コニカミノルタジャパンのマーケティングサービス事業統括部では、グローバルのWebサイト制作・運用と社外に向けたデジタルマーケティング支援事業でBacklogを活用しています。 同社では、グローバルWebサイトリニューアルのプロジェクト管理をメールからBacklogに切り替えたことで、確認のためのメールコミュニケーション量を50%削減しました。さらに、メールによって不明確になっていた「担当者」「締め切り」をBacklogで可視化したことで、プロジェクトマネージャーが遅延タスクに対して早期アクションできるようになり、より効率的なプロジェクト運営を実現できました。 2003年のコニカミノルタ経営統合によるWebサイト制作プロジェクトからBacklogの導入まで、コニカミノルタジャパンとBacklogの関わりを一貫して見てきたチームリーダー/プロジェクトマネージャーにBacklog導入後の効果についてお伺いしました。 ■プロフィール(写真右から)
- 竹中 修一(たけなか・しゅういち): マーケティングサービス事業統括部 デジタルマーケティング開発部 カスタマーエクスペリエンスグループ コーポレートコミュニケーションチーム チームリーダー
- 下田 エリカ(しもだ・えりか):マーケティングサービス事業統括部 デジタルマーケティング開発部 カスタマーエクスペリエンスグループ コーポレートコミュニケーションチーム Webディレクター
導入目的 | ■ コニカミノルタのグローバルWebサイト制作・運用に関する膨大なタスクとコミュニケーションをメールベースの管理からBacklogに移行したい |
課題 |
■ メールベースのタスク管理は多いときは1日数百通ものメールが届くため、メールからタスクを切り出して、エクセルに進捗を起票する「専任者」をもうける必要があった ■ タスクの担当者・締め切りが可視化できておらず、作業負荷の偏りが生まれ、より効率的なプロジェクト運営の実現に課題があった ■ プロジェクトメンバーの異動・育児休暇・退職などでアカウントが削除され情報が閲覧できなくなり、事業の継続性に悪影響が出ていた |
効果 |
■ メールベースのタスク管理から課題ベースのタスク管理になったことで、メールの総量を体感値50%削減。メールからタスクを切り出しエクセルに転記する専任者も不要になった ■ タスクをすべてBacklogに集約し、関連タスクは親子課題で可視化。PMが遅延課題を早期発見して再始動に向けてアクションできるようになった ■ Backlogはアカウントが削除されても会話や対応履歴が残るので、事業の継続性という面でもメール以上の効果を発揮している |
業種 | 電気機器メーカー |
Backlogを利用している事業部 | マーケティングサービス事業統括部Webプロダクションチーム |
利用しているヌーラボサービス | Backlog |
アカウント数 | 230アカウント |
目次
2003年の経営統合からはじまるコニカミノルタジャパンのWebサイト制作と運用の歴史
– コニカミノルタジャパンの事業概要について教えてください。
コニカミノルタを親会社にもつ、コニカミノルタジャパンは複合機(MFP)・プリンター、印刷用機器、ヘルスケア用機器、産業用計測機器などの販売、並びにそれらの関連消耗品、ソリューション・サービスを展開しています。 私が所属するマーケティングサービス事業統括部は2つの事業を展開しています。1つ目はコニカミノルタが管理・運用している「グローバルWebサイトの制作・運用」で、2つ目に自社実践に裏付けされたデジタルマーケティングソリューションをコンサル、システム開発、コンテンツ制作まで一貫して提供する「マーケティング支援事業」です。 Backlogは同事業部を中心に導入されており、自社のグローバルWebサイトの制作・運用に関するチームやベンダーとの調整から、クライアントへのマーケティング支援プロジェクトで主に活用しています。
– マーケティングサービス事業統括部の立ち上がりからBacklogは導入されていたのでしょうか?
Backlogを正式導入したのは2017年で、マーケティングサービス事業統括部は2018年6月に立ち上がりました。それ以降、弊社のコーポレートWeb制作プロジェクトの基盤ツールになっています。 弊社のWebサイト制作の歴史は長く、2003年に実施した「コニカ」と「ミノルタ」の経営統合までさかのぼります。「コニカミノルタ」ブランドが新たに立ち上がり、統合Webサイトを制作するプロジェクトとして、37ヵ国、87サイト、58,000ページを対象とした大規模なリニューアルに取り組みました。そして、当時のプロジェクトメンバーを中心にして、サイト運用の内製化がスタートしました。
このプロジェクトの経験がいまのデジタルマーケティングソリューションの原体験となり、2006年にお客様支援部門が立ち上がりました。そして2018年4月にデジタルマーケティング部門、プロモーションデザイン部門、空間デザイン部門の3部門が統合された「マーケティングサービス事業統括部」が立ち上がりました。 現在統括部に所属しているメンバーは約130人で、所属しているメンバーの大多数がBacklogのアカウントを保持しています。このうち2割はWebサイトの構築・運用・サポートに携わるメンバーで、常時Backlogを使って仕事を進めています。
メールベースのプロジェクト管理で起こりがちなタスクの起票漏れによる「非効率なプロジェクトの運営」が課題だった
– プロジェクト管理ツールの導入を考えるきっかけは何でしたか?
