ヌーラボのインタビュー企画第16回目🎤
テレワークがいっきに普及したかのように言われた今年。新型コロナウイルスの状況が徐々に好転するとともに「テレワークが解除になってしまった」という声も聞かれるようになりました。そんな中、離れていてもよりよいチームのコミュニケーション・コラボレーションを生み出すために「Typetalk」というビジネスチャットツールを開発している岡藤さんは、社内で社歴トップ5に入る社員です!
以前私が調査したときは、エンジニア系の職種の平均勤続年数は1社あたり7年程度でした。そんな中でも長くサービスに携わっている岡藤さんだからこそのご経験、仕事について教えてもらおうと思います!
今日のInterviewee
サービス開発部 Typetalk課 岡藤 佳祐
ヌーラボがまだ受託開発事業も行っていた2011年1月11日入社というなんとも「1」が多い日に入社。もうすぐ勤続10年。バンド活動を経て専門学校に入り、Webデザイナー/コーダーとしてのキャリアを進み始める。前職は福岡ではだれもが知っている有名なお菓子メーカー。
高校生ながら音楽が仕事になる経験を経て、音楽の道へ
— 岡藤さんはもうすぐ入社10年になるんですね…!当時のヌーラボは今とは全く状況が違ったと思います。入社直後のヌーラボはどんな感じでしたか?
2011年1月11日入社です。最初は1月10日の成人の日に入社日が設定されていて「祝日も出社する会社なんだ…」と恐怖を感じていました(笑)。しかし、よくよく確認してみたら当時の窓口だった田端さん(現役員・ヌーラボ海外法人の代表)の勘違いで(笑)。無事に祝日を休んでからの入社となりました。当時のヌーラボは、福岡オフィスで15名くらい。全社でも20名いるかどうかという規模でした。
— 田端さんが採用を!すごい時代です笑。当時はまだ受託開発も続けている頃ですし、会社の状況も全く違うんでしょうね。岡藤さんと言えばバンド活動をされいるイメージですが、エンジニアになるまでの経緯を教えてください。
高校2年生の時から、地元飯塚の路上でライブをしていました。当時は「ゆず」の全盛期で、僕自身もゆずのコピーから初めて、徐々にオリジナル曲の作成にも力を入れました。結構飯塚では有名なバンドだったと思います!(笑)
活動する中で、YAMAHAが主催するTeensというバンドイベントのオーディションに出場する機会がありました。そこの飯塚大会で優勝して、九州北エリアの大会に進出し、Zepp Fukuokaで演奏したことが自分の中での転機です。観客も1,000人規模、スタッフさんもプロの方がついてくれて、自分自身もプロ気分でしたよ!結果は九州北エリアの大会で敗退になるんですけど…1週間くらい凹みましたね。でもこれがきっかけで福岡県の豊前市の成人式にゲストとして呼ばれたり、施設のクリスマスパーティーに呼ばれたりと、高校生ながら音楽でお金がもらえるようになったんです。
その結果、音楽の道に進みたい気持ちが大きくなり、進学校の特進クラスに所属していたのに進学しないという、学校史上初の生徒となりました(笑)
— Teensってありましたねー!私の地元でもやってたなあ。卒業後もひたすらバンド活動ですか…?
そうですね、ガソリンスタンドでアルバイトをしながら合計6年間、バンド活動をしていました。具体的には、オーディションやコンテストに出場したり、ライブを企画したり小さいフェスに出たり…。「ライブ喫茶 照和」という福岡では有名なライブハウスのレギュラーゲストを担当していた頃もあります!でもなかなか結果は出ず、2人組バンドの相方は就職。結果的に解散しました。
そんなひとりになった僕を、同じく音楽が好きだった兄の誘いもあり、名古屋で音楽活動をはじめました。その時すでに、兄は名古屋の一流企業に勤めていたのですが、音楽を捨てきれなかったみたいで、仕事の合間を縫って一緒に曲作りをしていました。僕自身は、契約社員・アルバイトを掛け持ちしながら名古屋で音楽活動です。でも、1年くらいたったある日、兄が結婚する!といい出して音楽活動は一旦停止に(笑)これで名古屋にいる意味もなくなったので、福岡帰り、またガソリンスタンドでのアルバイトをしながら、音楽活動を続けました。
活動も長くなってきたので音楽関連の知人も増え、ノウハウも教えてもらえたり、楽曲提供や打ち込みでの音楽制作の仕事ももらえるようになっていました。なんとか頑張って音楽を続けて行こうとしていたんですよね。
25歳から新しいスタート。Webデザインの道へ
— 徐々に軌道にも乗ってきているように見えますが、そこからWebへの道に切り替えるきっかけはあったのですか?
