福岡の地場中心の約200社・団体が参画する「福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)」は産学官民一体のシンク&ドゥタンクです。同団体では、地域戦略プロジェクトや福岡の地場企業との連携協業、企画立案の管理にBacklogを導入しています。 2018年に協定を締結した「スマートワークプロジェクト構想」のもと、メールの量を30%も削減し業務コミュニケーションの効率化に成功、チームメンバーの在宅勤務など多様な働き方も実現しています。同団体のマーケティングチームメンバーに、Backlog導入による業務のスマート化による効果をお伺いしました。 ■プロフィール(写真左から)
- アソシエイト 八角剛史(はっかく・つよし) マーケティングチーム所属。九州ドローンコンソーシアムのPMを兼任する。元プロサッカー選手ならではの視点で、行政を絡めた街づくりを推進している。
- アソシエイト 中島梨沙(なかしま・りさ) マーケティングチーム所属のデザイナー。PRなどのグラフィック制作や福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)のウェブサイト更新を担当し、地方創生に関連したプロジェクトも兼任する。
- スタッフ 橋本真愛(はしもと・まい) マーケティングチーム所属のスタッフとして、イベントの企画やウェブサイトの更新、SNSの運用など、マーケティングチーム全体のサポートをする。
- ディレクター 小川俊一(おがわ・しゅんいち) マーケティングチームのリーダーとして、ウェブサイト制作、SNSによる情報発信、イベント・セミナーの企画運営など業務全般に携わる。観光部会、食部会、ヌーラボと協定したスマートワークプロジェクトのPMも兼任する。
導入目的 | ■ 190社約200の地場企業・団体が参加する、福岡都市圏の地域戦略プロジェクトや地場企業との連携協業、企画立案の管理にBacklogを導入して、業務をスマートに効率化していきたい |
課題 |
■ 記録を残さなければならないため、隣席でもメールでやりとり。結果、1時間あたりのメール量が膨大となり確認に時間を要する ■ エクセルで年間4回以上は開催する定期イベントの管理をしているが、タスクの一覧性が悪く、優先度を決めづらい ■ 出張や在宅勤務などチームメンバーの働き方が多様なので、オンラインで各自のタスクを進捗管理できる仕組みが必要 |
効果 |
■ Backlog導入で業務コミュニケーションの効率化を実現し、1時間あたりのメール量を30%削減 ■ チームのタスク状況をすべてBacklogでオンライン上で確認できるため、在宅勤務や出張先でも安心して仕事ができる ■ エクセルで作成していたイベントをBacklogで管理したことで、タスクの優先度や更新がしやすくなった ■ BacklogのガントチャートやWikiを活用して紙の計画表や引き継ぎ書をデジタル化して業務のスマート化を進める計画ができた |
業種 | 産学官民で構成される任意団体 |
Backlogを利用している事業部 | マーケティングチーム |
利用しているヌーラボサービス | Backlog |
目次
約200社・団体と福岡地域戦略推進協議会が取り組む「スマートワークプロジェクト構想」
ー福岡地域戦略推進協議会について教えてください。
小川俊一(以下、小川):福岡地域戦略推進協議会(以下、Fukuoka D.C.)は、福岡の新しい将来像を描き、地域の国際競争力を強化するために成長戦略の策定から推進までを一貫して行う、産学官民一体のシンク&ドゥタンクです。福岡都市圏を核とする約200社・団体が参加しており、九州や隣接するアジア地域とも連携して、事業性のあるプロジェクトを推進しています。 具体的には、福岡都市圏の地域の経済発展を目的として、4つの部会を設置しています。観光部会、スマートシティ部会、食部会、都市再生部会に分けられており、Fukuoka D.C.のメンバーが、プロジェクトの事業計画の策定や事業化しています。
ー福岡市が産学官民一体となり、地場企業と事業性のあるプロジェクトを進めようとしているのはなぜでしょうか?
小川:福岡市地域の活性化を目的とした「官民連携主体による地域づくり推進」のためです。Fukuoka D.C.のプロジェクトによって、官民が連携し、民間企業やその社員が政策に関与することで、自発的な地域の活性化につながる未来像を描いています。 その取り組みを象徴するものとして、2018年9月に政府の「未来投資戦略」を踏まえたSociety 5.0の実現に向け、デジタル化と生産性向上をベースとした働き方改革の推進を目指す「スマートワークプロジェクト構想」の協定を株式会社ヌーラボと結びました。 この協定がきっかけとなり、2019年5月からFukuoka D.C.が組成する福岡都市圏の地域戦略プロジェクトや福岡の地場企業との連携協業、企画立案の管理にBacklogが導入され、Fukuoka D.C.が率先して業務のデジタル化やコミュニケーションの効率化によるスマートワーク化を進めています。
福岡県外からリモートで働くメンバーの仕事をBacklogがサポート
ーBacklogはマーケティングチームの対外的な情報発信のタスク管理で活用されているそうですね。
小川:はい。Backlogは4名から成るマーケティングチームの情報発信タスクの管理で活用しています。他にも、以前は事務局員との対内的なコミュニケーションにメールを利用していましたが、今はBacklogを利用しています。 情報発信タスクの具体例として、ウェブサイト管理、SNS管理があります。Fukuoka D.C.に関連するニュースや部会の資料、お知らせをウェブサイト上で更新したり、FacebookなどSNSでの広報業務などです。 他にも、セミナーの企画や運営ではマーケティングチームと事務局員とのコミュニケーションが活発になるので、こうしたやりとりでもメールではなくBacklogを活用しています。
ーマーケティングチームはリモートでお仕事をされる方も多いそうですが、具体的にどのような働き方をされているのでしょうか。
中島梨沙(以下、中島):マーケティングチームは一箇所に集まって仕事をすることが少なく、各々で仕事をする場所や時間帯も異なります。私の場合は、福岡から片道90分ほどかかる佐賀に住んでいるので、基本は在宅勤務で、月に10回程度出社する働き方をしています。 在宅勤務でもBacklogを見ればチームのタスクが一覧できるので、進捗や情報の把握は問題なくできています。自分のタスクの進捗状況についても、チームメンバーに共有できているので、安心感を持って在宅勤務をしています。
Backlog導入による効果① 1時間あたりのメール量を30%削減し業務コミュニケーションを効率化
ーBacklog導入前はメールを使っていたそうですが、どのような問題を抱えていましたか?
