川町は、あの有名な旭山動物園にもアクセス良好。車で20分ほど走れば到着します。1週間ほど前から息子に「シロクマさんいるよ」「トナカイさんもいるよ」と洗脳(!)してきたおかげで、息子もとても楽しみにしていました。

旭山動物園では、40年ぶりに無事な生育に成功したホッキョクグマのゆめちゃんが元気に泳ぐ姿を見ることができたり、飼育員さんたちの力の入った数々の展示から、動物たちの生だけではなく死について考える機会になったり…福岡では接することのできない光景や情報に触れ、とても実り多い時間を過ごすことができました。

展示を見て、耳(羽角)があるのがミミズク、ないのがフクロウだよ!と説明する私

東川に滞在した数日は例年になくあったかい日が続いていたよう。アザラシもごろ〜ん

このあと、長蛇の列ができると噂の「成吉思汗 大黒屋 五丁目店」でジンギスカンを堪能しました。「羊肉」の概念が変わるおいしさに、息子含め家族三人大満足!たらふく頂きました。平日17:00の回だけ予約を取ることができるので、予約必須です。

直前まで旭山動物園で動き回る羊を眺め、「種の多様性を後世にも引き継ぎたいよね」とか「動物と人間の共生のために」とか話していた夫婦でしたが…ちょっと呆れてしまいますよね。まあ、大事なのは命を頂いていることを意識して大事に美味しく、ありがたく食べることなんだと思い直しました。とにかくおいしかった。

お手頃価格で旨味たっぷりのジンギスカンが頂けます。有名人の来客も絶えないお店。

そのほか、東川町にある「中国茶とおかゆ 奥泉」のおかゆも絶品でした。おかゆの優しい味もさることながら、お店の中の静かな雰囲気も素晴らしく、窓から見える光景もまた、ごちそう。なんとも贅沢な時間を過ごすことができました。

息子は比較的落ち着いて座っていられるタイプですが、そうじゃないと子連れではちょっと厳しいかも…な大人空間。

上記のおかゆのお店も札幌から東川町に移転したとのことですが、東川町には、「東川町でこそ、お店を経営したい」とご指名で移住してくる方々がとても多いそう。実際、おしゃれなカフェや著名デザイナーの手が入った建物など、さびれた田舎とはほど遠い「イケてる町」がそこにはあります。確かに、4泊しただけの私たち家族も、のどかな光景や落ち着いた町の雰囲気にすっかり魅了されました。

どこか外国の雰囲気がある東川町のたたずまい。四季折々で楽しめそうです。

東川町は、コンパクトながらたくさんの「違い」が共存し、コラボレーションしている不思議な町でした。ずっと昔から東川町に住む方もいれば、東川町の魅力に取り憑かれるように居を移した方もいる。海外から(なんと国内初の公立!の)日本語学校に通っている学生の皆さんもいる。冬の厳しい降雪にも耐える暮らしの工夫は昔から変わらず、一方で日本有数の建築家が手がけたモダンな建物が目を惹く。車に乗ってたった20分で空港に着くのに、同じくたった20分ほどで天然保護区域指定の「大雪山」や文化財「羽衣の滝」にアクセスできる。そういえば、今回セミナーを担当させていただいた「しごとコンビニ」の理念も、「”しごと”を通じて、多様な人が望む生き方を実現する」でした。

年齢や国籍や、そのほかいろんなバックグラウンドの違いを受け入れてくれそうな東川町独特の柔らかい雰囲気は、こうしたちょっとずつの違いが集まってできた「誰にとっても自分と同じものがある」という見事な調和から生まれているのかもしれません。

人生は長く、世界は広い。自分の見方だけではなく自分と違う見方を知ることは、時にストレスにも厄介なものにもなりますが、「そんな生き方もあっていいんだな」「私もまだまだこれから挑戦できるな」と勇気をくれることもあります。東川町に滞在した数日間は、私たちの周りには日常的に「違い」が溢れていることを思い起こさせてくれました。「違い」が生み出すコラボレーションの面白さ、大変さ、強さを再認識しながらその全部を楽しんで、これからも自分と家族の変わりゆく価値観を味わっていけたらいいなと感じています。

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