両親とは25歳までに結果が出なければ別の道を進むことを約束していたんです。とはいえ、それまで音楽しかしていなかったので何もしたいことがない、かと言ってバイト先には就職したくない…。そんな中、恩師である中学時代の塾の先生に相談する機会が勝手に設けられました(笑)親が心配したんでしょうね。その時恩師から、「これからはWebの時代ではないか?」という助言をもらいました。
Webならたとえ仕事にしなかったとしても、今後音楽を続けた時に幅が広がるのではないかと思って、帰宅後すぐに「Webデザイナー」を検索しました(笑)そこから学校の見学会に参加するのですが、まあスタッフが上手な人で、そのままWebデザイン専攻の8ヶ月のコースに入学することを決めてしまいます。入学の時点で自分を追い込むためにも、ガソリンスタンドのアルバイトもやめました。
— そんな経緯が!(笑)Webデザインの勉強は楽しかったですか?
いや、それが何度か辞めようかと思いましたよ(笑)その時の先生が普段は優しいけど仕事に関してはものすごく厳しい方でいつもダメだしされてたんです。中間課題として架空のホームページの企画・ワイヤーフレームを作ることがあったのですが、びっくりするくらい酷評だったんですよね。たしかテーマが「好きな公園のHPを作る」で…。まあ、テーマにあまり興味が持てていなかったことも原因の一つですか(笑)
実際にやめている生徒も多くて、最終的に半数くらいしか卒業できていなかったと思います。一方で辞めなかった人は精鋭だらけ。同い年の人もいたので、ここで辞めたらなんだか悔しいなと思って、意地で踏ん張っていたんですよね。
そんな中で修了課題に取り組んだ時、酷評されていた先生からめちゃくちゃ褒められたんです。フリーテーマだったこともあり、好きなものを作れば楽しめるのでは?と考えて、大好きなビートルズの日本公演に関してのホームページを作りました。それまでは「課題だからやらないといけない」「ちゃんとつくらねばならない」という思考だったのですが、自分から楽しんでやれる題材を見つけて取り組んだら結果がついてくる経験ができて自信になりました!
その自信と勢いで取り組んだ卒業制作は、前職である福岡のお菓子屋さんのホームページをリニューアルするというものです。音楽で知り合った人から前職であるお菓子メーカーの会社が通販部で求人を出していることを教えてもらったんです。実家から徒歩で1~2分のところにある会社ということもあり、当時はすでに学校で学びながら働いていました。卒業制作でつくったサイトは、そのまま会社に気に入ってもらえて本サイトとしても採用されたんですよ!
— それは嬉しいですね!しかも福岡では誰もが知っているお菓子メーカー。たくさんの人に見られると思うのでやりがいもありますね!通販部ってことはECなどがメインだと思うのですが、どんな業務を担当されていたんですか?
当時その会社は、楽天での販売に力を入れていたので、楽天サイト用の制作・デザイン、バナー制作などの担当をしていました。学校に通いながら働いていたので、学校では最先端の「カッコイイ系」のデザインを学びつつ、仕事では楽天の「売れる系」のデザインを実践するのが面白かったです。
しかしお菓子を製造、店舗販売するメーカーの会社だったこともあり、繁忙期は配達も担当したり、通販の電話受けなんかもやりました。しばらくして自身が運用していた会社のサイトや制作関連の業務の外注が決まり、仕事の範囲が狭くなってしまったことをきっかけに、制作に専念できる環境を探して転職活動をします。
ヌーラボとの出会い。チームでモチベーションが爆発するという経験
— 当時からヌーラボはご存知でしたか?その頃はCacooが出始めの頃…?
ヌーラボ はもともと知っていましたよ。Cacooがバズっている会社という印象が強かったです。ただ、途中まで福岡の会社だとは知らなかったんですよね。調べてみると、通っていた学校の先生たちで繋がっている人も多い会社!縁を感じて応募しましたが、内心は記念受験という気持ちでした。受かるとは思っていなかったです。面接の時にはビートルズの好きなアルバムの話くらいしかしてないですし(笑)
当時のヌーラボは、まだ自社サービスの開発にも外注している領域があったので、徐々に内制体制を整える目的を達成するために自社サービスの担当として入社しました。現マーケ部長の田端さんのもとで、Backlog、Cacooなどのプロダクトに加えてティザーサイトの作成の仕事もしていました。とはいえ実は最初の仕事は動画編集!今もVimeoにのっているインタビュー動画の編集から始まりました(笑)
動画編集なんてしたことないのに、とりあえずFinal Cut Proを使って編集作業。まだ組織として分業できるほど人がいなかったので時期によっては受託の仕事も担当したりと色々な仕事を担当しましたね。
— 当時に比べたら、社員数も全然違うしチーム体制も全然違うので仕事の変化も大きかったのでは?いろいろご経験されている中で特に心に残っているプロジェクトはありますか?