私は2003年の統合サイト制作プロジェクトから在籍しているメンバーですが、その頃からWebサイトの運用に関する作業が定期的に発生するようになりました。 この頃は、規模が小さいかったので、プロジェクトや事業部ごとにメーリングリストを作成し、メールベースで関係者間のコミュニケーションを進めていました。ただ、2017年に規模が大きいリニューアルプロジェクトが始まるのが決まり、従来のメールベースの管理では立ち行かないと予想したので、プロジェクト管理ツールの導入を決めました。
– たくさんあるプロジェクト管理ツールのなかからBacklogに決めた理由を教えてください。
リニューアルプロジェクトを一緒に進めるベンダーがBacklogを提案してくれたのがきっかけで試してみて、導入を決めました。加えて、ベンダーが「Backlogの使い方ルール」をすでに作っていたことも、導入の後押しでした。 Backlogに限らず、チームに新しいツールを導入するときは「どのように使うのか」を最初に決めておかないとうまく浸透しません。それをイチから作らずに「ルールがあるなら、それに則ってやってみようか」という流れになったのは大きな魅力でした。
– Backlog導入前はどのような課題がありましたか?
Webサイトのリニューアルプロジェクトは、タスクの量と関係者が膨大になるので、どうしてもタスクが漏れがちになります。さらに、メールベースで管理することで起きていた「非効率なプロジェクト運営」は大きな課題でした。作業負荷の偏りや進捗管理ができないことによる担当者の不在によってプロジェクトの進行が円滑にいっていなかったのです。 当時のプロジェクト管理は、メールの件名でタスクを分けて、各タスクの進捗とプロジェクト全体の状況を切り出して、エクセルにまとめる作業の専任者が存在していました。ただ、1日のメールは多いときは200通にもなっていたので、タスクの漏れがどうしても発生してしまい、Webサイト公開の3ヵ月前に対応しなければならなかったタスクが、公開1ヶ月前に発覚して徹夜で作業をする、ということもありました。
メールコミュニケーションを50%削減!Backlogで「より効率的なプロジェクト運営」に成功した
– その課題はBacklog導入後にどのように改善されましたか?定量的な効果を教えてください。
Webサイト制作に関するすべてのコミュニケーションをメールからBacklogに移行して、情報共有やタスクの起票漏れによる “プロジェクト運営の乱れ” が解消され、メールからタスクを切り取る専任者も不要になりました。タスクをBacklogに集約して、親子課題で関連タスクを明確にできたので、担当者の可視化や作業負荷の調整もできるようになりました。 Backlogのおかげでメールの総量は体感値で50%削減できました。コミュニケーションベースのタスク管理から、課題ベースで各作業の進捗をBacklogで管理するようになったことで、確認のためのコミュニケーション量を効率化できたのはとても良い効果でした。
プロジェクトマネジメントのための課題管理表作成を1営業日から1時間に短縮!PM業務の効率化に成功
– プロジェクトマネジメント面での改善効果はありましたか?
Backlogに課題や情報を集約できたことで、プロジェクトマネジメントのためのエクセルの課題管理表をBacklogに置換できました。エクセルにはないBacklogの機能として、プロジェクト内の残課題や期限切れ課題が一目でわかったり、期限切れの課題のアラートメールが届くのが良いですね。
1ヵ月に1回プロジェクトの進捗を上層部に報告する義務があり、報告資料を作成するのですが、以前のメールベースでの課題管理では、過去のメールをさかのぼって状況を確認したり、作業担当者に状況確認の連絡をしたり、丸1日は費やしていました。プロジェクト内の課題を常時可視化できるようになったことで、Backlog導入後は月に1度上層部に報告する資料作成が1営業日から1時間に短縮できました。
– PMとしてプロジェクトを包括的にチェックするときにBacklogの効果を感じていますか?
作業の進展がないBacklogの課題に対して、再始動のためのアクションができるようになりました。担当が一目でわかるので確認も早くなりました。課題ベースで遅延を把握できるとプロジェクトマネジメントもやりやすくなるので、助かっています。
– Backlogにタスクやノウハウなどの情報を集約できるようになったことで、引継ぎの手間は解消されましたか?
メールべースの管理手法は、プロジェクトチームが解散すると、後から似たプロジェクトが立ち上がったときに情報を吸い上げるのが困難で、事業の継続性にも影響が出ていました。理由は、メンバーが異動・育児休暇・退職などの理由で個々人のメールボックスに保存されているメールを追うことができないためです。 Backlogはメールと違って、アカウントが削除されても会話や対応履歴が残るので、事業の継続性という面でも効果を発揮しています。
今後はWebサイト制作だけでなく、マーケティング支援事業でお客様とBacklogを活用していきたい
– 現在ではBacklogを社内のWebサイト制作・管理で活用されていますが、組織にスムーズに浸透させるための取り組みを教えてください。
Backlogに限らずすべてのツールに言えることですが、単純にツールを導入しただけでは様々な使用方法が発明されて、結果として属人化の温床になります。なので、どのプロジェクトでも使える使用ルールを作成してそれを基本とするようにしました。 具体的には、課題の起票から完了までの一連の流れを明文化して、BacklogのWikiに作成しました。途中からチームに配属されたメンバーには「書き方をWikiに書いたから読んでおいてください」という指示を出しました。こうした取り組みの結果、Backlog利用の初期混乱は起きず、現在では社内のWebサイト制作・運用の基盤ツールとなっています。
– 今後Backlogをこうして使っていきたい!といった展望はありますか?
マーケティングサービス事業統括部はクライアントワークとして、マーケティング支援を行っています。そのなかには、Webサイトの運用業務もあり、お客様からの依頼や問い合わせはメールが多数占めている状態です。 こうしたお客様からの問い合わせや依頼もBacklogに移行できるように現在調整しています。まずは、月に30件ほど依頼がくる大規模なWebサイトの運用に関するお客様を対象にして、ハンズオンなどを実施しています。 今後は社内だけでなく、こうしたマーケティング支援などのクライアントワークについてもBacklogでのコミュニケーションに移行していきたいです。