小川:Fukuoka D.C.には事務局員が20名前後在籍しているのですが、以前の共通のコミュニケーション手段はメールでした。「やりとりの記録を残す」というルールがあるので、たとえ隣席で口頭でタスクの依頼があったとしても、後から必ずメールで依頼しなおすことが必須でした。私の場合はccに含まれることも多いので、多いときは1時間で10通以上のメールを受信していました。
ー導入後の効果を定量的に教えてください。
小川:マーケティングチーム内のコミュニケーションは、メールからBacklogに多くを切り替えられたので、メールの量が全体の30%は減りましたね。おかげで、会議を終えてメールボックスを見てメールの山にうんざりする、ということもなくなりました。 メールの代わりにBacklogでコミュニケーションをするようになってから、やりとりの記録もコメントできちんと残せるようになりましたし、メールのccの代わりに「お知らせ機能」を使うことで、誰に情報共有をしたのかアイコンで判別しやすくなりました。
Backlog導入による効果② 年間4回以上開催される定期イベントの管理をエクセルから移行
ー会員向けセミナーなど定期イベントの進捗管理にもBacklogを活用されているそうですね。
小川:はい。マーケティングチームが対応するプロジェクトは、短期型と長期型に大別できます。短期型のプロジェクトはウェブサイトの更新で、長期型のプロジェクトは年間予定で開催が決められている会員向けセミナーやイベントなどが該当します。 両者のプロジェクトでBacklogを活用していますが、後者の3ヶ月に1回のペースで開催されるセミナーなどのイベント企画運営のプロジェクト管理でもBacklogを活用しています。
ー以前の定期イベントの管理手法からBacklogに切り替えた効果はいかがでしょうか?
小川:以前はエクセルを使って定期イベントを管理していましたが、セミナーなどのイベントのタスクはこまごまとしたものが多いので、Backlogでタスクを漏れなく洗い出しできたり、締め切りを可視化できるようになったのはとても良い効果です。 橋本真愛(以下、橋本):セミナーやイベントは開催日の2ヵ月前から準備を始めるのですが、今まではエクセルに「会場の予約」「席札の準備」「お茶の用意」などこまごまとしたタスクを一つひとつ入れていて、課題の優先度や相関性がわかりづらいと感じていました。これらの作業をBacklogの親子課題で管理できるようになったので、相関性がわかりやすくなり、優先度を決めて作業を進めやすくなりました。進捗についても一目でわかるのでとても助かっています。
橋本:セミナーやイベントは週に1回の会議でタスクをこまめに洗い出して、担当者を口頭で決めています。それを後日、自分でBacklogに課題として登録しているのですが、チームへの共有目的と自分のTO-DOリスト目的で使い分けて、優先度を意識しながら作業を整理できています。
ーBacklog以外のツールの導入はご検討されなかったのでしょうか?
中島:実は、海外のタスク管理ツールを一度利用したのですが、言語が英語だったので機能やヘルプページの理解に時間がかかり、操作も時間がかかっていたので、次第に使わなくなってしまいました。その点、Backlogは日本製のサービスということもあり、日本語対応はもちろん、ヘルプページも充実していて機能も一目でわかりやすいです。
紙の年間計画表や引き継ぎ書などの業務管理をBackogでスマート化していきたい
ー今後Backlogを使って効率化を図っていきたい作業はありますか?
八角剛史:個人的にBacklogのガントチャートを活用することが多いのですが、部会の年間計画をまとめる時にとても楽ですね。部会で使用する年間計画表はエクセルで別途作成しているので、今後はガントチャートに代替したいです。 年間計画表は、期はじめにスケジュールをエクセルに入力して、Fukuoka D.C.の事務局に紙で張り出すという運用をしています。エクセルだと途中で変更があったときの更新に時間も手間もかかりますが、Backlogのガントチャートは、課題を登録すれば自動生成されるので、途中で変更があったときの対応がしやすそうです。
橋本:ガントチャートはCSVで出力できるので、100人以上が一同に介することもある部会のセミナーで配布する資料としても効果的に利用できそうです。
ーFukuoka D.C.の業務をスマートにしていく取り組みは今後も続いていきそうですね。
中島:そうですね。ガントチャート以外では、報告書などの情報の引き継ぎ方法をBacklogに統一することを考えています。現状では、報告書のツールが個々人で異なりフォーマットも統一されていないので、Backlog Wikiにまとめていきたいです。 業務の引き継ぎに関しても、Backlogの課題管理をうまく使ってDocsやWordでわざわざ作成せずに、過去の課題一覧を参照すれば業務の進め方がわかる、といった状況を作っていきたいです。 小川:現状だとマーケティングチームが主体となってBacklogを活用していますが、今後は、Fukuoka D.C.の会員である200社・団体とのプロジェクト管理業務のコミュニケーションなどでも積極的にBacklogを取り入れて、業務のデジタル化、生産性の向上などのスマートワーク化を率先して実現したいです。