思い出深いのは、2012年頃のBacklogのリニューアルの時ですね。今のデザインから遡って、2世代前から1世代前のものにリニューアルするときのプロジェクトです。当時社員だった染田さん、山本さんとたった3人で担当しました。今ではありえないですが、リリース前日に発案した機能を追加したり、リニューアル版のリリースと英語のティザーサイトのリリースが同日だったり、もうパンク寸前(笑)でも、みんなが同じ方向を向いて一丸となってやっている!という感覚があったんですよね。遅く帰るような日が続いたこともありましたが、もっとやりたい!という気持ちで溢れていました。
モチベーションが爆発しているとこんな感覚になるのか、という発見でした、学校で取り組んだ修了課題・卒業課題の時も同じ感覚だったのですが、その時は個人でのワークだったので、モチベーションの爆発する状態がチームでも実現できるということを知りました。今の自分があるのは2人と仕事できたおかげだと思っていますよ。
ちなみにこのリニューアルリリースは、インフラ的な課題で失敗に終わっています。ロールバックして、改修してからまた戻すという流れになりました。この失敗に対して山本さんが泣いて悔しがっているのを見た時、「俺まだまだだなー」と思ったことを覚えています(笑)
その後も、Cacoo Store(2016年クローズ)を作ったり、CacooUpというイベントで司会をしつつ歌を歌ったり(笑)テックブログでバズったり…といろいろな経験をしてきました。
CacooUpで司会中?の岡藤さん。ビーサンじゃないか…笑
もうすぐヌーラボ10周年。今までとこれから
— そうかー、岡藤さんは3世代前のBacklogからご存知なんですね。10年間の中でいろいろな仕事の変遷はありつつも、ヌーラボで働き続けるという選択ができた理由って思いつきますか?一般的には「飽きる」っていう理由の人が多そう。
不思議とヌーラボに対して「飽きた」って感じたことがないんですよね。中のしくみ、規模、人、良い感じに会社自体も変化しているので飽きたことがないです。もちろんフェーズが変わったと感じる時期もあったし、人の入れ替えももちろんあったので、悩むことがなかったかといえば、うそです。ただ、過去の良さに固執しすぎなかったことが良かったと思っています。
人が増えたり変わったりすることで分担できたりと、いいこともあるんですよね。一時期はBacklogのサイトが6カ国後対応していたので、キャプチャーも6カ国語分撮ったりと本当に忙しくて。その時は夢の中にもベトナム語が出てきました(笑)僕の後にUGさんが入社してくれて、徐々に分担できるようになっていったのはよかったです。
また、僕の場合は「技術を追い続ける」だけだったら飽きていたかもしれません。ここ2年は、ヌーラボのバーチャル組織「Bridge」になったので、また新しい次の挑戦ができるようになったのは運が良かったと思います。
— 岡藤さんはコーチングをご自身でも勉強されたり、社内に対してもさまざまな活動をしてくださってますよね!コーチングのお話にもつながるかもしれませんが、今後仕事やプライベートで何か取り組んでいきたいことはありますか?
コーチングを会社にもっと普及させて、コーチングが当たり前と言われるような文化づくりをしていきたいですね。ヌーラボはよく「ティール組織ですね」と社外からも言われることがあります。実際のティール組織の定義についてはまだ勉強中なのですが、自身の活動を通して自然とティール組織がつくられるような土壌を整えられたらいいなと思います。
※ティール組織とは、上司がマイクロマネジメントをしなくても、目的のために自発性を持って行動し、進化できる組織を指している。指示系統がなく、メンバーの一人ひとりが自分たちのルールや仕組みを創造し、理解し、独自に工夫を行い、意思決定していくという特徴が見られる。
理想は、各人がさまざまな問題から開放されて、自分がやりたいこと・やるべきことに集中できる状態を作ることだと考えています。人は働いていれば、問題・悩みを抱えることがあると思います。そんな問題と対峙している最中は、問題に支配されてしまいなかなか物事に主体性を持って動きにくくなると思います。悪化すると、他人のせいてしまうこともあるのではないでしょうか。それを主体的に解決できるようなアプローチを一緒に探していくサポートをしたいです。そうすることで自分に責任を持って行動できる人が増え、他者依存するのではなく、一人ひとりが自立した組織が作れると考えています。
mentoさんに取材いただいた時にもお話しましたが、こういったコーチングを通して実現していく活動のストーリーは、ヌーラボの社員自身が作った行動規範「Nuice Ways」の考え方と相性がいいと思っています。
- Try first:ただやるだけでなく仮説を立てて、結果を観察して、きちんと振り返る。良かったこと悪かったことをしっかりと学びに変えて次のアクションを考える
- Goal oriented:行動している最中は目的がブレがちなので、それをきちんと目的に沿って軌道修正できるように。要は達成できたかよりも、どれだけその目的に近づけたのかを重視する。結果よりもプロセス。
- Love differrence:まずはありのままの自分を受容する。自分を飾らず他人に良く見られようという目的だけの行動はやめる。まずは自分自身が納得できることやっていく。それが他者受容にもつながって相互依存のいい状態を作れるのではないか。
コーチングの活動を通して、ヌーラボの行動規範「Try First」「Goal Oriented」「Love Differences」を体現することができると思います。元々Bridgeの発足目的の一つでもある「ヌーラボの文化エバンジェリスト」の活動にもつながるのではないでしょうか?
2年間のBridgeで行った活動を生かして、これからもより良いチームづくりに関わっていけたら嬉しいです!
— 岡藤さん、ありがとうございましたー!!